かのん夫婦2人に共通して腹が立つ事があった。
明らかに相手が悪いのに謝罪の一言もなく、滅多に怒らない、かのん夫婦でさえも帰りの車の中で大激怒だった。
しかも、かのんはそのために今回の入院生活初めての外出届けを出しており、ただでさえ外の世界にのまれて辛いのに、そのような対応をされて更に頭が熱くなって疲れきってしまった。
プンプンプンプンプンプン。
病院に着いたあとOTがあったが全く集中出来ない。
どうしても誰かに話を聞いてもらいたかったので、看護師さんに依頼して話を聞いてもらった。
看護師さんはとても熱心にかのんの話を聴いてくださり、だいぶ、かのんはスッキリした。
その後、かのんの様子がおかしい事に気づいた仲の良いお年を召した入院患者の方が「どうしたの?」と話を聴いてくださった。
かのんが一通り話すと、その方は『ご主人も、かのんちゃんもよく耐えたね。うちの主人なら手が出てたよ』と話してくださった。
そして、『ひとしきり話した、かのんちゃんの心がまあるくなったよ』と言われた。
人の心は怒りに満ちていると本当にドゲトゲしているらしい。それが人に話すことによってトゲが抜け、また元通りのまあるい心になるそうだ。
かのんは、なるほどなぁ。いい話だなぁと思った。
人の言葉は相手の心をトゲトゲにもまあるくにもする。だから言葉は時に恐ろしく、時に優しい。
かのんも人の心をまあるくする言葉を使い続けたいと思った。