超空洞からの贈り物

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骨粗鬆(しょう)症薬が破骨細胞を増大

2009年01月23日 19時44分19秒 | Weblog
骨粗鬆(しょう)症治療薬アレンドロン酸ナトリウム水和物(商品名:フォサマックなど )を最長3年間使用した女性で、破骨細胞の増大がみられるほか、40個もの核をもつ「巨大」破骨細胞(複数の細胞が融合したもの)がみられることが新しい研究で報告された。通常、1つの破骨細胞にみられる核は7~8個にとどまるという。

 これが何を意味するのかは不明だが、この薬剤はすでに5~10年使用されており、ある時点で問題が生じてくることも考えられると、研究著者で米アーカンソー大学University of Arkansas for Medical Sciences(リトル・ロック)教授のRobert S.Weinstein博士は述べている。この知見は、米医学誌「New England Journal of Medicine」1月1日号に掲載された。

 「骨は活動的な組織であり、継続的に再形成および修復されている」と、Weinstein氏は説明する。この作用は2種類の細胞が担っており、破骨細胞が古い骨を溶解し、骨芽細胞が新しく強い骨に置き換えている。閉経後骨粗鬆症は、この再形成プロセスのバランスが崩れることによって生じるものであり、ビスホスフォネートと呼ばれる薬剤クラスの1つであるアレンドロン酸ナトリウム水和物は、破骨細胞の数を減らすことによってこのバランスの崩れを防止すると考えられていた。

 しかし今回の研究で、実際はそうではないことが明らかにされた。3年にわたる試験で異なる用量のアレンドロン酸ナトリウム水和物またはプラセボ(偽薬)を服用した健康な閉経後女性(40~59歳)の骨の生検標本51例を調べた結果、最も高い用量(1日10mg)を服用した女性は破骨細胞の数がプラセボ群の2.6倍であることが判明。破骨細胞の数は、用量とともに増大がみられた。破骨細胞の27%が「巨大細胞」であり、薬剤使用の中止1年後にも認められた。

 著者らは、骨細胞は死滅するかわりに、融合するのではないかと仮定している。アレンドロン酸ナトリウム水和物は破骨細胞の死滅をスローダウンするが、破骨細胞の作用の機能や効果も減じるのではないかと考えているという。「この薬剤が有効であることに間違いはないが、効果を発する機序を把握することが重要だ」とWeinstein氏は述べている。ある研究者は、「7、8個の細胞が融合したものは骨からのカルシウムの溶解と再構築をより効果的に行う」という見解を述べている。

 同誌に掲載された米国食品医薬品局(FDA)のDiane K.Wysowski氏による別の論文(レター)では、アレンドロン酸ナトリウム水和物使用者の食道癌(がん)の報告が増えていることが指摘されている(米国で23例、ヨーロッパと日本で31例)。FDAに23例の報告があり、同薬が癌の発症を促すという十分な根拠はないが、ビスホスフォネートの副作用の1つとして胃食道逆流性疾患(GERD)を悪化させることがあるという。同薬の製造元であるメルク社のニュースリリースでは、臨床試験および市販後調査報告では同薬と食道癌との関連は示されていないとしており、Weinstein氏の研究については、同社の研究と矛盾するものではないとしている。ビスホスフォネートの使用についてはほかにも、心房細動、大腿骨の異常骨折および炎症性眼疾患などのリスク増大との関連が示されている。

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