我を押し通してきた主人公、巧に相手の気持ちを理解しようという気持ちが芽生え始めてきた。しかしまだ、それを言葉で表現することができない。損な性格だね。
でも僕も中学生の頃はKYなところがあった。女の子にひどい言葉を使ったりね。そんな子の中に13才という若さで子宮癌で死んでしまった子がいた。今でもその子に食ってかかられてきたシーンを教室の湿った匂いと共に思い出す。
あさのあつこ『バッテリーⅠ』読了。
主人公にまったく感情移入できなかった。小学校を卒業して、まだ中学生にもなっていないのに、これほど“俺様的”なガキがいるか?
反抗期の年頃だとしても、野球を生活の中心にして親を憐れみ、蔑む姿はムカムカしてきた。
僕が同い年だったら、絶対に友達になれないだろう。むこうも友達扱いしないだろうけどね。
まぁ、6巻まである長い物語だから、この先どうなるか分かりませんが。今日書店でダ・ヴィンチを立ち読みしていたら角川文庫の人気No.1と紹介されていた。
田村裕『ホームレス中学生』読了。
今更ながらの感はあるが、なかなかに面白かった。ベストセラーになるのもうなずける。渡る世間は鬼ばかりではないことを実感したが、それは田村の人徳のなすところであろう。
空前の大不況の中、人生に不安を感じている人は多いだろう。しかしストイックに、真摯に生活を送っていけば何とかなるじゃないだろうか。居酒屋で飲んだくれて愚痴をこぼしているだけの人間は、なかなか前に進めないだろう。幸運の女神はすばしっこい。じっとしている人間に捕まる訳がない。
大沢在昌『新宿鮫Ⅸ狼花』読了。
新宿鮫シリーズは欠かさず読んでいる。数年前からヤクザの描写が変わってきている。それは表の社会も裏の社会も構図としては一緒だということだ。
勝ち組と負け組に分かれている。大きな組織が小さな組織を飲み込んでしまう。そして今のヤクザの世界では、度胸と腕っ節だけだと所詮はチンピラどまり。のしあがってゆくには頭の良さが不可欠だ。サラリーマン社会と変わりがない。
中学時代の友人に、数名、組の杯を受けた奴がいるがどうしているのだろう。刺青を入れたとか、刑務所に収容されて同窓会に出られなかっとか、かたぎの同級生に50万円で覚せい剤の運び屋をやらせたといった噂は聞くのだが。皆一様に頭が良いようには思えない連中ばかりだ。
門田隆将『なぜ君は絶望と闘えたのか』読了。
光市母子殺害事件のドキュメンタリー小説。これほど悲しく、せつなく、怒りに血が沸騰する小説を読んだことがない。
人を殺めた人間は自らの命をもってその罪を償う。この考え方に僕も大賛成だ。死刑反対論者など似非ヒューマニストにすぎない。9年間、闘い続けた本村さんにエールを送りたい。本当に心の芯が強く、人徳があり頭のいい人だと思う。