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[WBC短評]Wright or Wrong?

2009-03-22 11:42:11 | MLB
David Wright's decision to play hurt irks NewYork Mets manager Jerry Manuel(ESPN)

第2回目のワールド・ベースボール・クラシックを見て思うことは、これは国際連盟と国際連合の
ちょうど中間なのではないか、ということです。アメリカは第一次世界大戦後の国際秩序を
構築するために、国際連盟の創設を提唱しましたが、アメリカは上院の反対に遭い、連盟への
加盟を果たせませんでした。一方、アメリカは国際連合に加入しているどころか、しっかりと
安全保障理事会の常任理事国として拒否権を保有し続けています。国連本部もアメリカの
ニューヨークにあります。でも、アメリカは国連の活動や拠出金の捻出に対してはあまり
積極的ではありません。

WBCもこれに近いところをかんじます。アメリカ(というよりMLB)が率先して舞台を整え、
世界各国から参加を募りました。野球が盛んな国はもちろん、野球がどんなものなのか
わかっているか怪しい中国や南アフリカまでもが参加しています。しかし、アメリカ国内での
盛り上がりはいまひとつ。正確には、大統領を含めてアメリカの移民以外の興味は完全に、
NCAAトーナメントへ向かっています。この動画をみるとおりです。



Obama picks NCAA tornament victory.(ESPN)

しかしアメリカ代表に選ばれた選手たちは一生懸命です。その中でもデビッド・ライトは、
先日のプエルトリコ戦でも果敢なスライディングをしたり、技ありのサヨナラヒットを
打ったりとその活躍が目立ちます。ライトはベネズエラとの順位決定戦では、自打球を
つま先に当ててしまいました。けが人続出のアメリカチームにおいては、もはやこれ以上
交代要員を補充していくわけにもいきません。幸いにもつめが割れていた以上の深刻な
けがではなかったため、ライトはアメリカチームに残ることを選びました。ライトいわく、

We have to play hurt

ところが、この選択がメッツの監督、ジェリー・マニュエルには不愉快に感じられたようです。

He probably shouldn't have played if he felt he had a broken toe.
No question about that.


特に今大会のように各チームの主要な選手が相次いでけがでアメリカチームから自分たちの
チームへ戻ってくる姿を見れば、このような発言が出ても不思議ではありません。それどころか、
メジャーリーグの監督の多くは、マニュエルの考え方に近いのではないかと思われます。
優勝を担う中心選手が、自分たちのチームとは別の試合に借り出されて、けがをして
帰還したならば、戦略面でも、そして監督自らの首も問題を抱えることになるからです。

一方、オマー・ミナヤGMはアメリカチームに残るライトに関して、

He's having fun. He's great.

と発言し、監督とは違い、ライトへのそれなりの理解を示しているようです。しかし多くの
GMにとっても、けが人がいる状態でシーズンを始めなければならないリスクを負うことに
積極的になることはできないでしょう。

今大会はもうあと数試合を残すのみとなりましたが、問題は次の大会で、今大会以上の
スター選手の出し惜しみがあるのではないかと思われることです(一部で、開催時期の
変更も検討されているのは、そのことと関係しているのでしょう)。メジャーリーグの
どのチームにとっても選手は財産です。デビッド・"ハリウッド"・ライトぐらいのスター選手で
あるならばなおさらです。

しかしながら、アメリカの星条旗の下で戦えることの喜びもあるのだとわからせるためにも、
アメリカチームは何としても決勝まで進んで、優勝しなければならないでしょう。それには、
ライトのハリウッドクラスの活躍が期待されます。


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