皆さんご存じのように、一般的には床と壁が取り合うところの「見切り」として、画像のような「巾木」というものがあります。巾木の納め方は色々とあるのですが、ここでは省略します。
この「巾木」、当然ながら外部にもあります。(鉄筋コンクリートの住宅では、外壁と巾木との区分けがほとんどありません。)
この板壁と、コンクリートの犬走りが取り合うところ、普通ちょうどコンクリートの基礎部分にあたるところが「巾木」と呼ばれます。
木造の戸建て住宅の場合、一般的には外壁と巾木は当然材料が異なりますので、次の画像のように「見切り縁」というもので雨水を切ります。
僕は以前から、日本の木造戸建て住宅はなんとなく地面の上に「置いた」ように見えるのに対し、例えば英国の家は地面から「生えている」ように感じていました。
これは「ピーターラビット」でも有名な「ヒルトップ」の住宅ですが、外壁はそのまま地面と交錯しています。
また次の画像はストリートビューで適当に見た、英国の名も無い田舎の比較的新しい住宅ですが、やはり「巾木」が見当たりません。
勿論英国の住宅にも「巾木」のある家はあるのですが、比較的高さが浅く、デザイン的にもうまく処理されています。
僕が思うに我が国の木造戸建て住宅は、外壁などの質の違いだけでなくこの「巾木」による「分断」のために、何となくそこに「置いた」感じになっているのだろうと思っているのです。
しかし我が国の戸建て住宅でも、この「巾木」部分をうまく処理しているものがあります。
例えば、
これは江戸時代の武家住宅ですが、杉皮葺きの腰外壁が三和土(たたき)の犬走りと取り合うところには、差し石の五郎太石があるのみで、実に美しい。(と個人的に思う)
また、現代でも数寄屋建築では次の画像のように
巾木の部分に「腰板」と呼ぶ板を配し、犬走りと交わるところは「地覆石」を設けるか、又は「差し石」として五郎太石を並べます。
このため、武家住宅や数寄屋住宅では「巾木」による「分断」が無く、落ち着いた佇まいを見ることになります。
基礎は高い方が床下の乾燥に良いですよ、などと背丈の高い巾木をそのままモルタルで見せている住宅がほとんどなのですが、
せめてこの画像のように「巾木」くらい、きちんと処理をしましょう。
mm
(ヒルトップ画像:ネットより)
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