
Iran Protests: Twitter, the Medium of the Movement(TIME.com)
Twitter responds on Iranian role (BBCNews.com)
テレビが開発されたときには、世界史の教科書に載るようなできごとのために使われるとは
想定していなかったと思います。先日、開局20周年を迎えたNHK-BSでの特集番組で、
1989年の「ベルリンの壁」はテレビの力で崩壊したのだ、と紹介されていました。当時西ドイツの
公共放送ARDが東ドイツ向けに、今こそ東ドイツ市民は立ち上がるべきという内容の番組を
放送しました。当時の東ドイツ政府は人の流れを制限できても、電波の流入までは妨害することは
できませんでした。一方で東ドイツ国民はぜんぜん映りがよくなくても、必死になって西ドイツの
テレビ番組を見ていたのです。その中で西から「立ち上がれ!」とメッセージが送られました。
その後の展開はご存知のとおりでしょう。
先の週末に行われたイラン大統領選挙とその後の開票に関して、イランでは改革派の抗議運動が
盛んになっており、ついには死者も出る事態へと発展しています。かつてはテロ支援国家といわれ、
今では超保守的なイスラム国家としてアメリカやイギリスなどから非難され続け、みせかけの
民主国家を演じてきたイラン。その中で大統領選挙の不満を世界中に発信しているツールこそが
Twitterです。メディアによる抗議運動の取材がイラン政府により禁止される一方で、簡単な言葉と
携帯電話ひとつで今の状況を発信できるTwitterが、21世紀のイラン革命を導いているのです。
くしくもこの1週前のTIMEではいかにしてTwitterは生活を変えるのか、という特集を組みました。
実際のところ、イラン大統領選の運動期間中、イラン政府は改革派が多用してたFacebookへの
アクセスを禁じていました。もしかしたら、TIMEはこのとき既にインターネットあるいはモバイルの力が
もっとすごいところへ活用できるのではないかと気づいていたのかもしれません。それでもTwitterの
創設者、エヴァン・ウィリアムズとビズ・ストーンは「いまなにしてる?」を世界中に発信するツールが、
アメリカ人の生活だけでなく、アメリカを敵視する一国の政治体制を変えるかもしれないツールとして
使われることは、開発当時には想定していなかったでしょう。それどころか、Twitterの政治的な
力を見出したアメリカ国務省が、予定されていたTwitterのメンテナンス時間をイラン国民が問題なく
アクセスできるよう変更を求めたというニュースまで出たほどです(Twitter側はそうした働きがけが
あったことを否定)。
State Department to Twitter: Keep Iranian tweets coming(CNN.com)
それにしても、なぜ今回Twitterが反政府運動を一気に推し進めているのでしょうか。TIME誌の
レヴ・グロスマンいわく、
It's free, highly mobile, very personal and very quick. It's also built to spread, and fast.
というTwitterの特徴そのものが今回のような運動に役立っているとしていますが、そのとおりでは
ないかと思います。世界中へ情報を発信するツールはホームページからブログ、Facebookまで
いろいろありますが、「いまなにしている?」いや「いまなにがおこってる?」を瞬時に世界へ
広めさせることができるのがTwitterです。イラン政府はこうしたTwitterの力を恐れたため、
Twitterへのアクセスも制限しようとしましたが、外国に設定された新たなプロキシを経由して
イランからでもアクセスができるため、今でもイランの革命派からの叫びは世界を駆け巡ることが
可能となっています(中にはイラン国外にいるイラン人が書いているものもあるようですが)。
アメリカ政府は、今ようにイランで反政府運動が起こっていることを喜んでいるはずです。おそらく、
国務省はふつうに改革派候補が保守系のアフマディネジャド大統領を打ち破るよりも、今の運動が
盛り上がり世界へ報道されることのほうがよいと考えていることでしょう。そうすることにより、
イランはいかに抑圧された国家であるかを証明できているように思えるからです。イラン政府が
FacebookなりTwitterなりへのアクセス制限を加えようとすれば、さらにイラン政府に対しての
批判が高まります。それによりイラン政府(というよりシーア派の最高評議会)は再選挙せざるを
得なくなり、もしかしたら改革派の勝利、ひいてはイランの民主化、という道筋をアメリカ政府は
考えているのかもしれません。
民主政治の根源は、自由に発言ができることではないかと思います。今のイランでは、民主運動の
最たるもの、デモのために街へ出ている多くの人が、イラン政府の抑圧にも負けずに自分たちの
主張をTwitterで自由に発言しています。残念ながらイラン政府は何人かの候補を用意されている
選挙を実施することが民主主義だと考えていたようですが、現状イラン政府は選挙という政治行為
そのものに嘘を付かせています。一方ではイラン政府はイランが民主的な国家、世俗的イスラム国家に
なることを恐れているのでしょう。しかし膨らんだ風船を押さえつけるように人々を抑え続ければ
いつかは今以上に爆発します。テレビがベルリンの壁を崩壊させたように、140文字の民主的な
インターネットサービスがイラン政府に風穴を開けることになるのでしょうか。
Twitter responds on Iranian role (BBCNews.com)
テレビが開発されたときには、世界史の教科書に載るようなできごとのために使われるとは
想定していなかったと思います。先日、開局20周年を迎えたNHK-BSでの特集番組で、
1989年の「ベルリンの壁」はテレビの力で崩壊したのだ、と紹介されていました。当時西ドイツの
公共放送ARDが東ドイツ向けに、今こそ東ドイツ市民は立ち上がるべきという内容の番組を
放送しました。当時の東ドイツ政府は人の流れを制限できても、電波の流入までは妨害することは
できませんでした。一方で東ドイツ国民はぜんぜん映りがよくなくても、必死になって西ドイツの
テレビ番組を見ていたのです。その中で西から「立ち上がれ!」とメッセージが送られました。
その後の展開はご存知のとおりでしょう。
先の週末に行われたイラン大統領選挙とその後の開票に関して、イランでは改革派の抗議運動が
盛んになっており、ついには死者も出る事態へと発展しています。かつてはテロ支援国家といわれ、
今では超保守的なイスラム国家としてアメリカやイギリスなどから非難され続け、みせかけの
民主国家を演じてきたイラン。その中で大統領選挙の不満を世界中に発信しているツールこそが
Twitterです。メディアによる抗議運動の取材がイラン政府により禁止される一方で、簡単な言葉と
携帯電話ひとつで今の状況を発信できるTwitterが、21世紀のイラン革命を導いているのです。
くしくもこの1週前のTIMEではいかにしてTwitterは生活を変えるのか、という特集を組みました。
実際のところ、イラン大統領選の運動期間中、イラン政府は改革派が多用してたFacebookへの
アクセスを禁じていました。もしかしたら、TIMEはこのとき既にインターネットあるいはモバイルの力が
もっとすごいところへ活用できるのではないかと気づいていたのかもしれません。それでもTwitterの
創設者、エヴァン・ウィリアムズとビズ・ストーンは「いまなにしてる?」を世界中に発信するツールが、
アメリカ人の生活だけでなく、アメリカを敵視する一国の政治体制を変えるかもしれないツールとして
使われることは、開発当時には想定していなかったでしょう。それどころか、Twitterの政治的な
力を見出したアメリカ国務省が、予定されていたTwitterのメンテナンス時間をイラン国民が問題なく
アクセスできるよう変更を求めたというニュースまで出たほどです(Twitter側はそうした働きがけが
あったことを否定)。
State Department to Twitter: Keep Iranian tweets coming(CNN.com)
それにしても、なぜ今回Twitterが反政府運動を一気に推し進めているのでしょうか。TIME誌の
レヴ・グロスマンいわく、
It's free, highly mobile, very personal and very quick. It's also built to spread, and fast.
というTwitterの特徴そのものが今回のような運動に役立っているとしていますが、そのとおりでは
ないかと思います。世界中へ情報を発信するツールはホームページからブログ、Facebookまで
いろいろありますが、「いまなにしている?」いや「いまなにがおこってる?」を瞬時に世界へ
広めさせることができるのがTwitterです。イラン政府はこうしたTwitterの力を恐れたため、
Twitterへのアクセスも制限しようとしましたが、外国に設定された新たなプロキシを経由して
イランからでもアクセスができるため、今でもイランの革命派からの叫びは世界を駆け巡ることが
可能となっています(中にはイラン国外にいるイラン人が書いているものもあるようですが)。
アメリカ政府は、今ようにイランで反政府運動が起こっていることを喜んでいるはずです。おそらく、
国務省はふつうに改革派候補が保守系のアフマディネジャド大統領を打ち破るよりも、今の運動が
盛り上がり世界へ報道されることのほうがよいと考えていることでしょう。そうすることにより、
イランはいかに抑圧された国家であるかを証明できているように思えるからです。イラン政府が
FacebookなりTwitterなりへのアクセス制限を加えようとすれば、さらにイラン政府に対しての
批判が高まります。それによりイラン政府(というよりシーア派の最高評議会)は再選挙せざるを
得なくなり、もしかしたら改革派の勝利、ひいてはイランの民主化、という道筋をアメリカ政府は
考えているのかもしれません。
民主政治の根源は、自由に発言ができることではないかと思います。今のイランでは、民主運動の
最たるもの、デモのために街へ出ている多くの人が、イラン政府の抑圧にも負けずに自分たちの
主張をTwitterで自由に発言しています。残念ながらイラン政府は何人かの候補を用意されている
選挙を実施することが民主主義だと考えていたようですが、現状イラン政府は選挙という政治行為
そのものに嘘を付かせています。一方ではイラン政府はイランが民主的な国家、世俗的イスラム国家に
なることを恐れているのでしょう。しかし膨らんだ風船を押さえつけるように人々を抑え続ければ
いつかは今以上に爆発します。テレビがベルリンの壁を崩壊させたように、140文字の民主的な
インターネットサービスがイラン政府に風穴を開けることになるのでしょうか。
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