「カシミヤ」森には着て行くな☆

「洋服の変態」が、服を買い始めてから現在までの20年弱を回想します

師匠と弟子?のキケンな話

2008-12-31 06:43:48 | Weblog
  弟子 : 師匠!今年も大変お世話になりました。

  師匠 : あなたには今年も大変苦労させられましたが、まあ年の瀬ですから忘れて上げます。

  弟子 : ありがとうございます。

  師匠 : ところでコートの仕様は決まりましたか?

  弟子 : それがまだなんです。

  師匠 : また迷宮に入ってしまったのですか。  前にも言いましたが邪念を捨てなさい、邪念を・・・  前に、形はチェスターフィールドと言ってましたが、「インバネス」や「パルトー」なんてどうです?

  弟子 : 「インバネス」や「パルトー」なんてとんでもないです。  普段に使い易いモノがいいですから。  ところで、「インバネス」や「パルトー」に向いている生地なんてあるのですか?

  師匠 : 珍しく良い所に気付きましたね。  あるんですよ向き不向きが!  実際には好みで作りたいものを作れば良いのですが、「インバネス」等は生地を沢山使いますから、生地は‘軽さ’を感じるモノの方が良いワケです。  以前、“ビキューナ”で「インバネス」を作られた方がいらっしゃいましたが、それはそれは良いコートでしたよ。

  弟子 : なるほど!  では逆に、‘重さ’を感じる生地はシンプルに仕立てた方が良いというワケですね。

  師匠 : いつもと違って今日は冴えてますね、その通りです。  今年一年色々と教えた甲斐がありました。

  弟子 : 出来が悪くてスミマセン。  来年こそはガンバリます。



あらぬ話1231

2008-12-31 06:43:44 | Weblog
【大阪・神戸(?)一巡り:こぼれ話】

 石田洋服店のHPに、『Harris Tweedのマルチウィンドウペーン・バリエーション』と書かれた生地がある。  この生地は、画像ではよく分からないと思うが、実物は可成り使われている色が明るい。  つまり、良く見掛ける(想像する)Harris Tweedらしくないのである。  HPには書かれていないのですが、この『マルチウィンドウペーン・バリエーション』は、「イタリアの羅紗屋が別注して作らせたモノである」と教えて貰いました。  それを聞いて「なるほど!どうりで!!」と思ったワケです。  
 石田洋服店を訪ねた直後には、‘アイリッシュリネン’や‘モールスキン’に夢中だったのですが、じわじわと“マルチウィンドウペーンのHarris Tweed”が気になり始めています。  現在発売中の雑誌「UOMO」には、ミラノのショップ「アル バザール」のスタッフの面々が取り上げられていますが、「冬=ダークカラー」を打ち崩す着方は、年末を迎えたこの時期には妙にグッとくるものがあります。(現実には、浮くって事が判っているのですが・・・)

 で、明るいHarris Tweedなんて見ていたら、昨年細川毛織で挑戦した「オーダー生地」の話になった。  すると石田原さんから、「ネームを織り込んだ生地のオーダーが出来ますよ。」と言われたのがキッカケで話は意外な方向に!  

   森の番人 : ネームを織り込むのって昔からありますけど、アレって悪趣味じゃあないですか?

   石田原さん : そうですね。  あと街中で、いきなり知らない人から「○○さん」って声を掛けられます。(苦笑)  何しろ私は○○ですって言ってるようなものですから。

   石田原さん : それより、生地好きが集まるサイトって知ってます?

   森の番人 : そんなのがあるんですか?

   石田原さん : 海外のサイトなんですが、3つ程面白いのがありまして、俳優の誰々が映画で着ていた服を再現しようなんて事もしてるんです。  通常、生地を1から作ろうとすると、大きなミルの場合最低でも100mの生地を発注する必要があるんですが、何しろ世界中の生地好きが集まっているワケですから、1人が2mか3mしか買わなくても50人集まれば(オーダーが)可能なんですね。

   森の番人 : それはスゴいですね。  でも、よくそんな情報を知ってますね。

   石田原さん : はは、実はそれで生地を作られた方が、私の所へ仕立ててくれと持ち込まれたのですよ。  森の番人さんも仲間を募って生地を作ってみたらどうですか?



 さて、実際にオーダー生地の仲間を募集するかは別にしまして、色使いに徹底的に拘ったタータンチェックやミリ単位まで大きさに拘ったグレンチェックなんかは作ってみたいと思いますね。

   

     

あらぬ話1223

2008-12-23 09:06:42 | Weblog
【大阪・神戸(?)一巡り⑤】

 最後になりましたが、金子洋服店の話です。

 最後になってしまったのは、今回は前に作ったGREENのLINEN・JACKETを見てもらう為だったから。  作ってくれた象平くんから、「着たところを見てから納品したい。」との申し出があったのですが、結果的にJACKETを郵送してもらった為に、最終確認が済んでいなかったのです。  今回見てもらって、“問題なし!”のお墨付きも出たので来春からは本格的に始動させます。

 例によって、私から無駄話しの数々をして彼の仕事を中断させたので、象平くんが作ったコンケープショルダーのジャケットを紹介しましょう。
 既に、コンケープショルダーのジャケットについてはメールにて画像を送って貰っていたので、まずまずの出来である事は判っていたのですが、実物はかなりイイ出来でした。  どうしても前身頃から見た肩線に注目してしまうのですが、コンケープショルダー・ジャケットですから肩線がキレイなのは当たり前です。  このジャケットで注目なのは、実は後身頃です。  肩甲骨からウエストを通り裾までのラインが実にキレイなんです。  当ブログではお馴染みの「shin1さんのブログ」で象平くんの仮縫い服が画像でアップされていますが、それを見てもその片鱗が見て取れます。  せっかく金子洋服店はHPを持っているのだから、作ったモノを紹介すればイイのにと思うのですがね!

 興味を持たれた方は、是非キタの金子洋服店・本店に行って見て下さい。  ウインドーに飾ってありますが、背中を見る為には店内に入らないと見えません。

あらぬ話1222

2008-12-22 21:15:06 | Weblog
【カシミヤ100%にあらず・・・】

 先週の日曜日に、ユニクロでカシミヤ100%のタートルネック・セーターを購入しました。  購入するにあたって、“カシミヤ100%”である事に期待して買った訳ではありません。  正直に言えば、全く期待していなかった。  だから、普通のメリノウールで良かったのですが、ユニクロではメリノウールのタートルネック・セーターが販売されていなかった事と、他のブランドやショップでは良品のメリノウールでも2万円以上するので、2枚買っても1万円に達しないユニクロでカシミヤ100%を選んだワケです。

 ユニクロの店舗で触っている限り、「そんなに悪いものじゃあない」と思っていたカシミヤ100%も、実際に着用してみると少なくとも私がこれまで袖を通してきたカシミヤ100%とは感触(風合い)がかなり劣ると思う。  で、あるから本当のカシミヤを堪能したければ、少なくとも5万円は支払う必要がまだまだありそうです。  しかしながら、ユニクロのカシミヤ100%を真っ向から否定する気はない。  その理由は、感触(風合い)は別として保温力が高い事が判明したからです。  結果として、この買い物は良かったと思っています。

 どうか、ユニクロでカシミヤ100%セーターを購入した人が、コレが「カシミヤだ!」とは思わんで欲しい。

ついでの話

2008-12-21 21:33:51 | Weblog
【ブランド飲料】

 今日、スーパーで2つのブランド飲料を買いました。

  ①JEANPAUL GAULTIER×evian : ファッションデザイナーJEANPAUL GAULTIERが、ボトルをデザインしたevianです。  中身の水は特別な物ではないので、どの位の人にアピール出来る商品なのか判りませんが、私は買ってしまいました。

  ②Patissier H 牛乳 : パティシェ辻口博啓が監修した牛乳です。  「お菓子作りにおいても自然なままの生乳の味を活かせます。」との事なので、ちょっと“そのまま飲む事に躊躇します”が、しっかりした味が好みの私は好きですね!この牛乳。  明治乳業が発売している「おいしい牛乳」よりも少しだけ高いだけなので、今後も玉には買ってみようかと思います。


 こんな所にもブランド!でした。    

あらぬ話1219

2008-12-19 07:01:13 | Weblog
【大阪・神戸(?)一巡り④】

 竜田靴を後にして向かったのはTrading Postです。

 昨年の同時期に注文したTricker’sのお蔭で、今年の年明け早々にクーポン券が送られてきていた。  そのクーポン券の有効期限がこの12月末までだった事もあり、それを使ってTricker’sのパターンオーダーを再度試みようと考えていた。

 店内に入ろうとした際、入口の脇に数々のTricker’s達がディスプレーされていた。  後で聞いた話しでは、他店で別注したものが集まっていたようです。  その中に、銀座店が別注したという「グレースエードのサドルシューズ」があった。  グレー(カラー)のスエードは、行く前から考えていた第一候補の素材だったので、正にドンピシャな靴(サドルシューズ)でした。  「お客様のサイズなら在庫があるかも知れません。」と言うので調べてもらったのですが、残念ながらハーフサイズ大きい物しかなく、「やっぱりパターンオーダーか!」との気持ちに傾く。  在庫を調べてもらっている間、Tricker’sのローファーを見ていた。  ポッテリした形がなんともファニーな感じなんだけれど、足入れをしてみた感じはスゴく良いので、「コレでグレーのスエードもアリかな?」と口にすると、店員さんも「実はグレーのスエードでローファーを店の別注でしたかったんですよ。」との事だった。

 パターンオーダーにいつて色々と迷っている間に、店員さんは別のお客さんの修理伝票を作成し始めた。  その間を利用して、Allen EdondsやCrockett&Jonesの靴にも目を通す。  目に留まったのは、Allen Edondsのタッセル・ローファーです。  しかし、この靴はトゥ周りが私の好みではなかったので×(バツ)。CARMINA  どれも決め手に欠ける気がしてきたので、「帰ろうかな・・・」との想いが頭を霞めた時だった。  伝票を書き終えた店員が、「店頭には出していないのですが、CARMINAのタッセル・ローファーがあるのでご覧になりますか?」と言って出て来た靴を見て即決してしまいました。  昨日、「なんだか最近はタッセルばっかりだなあ~???」なんて書いたのは、こんなオチがあったワケです。

 CARMINAのタッセル・ローファーは、手元にあるGRENSONのモノに形が似ています。  捨て寸が決して取ってある方ではないのに、スッキリ長く見えるから小足の私にはピッタリな靴です。  竜田靴では黒の革にしたので、CARMINAはダークブラウンを選びました。

 当分の間、グレーのスエードについては考える時間が出来たので、ローファーか?サドルシューズか?で、じっくり考えるとします。

あらぬ話1218

2008-12-18 07:03:43 | Weblog
【大阪・神戸(?)一巡り③】

 カールフロイデンベルグの革を見ました。  竜田靴で・・・

 廃業されたタンナー故なのか、‘幻’なんて表現されるカールフロイデンベルグの革ですが、廃業される直前の革(特に茶色)はそれほど別格扱いする物ではない気がしていました。  ですから、竜田靴の小松くんから「カールフロイデンベルグの革って良いんですか?」と聞かれた時には、思っていた事をそのまま話しました。  すると、「実は(仕)入れたんですカールフロイデンベルグの革。  見られますか?」との事だったので、遠慮なく見せて貰いました。


  小松くん : どうですか?

  森の番人 : 黒は良いけど、茶はイマイチだね。

  小松くん : やっぱりそうですよね。

  森の番人 : でも、この位の黒ならイイ靴が出来るんじゃないの?

  小松くん : スリッポンなんて面白いと思います。

  森の番人 : じゃあタッセル・ローファー作るわ!


 って事で、タッセル・ローファーを作る事になりました。  なんだか最近はタッセルばっかりだなあ~???

あらぬ話1217

2008-12-17 06:58:43 | Weblog
【大阪・神戸(?)一巡り②】

 前回に続いて石田洋服店の話です。

 昨日、石田洋服店の2009年春夏物早期ご予約プログラムに追加された「brisbane moss(ブリスベーン・モス)」のコットンバンチを見て来ました。  「今朝届いたばかりです。」と言われたのですが、「本当かよ?」と疑いつつ見始める。
 石田原さん曰く、「来年はサマーコーデュロイでスーツでも作ってみようかと思っています。」と言われ、つかさず「暑いでしょう。」と返すと、「まあ、見た目が問題ですよね。  周囲の人間が嫌な思いをするのも何ですから。」との事でした。  前回書いたリネンに比べると、重さ的にはサマーコーデュロイの方が軽いくらいですから、蒸し暑さだけを除けば初夏までは問題ないと思いますが・・・
 そのサマーコーデュロイですが、色目はなかなかキレイな物がありまして、特に気に入ったのは“ピンク”です。  流石にピンクをスーツという訳にはいきませんので、パンツを作って穿きたいと思いました。  アイリッシュリネンのジャケットの下にです。  春にはなかなか良さそうだと思うのですが。

 このブリスベーン・モスもスペンス・ブライソンと同様に、有名なミルやマーチャントのコットンを織っています。  「brisbane moss」のバンチには、モールスキンもあります。  ところで、モールスキンは本来どんな目的で織られた生地だかご存知ですか?  陶磁器の職人が、釜の中に入る時に着る為の耐熱地だったそうです。  そんな成り立ちですから、当然重い方がモールスキンらしいかと思いますので、20oz以上の目方が欲しいですね。  ブリスベーン・モスのモールスキンには2種類の目方があるのですが、当然の事ながら20oz以上モノが用意されています。  他のミルやマーチャントでは見掛けない、色のモールスキンがあるのが特徴です。  パープル・グリーン・レッドなんて見ませんから。
 コーデュロイに比べて暖かいのもモールスキンの良さです。  元が耐熱地だけあって防風性にも優れているので、寒がりな私にピッタリです。  という訳で、早速どんなものを作ろうかと考えているのですが、少しワークの匂いのする形にしようかと。  どうするかな~!!!

おだやかに語る:第13回

2008-12-16 07:21:30 | Weblog
【パーティと礼装】

 ここ数日、ノーベル賞のニュースがテレビや新聞で報じられました。  一度に4人もの日本人の受賞ということで可成りの騒ぎになったようです。
 ノーベル賞は国王陛下から頂くわけで、そこに参列する方達は皆さん燕尾服を着用するわけです。  燕尾服というと、すぐ頭に浮かぶのは毎年宮中で行われる大綬章の親綬式、外国から国賓がみえた時の宮中晩餐、あとはオーケストラのメンバーの服装ぐらいでしょうか?  でもやはりノーベル賞の受賞式の写真などを見ていると、やっぱりなかなか良いものだなと思います。

 実は先日、あるパーティーに呼ばれまして参加したのですが、服装指定が「ディナージャケット又はそれに準ずるもの」とあったので、久し振りに蝶ネクタイなどをしめたわけです。  自分でも参加してみて、やっぱりこんな会も良いものだなと思いましたね。  近頃、礼服を着るパーティーがだんだん少なくなってしまいました。  可成り簡便にという事なんでしょうが、やはり形を整えるということは大事だと思うのです。  多分一般的にも、着る機会が無いから礼装を着用しないのだろうと思いますね。  忙しい、忙しいと言ってないで、たまにはゆったりした気分で礼服を着てみたらどうでしょうか?  本当は、休日の昼間なんかに野外でパーティーがあって、モーニング着用なんていうドレスコードだったら面白いと思いますよ!  どなたか一つやってみて下さる方はないでしょうかね。  不況、不況と騒いでいる時こそ、ゆったりした気分で参加する会が大切だと思うのです。  尤も、日本には残念ながら礼服で参加するのに適した場所が少ないのかも知れません。  でも例えば、立派なレストラン、ホテルなどが「礼服着用」という場所を作ってくれる事から始められないでしょうか?  暫く前までは、ドレスコードのあるホテル、レストラン、劇場などがあったのに、いつの間にか無くなってしまいました。  気軽なのは結構ですが下手をすると不精につながってしまう恐れがあるためと思っています。  まあ自分自身が結構不精になってしまっていますけどね・・・

あらぬ話1215

2008-12-15 07:59:39 | Weblog
【大阪・神戸(?)一巡り①】

 最近、服に対して全く気持ちが盛り上がらなかったので、先週の木曜日に久しぶりにセレクトショップ巡りをしたのですが、それでも昂る事がなかったこともあり、昨日急遽「大阪・神戸一巡り」して来ました。  金子洋服店 → 竜田靴 → Trading Post → 石田洋服店の順で回って来たのですが、先ずは一番印象深かった石田洋服店の話を・・・

 以前から、石田洋服店の生地セレクションには一目を置いていまして、秋冬の案内を見ては「行きたい!」と思っていましたので、ちょっと足を伸ばしてみました。 
 一番見たかったのは「ネイビーグリーンのコート地」だったのですが、既にSOLD OUTで残布もありませんでした。  石田原さんによれば、「戦艦の色ですよ」との事だったので、「まあ手を出さなかったかも知れないな~」と思い諦めが付きました。 
 そこで見せて貰ったのが、「SPENCE BRYSON(スペンス・ブライソン)」のLINENコレクションバンチサンプルです。  石田洋服店のHPを見て頂ければ分かるのですが、スペンス・ブライソンは北アイルランド唯一のアイリッシュリネンの織物工場だそうで、有名なミルやマーチャントから発売されている“アイリッシュリネン”はココで織られています。  ダークネイビーだけの限定になりますが、2009年春夏物早期ご予約プログラムで格安になります。  今年の夏に、金子象平くんに作って貰った‘グリーンのリネン’と同じ重さですね。  バンチ表記は違う重さが書かれているのですが、1mのスクエアーカットと1・5m幅での表示の違いだそうで、全く同じとの事でした。  そこで疑問なのは、スキャバルとホーランド・シェリーでは400gと440gとなる40gの違いは?という事なんですが、150cmと実際の幅である147cmの差のようです。  オンスとグラムの掛け率もありますから、実際には繰り返しになりますが、同じ商品みたいです。  ハンドで作るのも良いですが、マシンで作って安く上げるのも良いかも知れません。  夏物ですから、安く!安く!なんて考え方もありかと思います。(実際は厚くて真夏には着れませんが・・・)
 ちょっと裏話ですが、“アイリッシュリネン”の表記は無くなるかも知れないとの事。  その理由は、(織機)工場が来年から中国へ移転するそうなので、“チャイニーズリネン”?となるそうです。
 2009年春夏物早期ご予約プログラムの対象にはなりませんが、ストライプやチェックのリネンなんてのも来夏はイイと思います。  通常価格でも、他のミル・マーチャントと比べると安いので、リネンに抵抗のある方には向いているかも?