かつて
バイブルのように、
常に持ち歩いていた本がある
電車の中ではずっとその本だけを読んで、
読み終わったらすぐまた最初のページから読み始めた
紙のカバーをかけていたけど、少し雨に濡れたのもあって一ヶ月くらいでぼろぼろになって
他の本にかかっていた紙のカバーをかけたけど、それもまた一ヶ月くらいでぼろぼろになって
セレクトショップで見つけた、ラミネート加工で汚れに強いとかいうカラフルな花柄のブックカバーをかけた
それはいわば、せいしんあんていざいだった
理解しあえないこととか
どうにもならないこととか
他人から見たらきっとくだらないことで
宇宙から見たらきっとものすごいちっぽけなことで
歴史から見たらほんの一頁にも満たないことで
そんなどうでもいいことをいつまでもひきずってときにはおもいだすだけでかなしくなるかこのことでおもいなやむなにもないのにきゅうになにかにおそわれてなみだがとまらなくなる
そんな自分さえもなぜか愛することができた
冷静な自分 と 感情的な自分 の あいだ
そのふたつの折り合いが、
うまくつけられたが故かもしれない
そのバイブルを久しぶりに読んだ
精神的にそろそろやばいなと思ったから
でもあの時みたいに入り込めなかった文字が頭のなかを素通りしていった
もう十回いや二十回近く読んでいるからしょうがないのかなとも思ったけど何か違うものを感じた
あの頃この本を読んでいた自分と今この本を読んでいる自分の違い
感情的になることなんてない
吐き出すしかないような思いもない
何も溢れ出ない
言葉にならないもやもやが体のなかに蓄積していった
感情で文章を書くことができない
理性でしか文章を書けない
それはいいことなのかもしれないけれど悪いことなのかもしれない
あるものに対する自分の反応が変わるということ
それが進化を意味しているのか退化を意味しているのか
成長したといえるのかそれとも何か大切なものを失ってしまったのか
その失ったものさえ分からないなら
もうわたしは過去を把握することができない
バイブルのように、
常に持ち歩いていた本がある
電車の中ではずっとその本だけを読んで、
読み終わったらすぐまた最初のページから読み始めた
紙のカバーをかけていたけど、少し雨に濡れたのもあって一ヶ月くらいでぼろぼろになって
他の本にかかっていた紙のカバーをかけたけど、それもまた一ヶ月くらいでぼろぼろになって
セレクトショップで見つけた、ラミネート加工で汚れに強いとかいうカラフルな花柄のブックカバーをかけた
それはいわば、せいしんあんていざいだった
理解しあえないこととか
どうにもならないこととか
他人から見たらきっとくだらないことで
宇宙から見たらきっとものすごいちっぽけなことで
歴史から見たらほんの一頁にも満たないことで
そんなどうでもいいことをいつまでもひきずってときにはおもいだすだけでかなしくなるかこのことでおもいなやむなにもないのにきゅうになにかにおそわれてなみだがとまらなくなる
そんな自分さえもなぜか愛することができた
冷静な自分 と 感情的な自分 の あいだ
そのふたつの折り合いが、
うまくつけられたが故かもしれない
そのバイブルを久しぶりに読んだ
精神的にそろそろやばいなと思ったから
でもあの時みたいに入り込めなかった文字が頭のなかを素通りしていった
もう十回いや二十回近く読んでいるからしょうがないのかなとも思ったけど何か違うものを感じた
あの頃この本を読んでいた自分と今この本を読んでいる自分の違い
感情的になることなんてない
吐き出すしかないような思いもない
何も溢れ出ない
言葉にならないもやもやが体のなかに蓄積していった
感情で文章を書くことができない
理性でしか文章を書けない
それはいいことなのかもしれないけれど悪いことなのかもしれない
あるものに対する自分の反応が変わるということ
それが進化を意味しているのか退化を意味しているのか
成長したといえるのかそれとも何か大切なものを失ってしまったのか
その失ったものさえ分からないなら
もうわたしは過去を把握することができない