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枯雑草の写真日記2

あの懐かしき日々を想いながら・・つれずれの写真日記です。

水煙の上の青空に・・法華山一乗寺、三重塔

2012-08-20 | 古い神社や寺で
          法華山一乗寺は兵庫県加西市山中にある天台宗の寺院。
          西国三十三観音霊場の第26番札所でもあります。
          天竺から紫雲に乗って飛来した法道仙人が610年に開いたとする寺伝を持ちます。
          伝説の域を出ないものとは言え、兵庫県東部を中心に、多くの寺が法道開基を
          伝えるところから、この地方に山岳信仰の中心となった人物が存在したことは
          否定できないといわれます。
          寺は山腹を長い石段で本堂に上っており、その途中に建つのが三重塔。
          平安時代の終り(院政期ともいわれる)1171年の建立。今に残る三重塔では、
          奈良、京都以外に存在する塔で最も古いものです。(国宝指定)
          高さ21.8m、本瓦葺き。初重の大きさに比べ上層の逓減が大きく安定した感じ
          を与えます。塔は時代が降るとともに簡略化、安定した構造へと変わりますが、
          この塔は心柱が地上から初重天井上に移る最初期のもの。
          初重、二層の中備えには最も古い形式の蟇股が見られます。軒下の木組みや
          軒の二軒繁垂木は新旧の部材が混じりますが、仰げば古色の迫力と美しい流れ
          を感じさせます。軒先の鬼瓦や風鐸も古色な趣のもの。
          最上層の屋根はわずかな「照りむくり」を有します。屋根の上の相輪は唐草文様
          の水煙を有するもので、塔の立つ位置で本堂の回廊から・・青天空の下の・・
          その美しさを身近にみることができるのです。

          西国霊場の札所ではありますが、その日は巡礼の姿は見掛けませんでした。
          門前に唯一軒あるお店。「お茶をお接待しまーす」と女性の声に呼び止められます。
          四国遍路以外で聞く、この「お接待」という言葉、懐かしいもの・・
          「いやいや、札所巡りではないんです」といいながら、お茶を戴いて、三重塔と
          その上の青い空を反芻しておりました・・