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[MLB短評]Small Papi

2009-05-17 23:04:12 | MLB
Red Sox finally bench Ortiz(FOXSports.com)
Ortiz is stranded on the bench(Boston Globe)


先週の初め、西海岸でのロード戦を前にして、いまだホームランが出ないデビッド・オルティズは、一部の記者に対して、
必ずやこのスランプは終わるものであると、しっかりとした、そして楽観的な信念を明らかにしていました。しかしながら、
延長戦にもつれたエンジェルズとのシリーズ最終戦?で、オルティズは7打数0安打、ひとりで12残塁を喫するという、
あまりにもひどい内容をさらし、チームの負けに貢献してしまいました。今のオルティズには、かつてマニー・ラミネスと
最強の3番・4番コンビを組んでいたころのような陽気さを伺うことはできません。

太陽がさんさんと降り注ぐカリフォルニアを去り、今行われているマリナーズとのシリーズでは、オルティズはついに
先発から外されました。金曜、土曜の試合では、いつも笑みを絶やさなかったオルティズはベンチでひとりやや浮かない
表情で試合を見守るほかありませんでした。

オルティズがもともとスタートダッシュがよい選手だったとは言えませんし、かつても開幕からしばらくの間不調でも、
最後にはそれなりの成績を上げたシーズンがありました。2003年のシーズン、5月中旬まで打率が.208で本塁打も、
6月下旬まで3本しか打てなかったときでも、最終的には.288、31本塁打、101打点を挙げました。今シーズンは恐らく
それに並ぶほどの絶不調ぶりだといえるでしょう。

偶然にも、今シーズン30代のスター級の選手たちの多くが成績を急降下させています。中にはデレック・リーの
ように少し故障を抱えている選手もいるのですが、「まだ」33歳のオルティズも、この流行に見事なまでに乗ったようです。
デトロイトではマギオ・オルドネスがその高給とは反して成績が上がらないことがうわさになっています。まだ若くて
痩せていたシカゴ・ホワイトソックス時代には三拍子揃った選手だったにも関わらず、現在、デトロイトで言われることは、
オルドネスのコレステロール値と成績が反比例している、なのだそうです。

それにしてもなぜオルティズは今年に入る突然成績を降下させたのでしょうか。残念ながらその答えはまだわかりません。
ひとつ言えることは、テリー・フランコーナ監督いわく「深呼吸の必要」があることでしょう。陽気なオルティズが出場機会もなく、
ベンチで寂しい表情をするのも見ていて辛いですが、バッターボックスに入り、得点を稼ぐことなくベンチへ帰る姿を見るのも、
これまた辛いことです。特にオルティズには、チャンスに強いというイメージがあまりにも鮮烈に残っていることも、今のような
不調ぶりを炙り出しているように思います。「もう」33歳というのはまだ早いくらい、先がある選手だとは言えるでしょうし、
シーズンが深まれば、またオルティズの一振りで勝利を決める試合も数多くなるかもしれません。そうであるならば、
今のうちに行える対策や休息を与えることは重要なのでしょう。

ただ、オルティズには申し訳ないのですが、今のレッドソックス打線は、オルティズが中心ではありません。たまたま
オルティズは3番の座を不動のものにしている・・・今は深呼吸中であっても・・・のですが、レッドソックスの攻撃陣の主力は、
オルティズとラミレスがいた時代からはすっかり変わりました。ヤンキーズをボストンに迎えた今年最初の3連戦では、
初戦でサヨナラHRを打ったケビン・ユーキリス(現在怪我で戦列を離れているけど)や、3戦目にホームスチールを
決めたジャコビー・エルスベリー、あるいはジャスティン・ペドロイアや、昨年途中にラミレスの代わりとして加入し、
今年好調なジェイソン・ベイといった、若い選手であったり新しい戦力が中心となっています。レッドソックスが
オルティズの成績と反比例するかのように好調さを維持できているのも、そのおかげと言えるでしょう。

それでも、レッドソックスのファンの多くは、マイク・ローウェルのこの言葉と同じ意見のはずです。

I think we all still have a lot of confidence in David.

オルティズはシアトルのホテルで眠れない夜を過ごしているだろうけど、これからは文字通り深呼吸後の心機一転した
オルティズが見られることを待つほかないようです。33歳はまだ老け込むにも早い年齢です。


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