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神奈川絵美の「えみごのみ」

スピリットのゆくえ

気温19℃、快晴、風もなし。
こんな日は、大島が何と心地よいことか。



和キッチュさんの刺繡半衿を
今回はモダン大島に合わせてみた。
帯は仁平幸春さんの「月と わんこ」。
背中が皺っぽくなってしまい、反省…
(この後、できるだけ直しましたが)



帯締めは薄黄、帯揚げはイチイで染めたオレンジで。
半衿の色味と、合っているかな?

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さて、この日はまず、元町のえみ子先生のところ(皮膚科)へ行き、
その後、みなとみらいにある横浜美術館へ。


「江戸スピリット」をコンセプトにした
歌川国芳から鏑木清方までの作風の変遷が見られる展示が開催中。

江戸末期から明治初期を網羅するため、
文明開化がどのように、絵画に影響したかもよくわかるようになっており、
とても面白かった。

でも一番、印象に残ったのは、国芳(左2つ)とその門下生、芳年かな。

作風の違い、わかるでしょうか。
国芳の時代、何人もの浮世絵師が活躍したものの、
並べてみれば、それほど日本画に造詣の深くない私でさえ、
一目で「国芳は、ほかとは違う」と思った。
構図や、動きの捉え方(特に足の位置)が大胆で、思い切りが良く
「男っぽい」のだ。
絵画を見て、こんなにドキドキしたのはいつ以来か。ハートを掴まれる感覚。

お馴染みの判じ絵もいろいろあって、国芳の才能には改めて、
驚かされるばかり。


一方、芳年は歌舞伎でいえば女形のごとく、
優しい顔立ちにしなやかなタッチが印象的。
国芳が描いた美人画もあったが、どうも顔がごつい感じ。
女性の描き方は、私は芳年の方が好みだなあ。


もう一つ、
しみじみ感じ入ったのは、明治維新前後に人気を博した
初代五姓田芳柳とその一派。
パリとウィーン、二つの万博はヨーロッパにジャポニズムの風を
送り込んだが、同時に日本にも西欧のスピリットをもたらし、
五姓田派が描く肖像画はかなり“洋風に近い”、デフォルメを排除し
陰影も写実的な作風になっている。

でも……

そんな五姓田家の家や家族の様子が描かれた絵も展示されているのだが、
それが目を疑うほど質素で(あの時代は普通だったのかも知れないけれど)
洋風の“よ”のかけらすらないのだ。
狭い畳敷きの部屋に箱のような机、
子どもたちは寝そべって絵を描いている。
ほかに大した家具もなく、身を寄せ合うようにしている家族。
それでも、芸術一家だった五姓田家は、小さな子も真剣なまなざしで
先を争うようにして筆を走らせている。

考えてみれば当然だけれど、
何事も黎明期というのは、決して環境が整えられているわけではなく
絵を描きたい、新しいものを創りたい、という熱意だけが
原動力になっていたと言ってもいいだろう。
今の日本で、熱意だけで何か斬新なことをしようとする人を
温かく見守りサポートするような余裕が、果たしてあるのだろうか。


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さて、常設展の方はこの期間、ガラスの展示。


そして私が必ず訪れる、近代絵画の部屋。

左から、ジョルジョ・デ・キリコ、ポール・デルヴォ―、ルネ・マグリッド。
特にデルヴォ―は、私が高校生のとき、相当なインパクトを受けた画家。


美術館を出て、ランドマークタワーへ。

ここでのユーミンは「横浜の恋と……」だそうです。
11月初旬なのにもうクリスマスツリー。早すぎますよね。

コメント一覧(10/1 コメント投稿終了予定)

神奈川絵美
りらさんへ
こんにちは
この大島、雑誌掲載品だったのですが、モデルさんは白地にやや渋い赤の花が効いた更紗柄の帯を締めていました。
「パーティ大島」という企画ページだったような…。帯は結構、迷います。

>左は「いたさう」でしょうか?
そうでーす! さすが
このシリーズ、女性の日常のちょっとしたことや、ふとした瞬間に見せる可愛らしさがあらわされていて、和みますよね

りら
この大島、拝見するたびに「イイナァ・・・」とため息が出るのですが、この色のコントラストは取り合わせが難しそうですよねぇ。
帯と小物類と半襟の色味を着物がしっかりと纏めている、そんな印象を受けました。

国芳と共に芳年も大好きなんです。
左は「いたさう」でしょうか?
このシリーズ、面白いですよね!
やっぱり日本の展覧会は秀逸ですわぁ。
尤も、これだけ多く頻繁な開催は、それを支える見物する人たちがいるということなのでしょうね。
神奈川絵美
環さんへ
こんにちは
清方、私は目黒雅叙園の百段階段で観てから、いいなあと思うようになりました。女性の描き方は、やはり芳年と共通する表現があるように思います。柔らかいのだけど、意志の強そうな女性像というか…

近代芸術、私は興味のある分野とない分野の差が大きいですが
-例えば意外と、ドイツ表現主義はよく知らないんです。何だか暗くって、興味があまり持てず 笑-
今度何か、展覧会でもあったらご一緒しましょー
私は鏑木清方ラブなので是非行ってみたいと思いました。深水→清方→年方→芳年→国芳 ですものね。
この系譜には「美人画というよりその時代の空気と女性の生き方を描いている」というのが脈々と受け継がれているのかしら。ただの役者絵、美人画ではないと思います。絵美さんが感じられたように、国芳の時代は男性はもちろん、女性も思いっきり良く生きていたのでしょうか。興味深いですね。
最近は今まで最近のなかった近代芸術に興味だ出てきました。いつか一度、近代画に詳しい絵美さんに解説していただきたいですわー



一番右の伊東深水の絵は「暮方」というのですね。去年、平塚で見てとても気に入ったのです。表情が描かれていなく、想像できるところが良いのです。
神奈川絵美
朋百香さんへ
こんにちは
今回の展示、なかなか勉強になります。江戸後期から明治初期まで、どんな派がどういうつながりになっているのかの「系譜」も、資料としてもらえますよ。
浮世絵の、着物の柄にも魅せられました
神奈川絵美
Tomokoさんへ
こんにちは
暮方は後期の展示になりまーす。(12月7日~)
国芳あたりの時代もいいのですが、清方、深水、そして風景になりますが巴水、玉堂もいいですよねぇ。

あ、常設展の方には、玉堂が金地に墨で描いたダイナミックな水流の絵が展示されていました。こういう作風は珍しいですよね。

モダン大島は、コーデによってスパイシーにも、今回みたいにオモチャ箱みたいにもなって、面白いですよね。
神奈川絵美
香子さんへ
こんにちは
ほぉー漫画もあるのですね。確かにこの一門、いろんな人がいて(賭け事で身をつぶした人とか)漫画にすると面白そうですよね。

>ブルーの三部紐でもあいますね
なるほどー、こういうときブルーがお役立ちなのですね。どうも似たような暖色系がそろっちゃうので、殻を破りたいものです
朋百香
http://www.tomoko-358.com
絵美さま
東横線に広告があって、あ~行かなきゃ・・・と
思ってはいるのですが、なかなかタイミングが
合わなくて。そーですか、良かったですか、やっぱり
無理してでも行かなくては。

刺繍半衿、大活躍ですね!
Tomoko
こんにちは。
今回の展示はドガのときみたいに12月31日大晦日でおしまいじゃなくて助かります。
伊東深水の「暮方」も載せてありますが、これも出ているのですか?(私大好きなのです、この女性の座り方とお尻!)楽しみな展覧会デス、ムフフ。
個性的な大島にお誂えのおみ帯、何度もこちらで拝見していながらも、なんでしょう、こなれてお洒落な印象に感じました~。そういうかすかな変化も着物の面白さのひとつですね。
香子
いいですよね、芳年♪
(もちろん国芳も好きですが)
国芳一門を描いた「ひらひら」って漫画、おススメです。
面白いですよ

このコーデにあのブルーの三部紐でもあいますね~。
薄いグレーとかベージュの三部紐を上に
ブルーを下にちょっと覘かせるのもいいかも♪
神奈川絵美
風子さんへ
おお~早速のコメント、ありがとうございます
コーデとしては、ちょっと「不思議ちゃん」ぽいかもですねこの大島自体、個性的ですものね。

国芳展は1月14日までのロングラン。この美術館は常設展も充実していておススメです。広々と開放感があって、いい美術館ですよ

この日のランドマークでは、ずっとユーミンの新譜がBGMとして流れていました。なのでまだ良いのですが、これがずーっとクリスマスソングだったら…私はいやだなあ。。。
風子
http://fuko346.exblog.jp/
今日の装い 半襟から始まって 全体に調和がとれていて
、それに遊び心があっていいなあって思いました。
新生絵美さんって感じ。
(もちろん いつも素敵だけど)
拝見しただけで元気が出ます♪

横浜美術館 行ったことないのですが、興味でました、
機会があったら行ってみます。

クリマスツリーは 早すぎる 急かさないでくだされ~。
もっと ゆるゆる行きましょうよ~~~、と言いたいですう。
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