角灯と砂時計 

その手に持つのは、角灯(ランタン)か、砂時計か。
第9番アルカナ「隠者」の、その俗世を生きる知恵を、私にも。

#267 『ヒトラーに屈しなかった国王』・・・日本の反戦平和主義者はどう観る?

2018-09-23 06:22:24 | ぶらり図書館、映画館
『ヒトラーに屈しなかった国王』DVD



『ヒトラーに屈しなかった国王』観ました。

ナチスに降伏を迫られた国王が“選択”した決断とは―。

1940年4月9日、ナチス・ドイツ軍がノルウェーの首都オスロに侵攻。ドイツ軍の攻撃に交戦するノルウェー軍だったが、圧倒的な軍事力によって、主要な都市は相次いで占領される。降伏を求めてくるドイツ軍に対しノルウェー政府はそれを拒否し、ノルウェー国王のホーコン7世は、政府閣僚とともにオスロを離れる。一方、ヒトラーの命を受けたドイツ公使は、ノルウェー政府に国王との謁見の場を設けるように、最後通告をつきつける。翌日、ドイツ公使と対峙した国王は、ナチスに従うか、国を離れて抵抗を続けるか、家族のため、国民のため、国の運命を左右する究極の選択を迫られるー。北欧の小国ながらナチス・ドイツに最も抵抗し続けたノルウェーにとって、歴史に残る重大な決断を下した国王ホーコン7世の運命の3日間を描く。


*『ヒトラーに屈しなかった国王』公式サイト
http://kings-choice-jp.com/


という内容なんですが、136分という長さを感じさせませんでした。良かったです。

ドキュメンタリー風のカメラワークで登場人物たちの心理を巧みに描写してます。というか、ともかくホーコン7世を演じるイェスパー・クリステンセンが素晴らしい。渋いと言うか「素敵なお爺さん」というのは、正にこういう人のことだって感じです。


ということで、今回はさらりと結論(ネタバレ、というか史劇なのでどんでん返しとかは、そもそもありません)。


「国政に介入してまで抵抗を貫いた国王の決断は、主権国家ノルウェーの民主主義の象徴となっている」

この「運命の3日間」および、その後の亡命先の英国から祖国に向けた鼓舞・支援、また戦後の帰国について、そのように語っていました。


「ヒトラーに屈しなかった国王」予告 12月公開



ちなみに「すべては祖国のために」を家訓(?)とするノルウェー王室ですが、その歴史自体は浅く、1905年、国民に請われる形で始まったとのこと。


1905年11月25日、デンマークから国王としてホーコン7世到着。

*THE ROYAL HOUSE OF NORWAY:History
http://www.royalcourt.no/seksjon.html?tid=27680&sek=27269


そして、映画の中では「お家に帰りたい」「いつ帰れるの?」なんて言っていた王子が現国王となり、先頃金婚式を迎えたそうです。


2018年8月29日、金婚式を迎えたハーラル5世とソニヤ王妃。

*THE ROYAL HOUSE OF NORWAY:Current Activities
http://www.royalcourt.no/nyhet.html?tid=164519&sek=27262



“他国の侵略に屈する国家は存在する価値がない”

ヒトラーの言葉だそうです。

だから他国を侵略することは悪ではない、というのが彼の理屈でしょう。けれど、文脈に寄っては、だから他国の侵略には屈せず抵抗するのだ、という意味にもなります。映画では、やんわりと降伏を迫るドイツ公使に対して、ノルウェー外相がそのような意味で引用・反論してました。


先の戦争について、二言目には「愚かで無駄で無意味な戦争だった」という日本の反戦平和主義者達の目には、こういう映画はどう映るんでしょう。やっぱり「犠牲者を増やしただけの間違った選択」でしょうか。武力に訴えてくる相手に対して、酒でも飲みながら話し合い、それで駄目ならさっさと降伏すればよかったのに、なんて感想をもつのかしら?

・・・ ・・・ ・・・ ・・・ ・・・

映画とは全く関係ありませんが、ワタクシがノルウェーという国を具体的にイメージできたのはこの時です。

Sissel Kyrkjebø - Hymne Olympique (Olympic Hymn 1994 Winter Games Norway)



いやあ、懐かしい。
【NHK】リレハンメル五輪~ノルディック複合団体 圧倒的強さを見せ2連覇!~


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