翌2月5日は快晴。ゆっくりと宿を出て、駅で撮りテツなどしてから、10時前の羽越本線の電車で羽後本荘へ。青空と日本海の取り合わせはなんだか少しもの悲しい。
羽後本荘駅では、ひとつ向こうのホームに青と黄の二色に塗り分けられた一両きりの気動車が待っていた。が、興奮して駆け寄ったりすることなく冷静に一旦JR改札を出、由利高原鉄道の改札が始まるのを待ってまた入る。もと国鉄の三セクにありがちな、ホームも駅舎も間借り状態。
由利高原鉄道鳥海山ろく線は、旧国鉄矢島線が昭和60年に廃止され、経営が引き継がれたもの。その昔は奥羽本線の横手あるいは院内とを結ぶ路線として計画されたらしいが、行って来いの盲腸線のまま現在に至っている。
外装の派手さにも増して、車内はこんな色遣い。シートのクッションがへたり気味。昨日の秋田内陸線の車両と、というよりこの手の車両はどれも似たようなもんだが、内陸線より微妙に車幅が狭く見える。
本荘を出るとしばらく羽越本線と併走してから離れようとしたところでまず一駅。やや廃墟チックな風情。そしておもむろに坂を登ると、右の車窓に鳥海山が鮮やかに。
途中駅は、仮乗降場のようなものもあれば、最近立て替えられたように立派なのも。
海から離れ、わずかなものだろうが標高が上がるにつれて、沿線風景が白くなってくる。
40分ほどで終点矢島。この駅舎も数年前に新築されたものだそうだ。改札前は単なる待合室のみならず、展示スペースとか旅行センターと土産物屋を兼ねたような販売スペースとかもあって、地域の拠点っぽく集い憩えるような設え。しかし駅前の殺風景なこと。駅があるのは町はずれらしい。時間があれば歩いてみたかった街並みがあるようなのだが、あいにく20分ほど後の折り返し便に乗らないと、秋田への羽越本線の電車がぜんぜんなくて帰りの新幹線に間に合わない。このあたり、時刻表だけで適当に予定を組んで、しかも急に変更したりもしているせいでやむを得ない。
おばこ号は、前と後ろで、窓の上の眉毛のような部分の色が違う。
帰りの便も、行きの便で連れがすっかりなじみになった運転士さんで、「暇つぶしに」なんて言って本荘市街のガイドと東北の駅百選のリーフレットをくださった。今年はやはり雪が少ないらしい。例年はもっとラッセル車が出動するとか。
本荘に戻ったところで昼食。本荘ガイドに載っていた本荘牛(だったっけ)ステーキの写真を見たせいで口の中がすっかり肉待ち状態になってしまっていたものの、駅周辺にはそれとおぼしき店は見あたらす。そもそも3軒しかない店の2軒が休み。適当に歩き出したところでタイムリーなことに焼肉チェーン店を発見。店の作りがどことなく妙で、よく見るともとスーパーのようだ。バイキングもやってたがめんどくさいので普通のランチにしたのにえらいボリューム。
すっかり重くなった腹と冬の日差しと、駅に停まると静まりかえってしまう空いた電車とで、ぐったりまどろみつつ秋田に戻った。それから1時間半ほど、月曜の秋田で観光する術もなく、適当に時間を潰してから新幹線ホームへ。後で思えば土産を物色するのに丁度いい時間だったのに、全く頭になかった。黙って休んで来たのだからまあいいか。不思議なことにホームの真ん中に改札があったりする。同じホームと線路を前と後ろで在来線・新幹線が共存しているのかと思えば、線路はこの改札付近で縁切りされている。いまいち駅の構造がよくわからない。が、まだ腹が重くてわかろうとする気にもならなかった。
大曲まではまた後ろ向き。雪に覆われた田んぼが夕日に照らされている。写真を撮るには速すぎるのだが、盛岡にはなかなか着かない。盛岡でホンモノの新幹線に入ってからのスピードはきわめて対照的だった。つくづく秋田新幹線って中途半端…。
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