馬の足跡 -あしあとー  

K ~競馬やスポーツについて好きなこと書いてる日記・覚え書き~

ナルシストN 三ッ寺に眠る…

2010年02月17日 | ここだけの話
夜の仕事(水商売)は、人気商売。
だから当然モテる奴は、むちゃくちゃモテる。
だがモテるということは、恨まれることとも
常に背中合わせなのだ。




ナルシストN 三ッ寺に眠る ~1996~



今も飲み仲間、ナルシストN(元ホスト)の話。
Nは、モテるモテないでいえば断然モテる方。
(残念ながら今では、メシ&酒でブクブクと当時の面影はない)
口数は少ないが、王子様系の顔をしていてお店の売れっ子だった。

ホストの店って真夜中オープンの朝8時くらいまでってのが
その当時の主流だった(今は昼ごろまでやってるみたい)
店にもよるだろうが、俺んとこの店ではこんなかんじだった
店終わります → お客さん帰ります → 片付け洗い物します
でミーティングして終わり、従業員解散のパターン。
すぐ帰る者あり、食事に行く者あり、店で寝ていく者ありetc…

その日は、従業員揃って出て”みんなでメシ行こう”なんて
言いながらミナミの三ッ寺筋を歩いていた。
朝の、ミナミ(三ッ寺筋)なんてノロノロ運転のタクシーが
走ってるくらいで静かなもんだ。

そこに向こうから走ってくる人影が見える。
距離ににして、30メートルあるかなしか。
先頭を歩いている俺は、残念ながら目が悪い。
だが朝の三ッ寺を走ってる人を、俺はあまり見たことがない。

なんか怖っ…

近づいてくるうちにわかった。
Nのお客さんのHちゃんだ。
思うもつかの間、俺の横をすれ違っていった。
すれ違ったとき、俺のジャケットは微かになびいた。

そのあと、すぐに聞こえた音。
 ”バッッシーー”

えっ…?
後ろを振り向くとHちゃん、さらに御堂筋方面に向かって走っている。


もう一度、
えっ…?

何が起こったか分からない。
その場にいた者、全員が呆然としているのだ。


ただ気付いた。Nが倒れている!!
まさか、殴られたのか?

みんなが我に返り倒れているNに声を掛ける。
”大丈夫か!!”
”おい、N!!”
”大丈夫ですか”
数十秒は、倒れていただろうか。

Nが、目を開いた。そして静かに言った。
”大丈夫や”
殴られたんか?
”とにかく大丈夫やから”
Nは、みんなと行くはずだったメシを断り帰った。

Nの後ろを歩いてた者は、見ていたはずだ。
俺は、聞いた。
”思いっきりラリアットされました”

殴られるのもキツいが、まさかのラリアットって……
数秒の沈黙のあと、一同大爆笑!!
Nよりも後ろを歩いていた者は、笑いを堪えるのに必死だったらしい。
Nさん早く帰ってくれ、話したくて仕方がないと。

そうだ!Nは、自他共に認めるナルシストだったんだ!!
そんなナルシストな男が、
格好悪い姿をみんなに見せるわけにはいかなかったのだ。



この話、今でも飲むときの酒の肴になっている。

タイトルは、
 ”三ッ寺ラリアット” だ!!

今では話に色が付いて、Hちゃんは、腕にガッシガシにテーピングしてたとか、
Nは、バシッと決まるようにラリアットが決まる瞬間、アゴを少し上げたとか、
Nは、カウントを数えるとサイドロープ(どこにあったん?)に足を掛けたとかetc…。
アホな話やなぁ。


そのHちゃん今はどうしているのだろう?
結婚してたり子供いてたりするんだろうね。
でも残念ながら俺には、どうしてもHちゃんの顔が思い出せない。

俺は、たまにその時のことを思い出す。
でもHちゃんの部分だけが、どうしても故テリーゴディなのだ!
元プロレスラーの”人間魚雷”と恐れられたテリーゴディ!!

せめて長州力にしてほしい。
おしまい。