15年ほどやっていると
想定外のことが起こっても
そう驚かず、対応できるものだけど、
この間の取材は、久々に面喰った。
着て行ったのは……

雨模様だったので、トルファン綿の着物に
裂織の帯。琥珀のスマートな帯留めで、仕事の場でも
嫌味なくアクセントに。
後ろは、記憶だけで結んだカルタ結び。

それは広告絡みの案件で、
コンセプトや構成などはかなり念入りに
編集者からレクチャーを受けていた。
それなのに、その編集者ったら。
取材相手が10人もいることを
事前に伝えてくれなかった……。
先方に行って、びっくり。
広い会議室に、ずらり10人。
次から次へと、名刺交換の嵐。
(名刺一つにしても、たまたまたくさん手持ちがあったから
事なきを得たが、いつもだったら足りなくなっていたところだ)
通常、一度に取材する相手は1~2人。多くて4人というときが
あっただろうか。
まあ、10人が全員同じように、話してくるわけではないけれど、
あちらこちらから声がとんできて・・・。
ICレコーダーの設定も、高音質に変えておく必要があったし、
目は泳ぐし、気は遣うし、
私にとって、取材相手の人数は、
結構気になることなのだけど。
私もまさか10人とは思わず、
人数の確認をしようとしなかったのは反省点。
自分が思う通りに、
相手が考えてくれているなんてことは
まず、ないのだ。
先方はみなさんにこにこと物腰の柔らかい方ばかりで
取材終了後に
いつもお着物なんですか? いいですね、私も着たい
なんて声をかけてくださったのに、
私はすーっかりエネルギーをとられていて……。
笑顔がひきつっていたに、違いない。