20年近く使っていたつめ切りが壊れました。
足の親指をパチンといったと同時に、
テコの支点部分のところが割れました。
よって新しいつめ切りを購入したのですが、
日本一ひょっとしたら世界一高価な市販のつめ切りかもしれません。
巷ではけっこう人気らしく値段が張るにもかかわらず売れているそうです。
道具としての機能は当然優れています。
仕上げに種類があって
私が選んだのは「ミラー」というやつで
職人の手作業で鏡面仕上げが施されています。
爪を切るだけならば切れ味という本来の機能だけあればよいのですが、
これはピカピカのピッカピカに磨かれています。
値段も通常のものの倍近いものです。
磨き賃がたっぷり乗っかっているということなのですが、
私はこのピカピカの「ミラー」タイプがなければ
おそらく買わなかったと思います。
保育園の園庭の土が
園児の「ピカピカはなんだか素敵本能」によって
まん丸のピカピカの泥団子に変わっていくように、
切れ味確かな職人の技が生きるつめ切りを
鏡面のように磨きあげることで
心くすぐるつめ切りにデザインされたと思います。
つめを切る時に自分の顔が
刃の側面あたりに映りこむのですが、
そこに歪んで見える己の姿に
少しドキリとしました。
コマーシャリズムに踊らされ、
消費社会の中で右往左往し、
物のなんたるかを忘れてしまった自分を
見せられているような気がして・・・
魅惑の道具、諏訪田製作所のつめ切りミラータイプ・・・
つめを切る以外にも自分の内側の何かを、
ピカピカに磨き上げたステンレスの肌に、
ひょっとしたら映し出してくれるかもしれませんよ。
私はピカピカのつめ切りよりも
つめ切りのピカピカに惹かれてしまいます。
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