以前からこのブログの読者の皆さんには申し上げているが、小生どこかの政党を支持するとか、不支持とかいうことは言うつもりはない。与党だろうが野党だろうが、筋が通っているのか、はたまた個人の感覚で妥当な動きなのかについて述べているだけのつもりだ。ただ、結果として今の与党批判的なものになっているわけで・・・
今回も新聞やネットの記事で目に留まったものを紹介する。例の強行採決(この言葉ももはや毎回のことになっているが・・・)の共謀罪の件だ。
この法律に対し、国連特別報告者が安倍首相に懸念を示す書簡を送ったことに対し、政府が抗議を申し入れたというもの。
懸念の内容は、「プライバシーや表現の自由を制約するおそれがある」というものだが、「特別報告者は国連の立場を反映するものではない。(日本)政府が直接説明する機会はなく、公開書簡の形で一方的に発出された。内容は明らかに不適切だ」。また、「国連で採択された(国際組織犯罪防止)条約締結のために必要な国内法整備だ」と主張したという。
政府がよく言い訳のように言っている「国際組織犯罪防止条約締結のために必要」というお題目は、まったく的外れなことは、すでに複数のメディアによって説明されているが、そんなことはどこ吹く風。二言目には東京五輪のためとかテロ対策のためと。
現行の法律でカバーしきれないところだけどころか、恣意的な運用が可能なことは否定できないはずで、国連特別報告者の懸念はまさにそこにある様子。
これに対するネットの記事は次の二件がヒットした。まずは朝日新聞のもの。「共謀罪」法案、国連特別報告者の懸念に抗議 日本政府
続いては産経新聞のもの。【テロ等準備罪】国連特別報告者が日本に「共謀罪」懸念の書簡 菅義偉官房長官「明らかに不適切な内容で強く抗議」
見出しひとつで印象がずいぶん違う。個人的にどの新聞が正しいなんて言うつもりはないし、こういう立ち位置なんだとわかって読むものがきっと正しいとは思うが・・・皆さんはどうお感じになるだろうか。
個人の感性だが、国連の関係者から懸念の質問があるのなら、しっかりと反論できる根拠を示せばよいだけだと思うのだが・・・今朝の東京新聞では、この抗議を受けて、国連特別報告者がさらに「私の懸念に答えていない」というコメントを寄せている。
こちらの写真の対照表がわかりやすいが、確かに国の言い分は「指摘には当たらない」というばかりで、その懸念への回答にもなっていない。
このニュースを見て小生が感じたこと・・・どこかの国は、「北朝鮮のミサイル発射は明確な国連決議違反だ」と騒いでいるが、今回の書簡は決議というレベルではないものの、国連からの質問・懸念にまともに対応しようとせず、逆切れよろしく抗議してるのって、同じじゃねえかって。
ある記事でチラッと見たが、国際連盟脱退のときの状況に似てきたという人もいた・・・まさか、そこまではと思いたいところだが。
誰もが高校とかで習った(はずの)、天下の悪法と言われた治安維持法も、国会に提出された時点では、「一般市民は対象にはならない」との説明を、時の政府はしていた。
その後の運用は皆さんもご存じのとおり。現下の状況に照らせば、野党や国民がどれだけ反対しようとも、この法案は通るはず。すると、これから反政府デモはもとより、政府に反対する意見を表明することもはばかられることになるだろう。
国会で与党に反対意見を言う野党も、いきなり共謀罪の対象になるかも。なにしろ、「共産党を破壊活動のおそれある団体として閣議決定」したくらいだから・・・
もはや国会や国民軽視に加え、国連軽視まで・・・この国には民主主義はない。
「小さくて、似たような国が、アジアのあの辺にあるなあ」って、世界から見られているのでしょうか。
うーん、どうしたもんだか…。
世界の果てのところにある三つの小さな国がそれぞれなんかバタバタやってる…それが正しい認識かと。
日本人は先進国だと勘違いしてますが、もともとその水準になかったというのが正しいんでしょうね。