紅葉まっさかりの軽井沢で、10月17日、軽井沢ナショナルトラストの「A女史山荘」見学会があり、「さとうかえで」の大木がある同別荘の庭で、「メープルシロップ作り」のワークショップが行われた。
同別荘の「さとうかえで」Acer saccharinumの大木は、北米原産であるらしい。樹齢100年ぐらいになるようである。カナダ生まれの宣教師A女史(1877-1960 )は、明治36年、来日、東洋英和女学校で教えた後、富山市へ移り、明治44年、青葉幼稚園を開園、昭和16年、日本に帰化している。
メープルシロップは、冬場、さとうかえでの幹から樹液を採取し、煮詰めれば「メープルシロップ」ができ、さらに水分を取り除き顆粒状にすれば、「メープルシュガー」ができあがるということである。
ワークショップでは、同トラストの地元会員(役員)の方が原液を鍋で時間をかけて煮詰め、ちょうどできあがるところであった。原液そのものは、試飲させてもらったが、かすかに甘味が感じられる程度であった。一方、煮詰められたメープロシロップは、なめさせてもらうと、上品な甘味があり、美味しかった。
日本には、かえでの樹が20種類ぐらいあるらしいが、「さとうかえで」は北米原産で、カナダや米国では昔からメープルシロップやメープルシュガーが作られている。
モンゴメリー女史(1874-1942)の『赤毛のアン』には、「ラズベリージュースraspberry cordial」(イチゴのコーディアル)は出てくるが、「メープルシロップ」「メープルシュガー」の話はあまり出てこない。シュガー(砂糖)は日常必須の甘味料なので、話には出てこないのかもしれない。
一方、米国ニューイングランドの自然豊かな地域でガーデニングをしながら絵本を描き続けたターシャ・テユーダー女史(1915-2008)は、日本にもファンが多いが、子どもたちと1年12ヶ月を暮らす日々を描いた絵本の作品『A Time to Keep』がある。子どもたちが嬉々として樹液採取をしている様子が描かれている。なにしろ子どもたちは甘いものが大好きである。
3月、子どもたちや皆が集まって、さとうかえでの樹にバケツをとりつけて樹液を採取、それを煮詰めて、メープルシロップやメープルシュガーを作る。そして一日の作業が終わって、シュガーハウスで夕食をとり、そして雪にメープルシュガーをかけて食べる、、、
子どもたちはアイスやアイスクリームが好きだが、手作りのメープルシュガーをかけて食べる雪は、自然の味そのものがすることであろう。自然とともに暮らすターシャの生活がよくあらわされているといえよう。
軽井沢には、楓の樹が20種類ぐらいあるらしいが、メープルシロップ作りはまだ始まったばかりらしい。ワークショップの終わりに、商品化された「軽井沢メープルシロップ」の紹介があり、筆者も「軽井沢メープルシロップ」「軽井沢ブルーベリーメープルシロップ」「軽井沢白樺メープルシロップ」のミニボトル3点セットを購入させて頂いた。いずれもまだ軽井沢産のメープルシロップは約1%しか入っておらず、カナダ産のカエデ樹液が主として使われているそうである。ちなみに今日の売り上げは「A女史山荘」の保存活動のために使われるそうである。
昨今、軽井沢ではフレンチトーストが人気だが、軽井沢産のメープルシロップをかけて食べれば、味は格別だろうし、また地産地消にもなる。今後、軽井沢産のメープルシロップが増産できるような環境作りが必要であろう。
ちなみに、埼玉県秩父市では、同地に自生するカエデの樹に着目し、カエデの樹液で山を再生し、地域おこしの活動がすすめられている。同市には、日本に自生するカエデ26種類の内、24種類があり、約3000本のカエデの樹が確認されたという。
2003年、市内の小さなお菓子屋さん17軒により「秩父市お菓子な郷推進協議会」が発足し、カナダケベック州で視察研修したり、樹液採取の名人を招聘研修し、「秩父カエデ糖菓子」を商品化、2007年4月、4品を市内で発売したところ、1ヵ月半で売り切れたという。
その後、商品は8種類に増え、サイダーなどもあるという。この町おこしの試みは、NHKで「食をめぐる挑戦、カエデの樹液で山を再生」として取り上げられたり、総務省が「秩父市お菓子やさんの地域おこし、地場産品発掘・ブランド化」として取り上げている。

軽井沢にある「さとうかえで」の大木、カナダ生まれの宣教師A女史の軽井沢山荘の庭、ワークショップ配布資料より

同上資料より

樹液採取器具とバケツの実物

手前のボトルに入っているのが樹液原液、それを鍋で煮詰めてメープルシロップを作っているところ

出来上がったメープルシロップと商品化された「軽井沢メープルシロップ」

Tasha Tudor:A Time to Keep, The Book of Holidays, 1977より

同上

『園芸植物大事典』第一巻、小学館、1988より






これはカナダ産のメープルシュガーである。東京の某ショップでメープルシロップの棚に並んでいたのをみつけ購入したものである。

軽井沢産のメープルシロップやメープルシュガーがあると、軽井沢の生活文化も一層豊かになるであろう。

「秩父市 食をめぐる挑戦 カエデの樹液で山を再生」NHK首都圏より

同上

同上
同別荘の「さとうかえで」Acer saccharinumの大木は、北米原産であるらしい。樹齢100年ぐらいになるようである。カナダ生まれの宣教師A女史(1877-1960 )は、明治36年、来日、東洋英和女学校で教えた後、富山市へ移り、明治44年、青葉幼稚園を開園、昭和16年、日本に帰化している。
メープルシロップは、冬場、さとうかえでの幹から樹液を採取し、煮詰めれば「メープルシロップ」ができ、さらに水分を取り除き顆粒状にすれば、「メープルシュガー」ができあがるということである。
ワークショップでは、同トラストの地元会員(役員)の方が原液を鍋で時間をかけて煮詰め、ちょうどできあがるところであった。原液そのものは、試飲させてもらったが、かすかに甘味が感じられる程度であった。一方、煮詰められたメープロシロップは、なめさせてもらうと、上品な甘味があり、美味しかった。
日本には、かえでの樹が20種類ぐらいあるらしいが、「さとうかえで」は北米原産で、カナダや米国では昔からメープルシロップやメープルシュガーが作られている。
モンゴメリー女史(1874-1942)の『赤毛のアン』には、「ラズベリージュースraspberry cordial」(イチゴのコーディアル)は出てくるが、「メープルシロップ」「メープルシュガー」の話はあまり出てこない。シュガー(砂糖)は日常必須の甘味料なので、話には出てこないのかもしれない。
一方、米国ニューイングランドの自然豊かな地域でガーデニングをしながら絵本を描き続けたターシャ・テユーダー女史(1915-2008)は、日本にもファンが多いが、子どもたちと1年12ヶ月を暮らす日々を描いた絵本の作品『A Time to Keep』がある。子どもたちが嬉々として樹液採取をしている様子が描かれている。なにしろ子どもたちは甘いものが大好きである。
3月、子どもたちや皆が集まって、さとうかえでの樹にバケツをとりつけて樹液を採取、それを煮詰めて、メープルシロップやメープルシュガーを作る。そして一日の作業が終わって、シュガーハウスで夕食をとり、そして雪にメープルシュガーをかけて食べる、、、
子どもたちはアイスやアイスクリームが好きだが、手作りのメープルシュガーをかけて食べる雪は、自然の味そのものがすることであろう。自然とともに暮らすターシャの生活がよくあらわされているといえよう。
軽井沢には、楓の樹が20種類ぐらいあるらしいが、メープルシロップ作りはまだ始まったばかりらしい。ワークショップの終わりに、商品化された「軽井沢メープルシロップ」の紹介があり、筆者も「軽井沢メープルシロップ」「軽井沢ブルーベリーメープルシロップ」「軽井沢白樺メープルシロップ」のミニボトル3点セットを購入させて頂いた。いずれもまだ軽井沢産のメープルシロップは約1%しか入っておらず、カナダ産のカエデ樹液が主として使われているそうである。ちなみに今日の売り上げは「A女史山荘」の保存活動のために使われるそうである。
昨今、軽井沢ではフレンチトーストが人気だが、軽井沢産のメープルシロップをかけて食べれば、味は格別だろうし、また地産地消にもなる。今後、軽井沢産のメープルシロップが増産できるような環境作りが必要であろう。
ちなみに、埼玉県秩父市では、同地に自生するカエデの樹に着目し、カエデの樹液で山を再生し、地域おこしの活動がすすめられている。同市には、日本に自生するカエデ26種類の内、24種類があり、約3000本のカエデの樹が確認されたという。
2003年、市内の小さなお菓子屋さん17軒により「秩父市お菓子な郷推進協議会」が発足し、カナダケベック州で視察研修したり、樹液採取の名人を招聘研修し、「秩父カエデ糖菓子」を商品化、2007年4月、4品を市内で発売したところ、1ヵ月半で売り切れたという。
その後、商品は8種類に増え、サイダーなどもあるという。この町おこしの試みは、NHKで「食をめぐる挑戦、カエデの樹液で山を再生」として取り上げられたり、総務省が「秩父市お菓子やさんの地域おこし、地場産品発掘・ブランド化」として取り上げている。

軽井沢にある「さとうかえで」の大木、カナダ生まれの宣教師A女史の軽井沢山荘の庭、ワークショップ配布資料より

同上資料より

樹液採取器具とバケツの実物

手前のボトルに入っているのが樹液原液、それを鍋で煮詰めてメープルシロップを作っているところ

出来上がったメープルシロップと商品化された「軽井沢メープルシロップ」

Tasha Tudor:A Time to Keep, The Book of Holidays, 1977より

同上

『園芸植物大事典』第一巻、小学館、1988より






これはカナダ産のメープルシュガーである。東京の某ショップでメープルシロップの棚に並んでいたのをみつけ購入したものである。

軽井沢産のメープルシロップやメープルシュガーがあると、軽井沢の生活文化も一層豊かになるであろう。

「秩父市 食をめぐる挑戦 カエデの樹液で山を再生」NHK首都圏より

同上

同上