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カタスミ

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『悪い女』吉川英梨著

2024-12-22 09:44:57 | 小説感想
雨に消えた向日葵が面白かったので
この作者さんの他の本が読みたかったのですが
シリーズ物ばかりでなかなか手を出し辛く、
今回1冊完結の本を見つけたので購入してみました。
以下ネタバレあり。



















う~ん、教師と生徒の禁断の愛、その後の不倫話、ってのが
元々自分の好みに合わなくて、いまいちだった…
殺人事件も絡んでくるのですが、それが発生するまで
下手な官能小説みたいにゴリゴリのエロ話で、
いや、そういうの良いわ…って感じで…。

出てくる登場人物はだいたいクズなので
ひどい目に合ってもあんまり気にはならなかった。
不思議とクズでも嫌いなキャラにはならなくて、
これは作者さんの手腕なんだろうか。

主人公の玲花は家庭環境のせいか、あまり自分がなく、
人に依存するタイプで、更にクズばっかり引き寄せるせいで
素行の悪い友達や、生徒に手を出す先生や、浮気する彼氏や、
管理しまくってくる両親やらで、とにかく周りにいる人間がひどい。
そのせいかだんだん本人もクズになっていく…

女子高生時代と、結婚後の2つの時代を行き来して物語が進み、
女子高生時代は教師辻沢に溺れていき、落ちる所まで落ちて
最終的にその子供を出産する。
現在は、当時の友人の葬式で再会した辻沢と再び燃え上がり
結婚して子供二人もいるものの、不倫に溺れていく様が描かれる。

辻沢と再会して不倫関係になるのも、流れがなんかすごい唐突で
途中まで、辻沢なんていないのではないか…などと勘ぐってしまったw
玲花が精神ぶっ壊して入院して暴れまくっている所を子供に見られ、
その子がおもらしする事で突如母性に目覚めるのですが、
それもなんでそのタイミング…?なんて思いました。
こう言っちゃ身も蓋もないが、ルナティック雑技団の
天湖森夜のおかんを思い出しちゃったぜ…w
最後、玲花が女子高生時代に生んだ息子と
辻沢が偶然再会するシーンも、そんな上手い事行きます?って感じで、
割と全体的に強引な印象…

それでも、殺人事件が起きてからの後半パートは割と面白くて
ぐいぐいと引きつけられるものがありました。
それもあって、前半のエロ小説がダラダラ続くのはほんと残念。
ドロドロした人間関係とかあんまり好きじゃないし、
やっぱ自分好みの物語を選ばないとダメだなぁ…と思った。

星は3.5。

『定年ゴジラ』重松清著

2024-12-18 00:40:28 | 小説感想
定年を迎えたおじさん達の日常。
以下ネタバレあり。



















今年は重松清読んでなかったなぁ…と手を伸ばす。
日常ほっこり系でまぁまぁのんびり楽しく読めました。

大手銀行を60歳で定年退職した山崎さん。
くぬぎ台ニュータウンに家を構えていたが
この町、何もありません。
毎日散歩して、でも退屈で。
そんな中ご近所の定年仲間達と知り合い、
退屈な日々を少しずつ楽しみはじめる。

結構前の日本が舞台のようで
この時代だと60歳って年寄り扱いだったのかもしれないが
今となっては60歳なんてまだまだ現役バリバリでいけると思うので
老人扱いにちょっと違和感があった。
やっぱ昔に比べて10年くらい
見た目とかも若返ってる気がするなぁ…
その分いつまでたっても働かされる訳ですが…^^;

山崎さんに、町内会長さん、ニュータウン建設に関わった藤田さん、
あちこちに転勤して様々な方言を操る野村さん、
ユニークな登場人物達が楽しく描かれておりました。
それぞれ抱える悩みもありつつ…
山崎さん家は娘が二人、成人して家も出ているのですが、
下の娘が絶賛不倫中で、
奥さんとは別居中の男で、結婚の約束をしているから、と
山崎さんは割と寛容な対応なのですが、
いやぁ、その男…あかんやろ?
離婚してから付き合うのが筋違うの?
結婚を約束しているが、相手の奥さんが判を押してくれない…って。
そりゃあな!子供もいるしな!
個人的にはこの件に関しては、娘の態度も、両親の娘に対する態度も、
なんかちょっと頂けなかったかなぁ…?

ちょいちょいほろり、とくる話もあって、
個人的には『ふうまん』って話が好き。
単身赴任ばかりしていた野村さんが
定年で家に帰ってきたが居場所がなく、
息子二人にぐじゅぐじゅ言ってる話…て書くと
身も蓋もないけど^^;
ちょっとうるっときてしまった。

人生も終盤を向かえた人達の生き方が
少し侘しくも有り、でもまだまだこれからでも有り、
心に染みる感じの良作でした。
星は3.5。