角灯と砂時計 

その手に持つのは、角灯(ランタン)か、砂時計か。
第9番アルカナ「隠者」の、その俗世を生きる知恵を、私にも。

#260 『わたし、定時で帰ります。』・・・を、当たり前にするのだ。

2018-08-05 06:21:33 | ぶらり図書館、映画館


「長時間労働を是正していく。そして、非正規という言葉を一掃していく。子育て、あるいは介護をしながら働くことができるように、多様な働き方を可能にする法制度が制定された」

*首相官邸ホームページ:働き方改革の実現
http://www.kantei.go.jp/jp/headline/ichiokusoukatsuyaku/hatarakikata.html#law001


確かに、役所の不手際もあったわけですが・・・例によって悪意に満ちた印象操作やら意味のない揚げ足取りやらを乗り越えて、ようやくです。

端から疑ってかかるのも、あくまでも反対を貫くのも、どちらもまあ自由ではありますが、いずれにせよ、とりあえず相手の言い分だけは知っとかないと話にならないわけで、上記サイトによると、本来、政府の考え方はこういうものだそうです。




〈世の中から「非正規」という言葉を一掃していく〉

そりゃそうだ。というか、正規・非正規の二元論自体、もう止めにしたら、って思います。働くことに違いはなく、自分の仕事に責任を負っているのも同じなわけで。


〈転職が不利にならない柔軟な労働市場や企業慣行を確立すれば、自分に合った働き方を選択して自らキャリアを設計可能に〉

ワタクシ的には「そうそう、ソコだよ」です。多くの人に「此処しかない」と思い込ませることでブラック企業は成り立ってるわけでして、よりよい会社、というか、よりよい上司を求めて異動するのが当たり前、くらいに働く人の風土が変わっていけば良いのに、って思います。



話は変わりますが(実は変わりませんが)・・・

「働き方改革」といえば、最近読んでおもしろかったものに、朱野帰子『わたし、定時で帰ります。』という小説があります。


ねえ、いつまで残業するつもり?
新時代を告げるお仕事小説、ここに誕生!

絶対に残業しないと心に決めている会社員の結衣。時には批判されることもあるが、彼女にはどうしても残業したくない理由があった。仕事が最優先の元婚約者、風邪をひいても休まない同僚、すぐに辞めると言い出す新人。様々な社員に囲まれて働く結衣の前に、無茶な仕事を振って部下を潰すという噂のブラックな上司が現れて――。


*新潮社:朱野帰子『わたし、定時で帰ります。』
http://www.shinchosha.co.jp/book/351641/


色々、楽しい小説でした。

以下に、主人公のセリフだけ拾って紹介します。ストーリーを想像してみてください。

「私はこれ以上、頑張りません」
「最初から残業をあてにするのはダメです。ぎりぎりに工数を組むと、トラブルが起こった時にスケジュールが燃えます」
「あのう、有給とらせないのも、土日祝日返上させるのも労基法違反ですよ」
「どんなことがあっても私は定時で帰りますよ。有給も好きな時にとります」
「死んで花実が咲くものか―です」
「仕事に命を賭けてしまうような危ない人たちに、この会社を牛耳られないためにチーフになるんです。残業なんかするわけない」

「昭和生まれなんか、だいっきらいだ!」

「私もそうなんだよ。定時になるたびに怖くてたまらなくなるんだよ。みんな私のこと、仕事できない女だって内心思ってるんだろうなって」
「でもさ、信じるしかないんだよね。今日の自分は精一杯やったって。明日の自分はもっと仕事ができるようになるって。無理矢理そう信じて、定時に帰ってるんだよ」
「定時に帰るのは勇気のしるし、だよ」
「定時で仕事を終えて、大事な人と会って、ゆっくり休んで、美味しいもの食べて・・・。そういう生活をみんなが送れるようにしたいと思った。大人になって、会社に入ったら、きっとそうしようと思ってた。夢とかじゃないの。・・・できるはずだって思いこんでた」
「他の人を、定時に帰すって、難しいね」

「・・・よく生きててくれたね」

「上になんて立ちたくない」
「たとえ長いものに巻かれてても、間違ってるってわかったら、巻かれるのをやめるのが、本当の美徳ってもんなんじゃないの?」
「やっぱりおかしいよ。仕事に命を賭けるなんて」
「私は誰も死なせたくない」
「あの人はきっとまた同じことを繰り返す。部下の弱い心を利用して、下請けの人たちを潰して、そういう空気にいつか会社全体が巻きこまれてしまうかもしれない」
「急激に変わっていく世の中についていけなくて、会社に居場所がなくなるんじゃないかって怯えてて、でも誰にもその気持を言えなくて、みんな怖いんです」
「後は、現場の人間が変わるしかないんでしょうね」
「定時に帰れる会社を、私が作ります」



所詮小説、と言ってしまうのは簡単ですが・・・

世の中のいろんなことが「空気」でできていて、でもその空気は、結局一人ひとりの「弱さ」の集合体で、だったら、少しで良い、自分が変わるしかないんだよ、ってことになるわけで。


たまに断るのは難しいけど、いっそ、いつも断ることにすれば楽かもよ、です。


もうひとつ、話は変わりますが(実は変わりませんが)・・・

「働き方改革」といえば、これも最近観たもので、割と面白かった映画です。

「ちょっと今から仕事やめてくる」予告2


*映画『ちょっと今から仕事やめてくる』公式サイト
http://www.choi-yame.jp/


ダメだと感じたら、辞めましょう。で、ダメな上司・会社はいずれ消えていきます。


最後に資料。

(2)年次有給取得の義務化
-----------------------------------------
【施行時期】2019年4月
【内容】有給休暇が年10日以上ある労働者について、そのうち5日の取得を企業に義務付ける。


*人事のミカタ:働き方改革法案、いつから施行?
https://partners.en-japan.com/qanda/desc_1010


ワタクシ、休日出勤断るもんだから有給なんてとったことないんだけど・・・今度の4月からって、ホントかしら?


最新の画像もっと見る

コメントを投稿