待ちに待ちに待った観劇でした。
一番大好きなミュージカル「オペラ座の怪人」、
その10年後を描いたというミュージカル「ラブ・ネバー・ダイ」 というので
期待せずにはいられません。
メインキャストがダブルキャストで
数通りもの組合せの観劇が楽しめるミュージカルでもあるし、
個人的には、劇団四季時代ファントムを演じた市村さんが演じるということも大きいです。
もう一人のファントム:鹿賀丈史さんは
先月末に体調を崩されていましたが現在は出演中。
平原綾香さんのクリス、橘慶太くんのラウル、ミュージカル初出演っぷりにも注目です。
声質も違うし同じ役でもまた新しい魅力が感じられるはず。
■日生劇場「ミュージカル「ラブ・ネバー・ダイ」 」
「追加公演のお知らせ」
席に向かうと、生オケの音が聴こえるだけでもうワクワク♪
「まもなく開演します」のアナウンスの後、ほんとすぐにオープニングが始まってビックリ。
席は後方だったのでステージ全体が見渡せて
目線も上になることもあるので見やすかったです。
冒頭の、舞台中央にピアノを弾くファントム登場、
そのまま上にのぼっていってコニーアイランドを眺めている、といきなり目が離せません。
(高所恐怖症ではありませんが、ひょえー!という高さです)
「オペラ座の怪人」時の曲たちも時折流れたり、ファンにはたまりません。
ファントムワールドの煌びやかで隠微な遊園地の美術セット、
同じく衣装、その演者たちの動きなど
それぞれがパワーアップしていて非現実な空間を体験できます。
特にファントムがグスタフに自分の世界を見せるシーンと、
おのおのが別の歌を歌い何重唱にもなっていく
セットと床も回って大きな動きのあるシーンは見ごたえがあります。
市村さんの存在感は圧倒的で
鏡の向こうにファントムが映るオマージュ的な演出もゾクッときたし、
クリスの前にバーン!!!と姿を現すシーンは
CMで何度も聴いてきた音楽と共に衝撃を受けました。
笹本玲奈さんも他ミュージカルで好演だったので選んだ一人だし
キュートな「水着の美女」の時と、海に入る理由や終盤のメリハリが凄かった。
鳳蘭さんも貫禄があって。
万里生くんも久々に観ることができ
(ソロで歌ったのは二幕オープニングだけというレアさ!)
どうしても若くかわいく見えてしまうので、髭でダンディさを演出かな、なんて。
クリスが歌うか歌わないかでその後を賭ける「負ければ地獄」の応酬の迫力もあれば、
カーテンコールでの市村さんとのやりとりがとても面白くて楽しかった。
加藤清史郎くんもその一人、トリプルのグスタフ、
クリスの息子役ですが一番のキーパーソンともいえ出番も思った以上に多く
松井月杜くんの透き通って伸びやかな歌声がまさに、エンジェル・オブ・ミュージック!!!
ファントムワールドで唯一光が射すようでした。
クリスのグスタフへの母性に満ちた愛がとても温かさに満ち溢れているのも印象的でした。
そして、孔雀のようなセットと衣装で「Love Never Dies」を大熱唱するクリス。
(そのクリスの両端でファントムとラウルが事態を見ているのですが
席によってはセットで姿が見えづらいかもしれません)
濱田めぐみさんのホール中にびりびりと響く歌声が圧巻で胸をうちました。
拍手もしばらく鳴り止まなかったです。
これを生で観ることができて心から良かったと思う!!!
ただ、ただ。。
ストーリーが昼ドラよろしくドロドロしていて、
神秘的で気品もあったファントムは人間くさく
ジリー母子やラウルの崩壊したキャラが悲壮で
好みが分かれるかもしれません。
(下部のネタバレで、一部を記載)
前作を超える衝撃な展開を求められるだろうし、そう応えたものだとは思いますが
これを観ると「オペラ座の怪人」をあらためて観たくなるのでした。
そして素晴らしい歌声にもかかわらず何を言っているのか聞き取りづらいキャストがいて。
雰囲気で意味はわかるので聞き流せますが
後方席でも、ささやくような歌声も聞き取れる四季の発声法の素晴らしさが思い出されます。
するめのように何度か観劇すると印象も変わっていくかしらん?
[あらすじ]
オペラ座からファントムが謎の失踪を遂げて10年。
ファントムはジリー親子の助けを得てニューヨークに移り、コニーアイランドの遊園地に身を隠した。
フリークスを雇い見世物をすることで徐々に財をなしたが、
クリスティーヌを思い続けるファントムの気持ちが満たされることは決してなかった。
クリスティーヌの幸せを願い、一度は彼女への愛を押し殺したファントムだったが、
その灯は消えるどころか狂おしい程に膨らんでいくのだった。
一方、ラウルと結婚したクリスティーヌは一児の母となり、“伝説のソプラニスト”としてオペラ座で活躍していた。
一家の幸せに水を差したのは、ラウルがギャンブルでつくった多額の借金だった。
借金の事実を知ったファントムは、クリスティーヌがコニーアイランドのファンタズマ(見世物小屋)に出演すれば
多額の報酬を払うと、謎の興行主を装いラウルに話を持ちかけた。
借金返済のために、ラウルと息子・グスタフを連れてアメリカへ渡ったクリスティーヌは、この計画の背後に
ファントムの影を感じ始めて―。
ファントム ・・・・・・・・・・・・市村正親
クリスティーヌ・ダーエ ・・・濱田めぐみ
ラウル・シャニュイ子爵 ・・田代万里生
メグ・ジリー ・・・・・・・・・・笹本玲奈
マダム・ジリー ・・・・・・・・鳳蘭
グスタフ ・・・・・・・・・・・・・松井月杜
フレック ・・・・・・・・・・・・・あべみずほ
スケルチ ・・・・・・・・・・・・辰巳智秋
ガングル ・・・・・・・・・・・・ひのあらた
2014年4月2日(水)日生劇場
(↓ 以下ネタバレあり)
ファントムがクリスと再会して、「月のない夜に」と意味深に歌って。
ファントムの一件があったからか音楽に理解を示せないラウル、
音楽の才能を見せ始める10歳になるグスタフ、
ぉゃぉゃ、これは。。一晩関係があったということではないか!!!
10年前、ファントムを愛していたのに、死んだと思っていたのになぜ今さら、
裏切られたとクリスは言うけれど、
ラウルと大恋愛してファントムの想いに応えられなかったのはクリスだったではないか。
オペラ座ではファントムと相思相愛で一晩関係があったということに、私はショックでした。。
パラレルワールドだと気持ちを切り替えるしかありません。
10年前ファントムを救ったのは、支え続けたのはジリー母子で。
でもやはりファントムが求めるのはクリス、そして息子グスタフだったということ、
ファントムに認めてもらいたいがためにメグは汚い世界に身を落としても、報われなかったこと
憎しみが暴走してしまうのは同情してしまう。
この悲痛な展開を演じる玲奈ちゃん上手い。
メグが怪人と揉みあいになり、その勢いで発砲、
そしてクリスにあたり命を落としてしまうなんて、茶番な展開ではないか。。
今作ではラウルは引き立て役でしかなく
クリスからグスタフへと繋ぐ愛が、ファントムの仮面をはぐというラストになっていました。
「心で見つめて」がこう生きてくるのですね。。
こう見た後のカーテンコールです、
何度も応えているうちに、市村ファントムが万里生ラウルだけ手を繋がなかったり
濱田クリスと松井グスタフと三人親子で固まって、万里生ラウルを挑発したり
それに万里生ラウルが悔しがって見せたり、その度に観客は大ウケ。
楽しい楽しい気持ちで終演を迎えたのでした。ちゃんちゃん。
「オペラ座の怪人2~ラヴ・ネヴァー・ダイズ<デラックス・エディション>」
■朝日「【公演評】「ラブ・ネバー・ダイ」
ドラマティックな歌と非日常空間に酔いしれる」
■MSN産経「日生劇場 ミュージカル「ラブ・ネバー・ダイ」」