◆入賞発表/2012年2月26日◆
【最優秀/2句】
★たんぽぽの野に散らばれる低さかな/津本けい
「低さかな」は、言えそうでなかなか言えない。野に咲くたんぽぽは、まだ風も冷たいせいか、丈が低く野にへばりつくように咲いている。野に咲くたんぽぽの景色を平易な言葉でうまく表現した。(高橋正子)
★バケツありて男の汲める水温む/川名ますみ(信之添削)
男が汲んだバケツは、頼もしい男の腕でなみなみと汲んだ水がはいっているバケツ。この水を見ていると、やわらかで、光がまじり、「水温む」を実感させてくれる。あかるい心境が詠まれて、読み手にも明るさが与えられる。(高橋正子)
【高橋正子特選/5句】
★乙訓は風吹く丘ぞ菜花咲く/桑本栄太郎
乙訓は、長岡京があったところとして知られるが、丘に菜花が咲きやわらかな起伏を彩っている。風もやわらかに菜花をなでてゆく。「乙訓」がよく効いている。(高橋正子)
★カットする鏡に淡きチューリップ/祝恵子
髪をカットする様子が鏡に映っているが、その鏡に淡い色の、おそらく淡いピンクのチューリップが映っているのだろう。「淡い」と言ってチューリップの色や形を読者にゆだねたところに春らしさが出た。鏡の中に明るくやさしい春がある。(高橋正子)
★沖よりも甍の光り春めけり/多田有花(正子添削)
★陽をまとい子らブランコを宙に漕ぐ/小川和子
★遠汽笛空へ弾ませ風二月/藤田裕子
【高橋秀之特選/5句】
★春雪の光る遠嶺や県境/黒谷光子
冬と違い春の雪は陽の光を受けてきらきらとしています。湖国の県境の遠嶺の山々の雪も、明るい雪を感じさせてくれたのでしょう。(高橋秀之)
★余寒去り木々伸びやかに影を成す/多田有花
前日までの寒波が緩み、暖かな一日を待ちわびたかのように、寒さから解放された木々が一気に伸びやかになる。自然の息吹を感じさせてくれます。(高橋秀之)
★陽をまとい子らブランコを宙に漕ぐ/小川和子
春の暖かい陽射しが包む公園では、元気な子ども達がぶらんこを大きくこいでいる様子は、陽気に誘われた元気な子ども達の活気が伝わってきます。(高橋秀之)
★遠汽笛空へ弾ませ風二月/藤田裕子
遠くから響く汽笛が二月の風に乗って大空に広がっていきます。春浅き風は、きっと心地よい風だったことでしょう。(高橋秀之)
★たんぽぽの野に散らばれる低さかな/津本けい
野に咲くタンポポはまだまだ背が低く、早咲きだけなのか、点々と咲いています。春先の野原の様子をとてもうまく伝えてくれました。(高橋秀之)
【黒谷光子特選/5句】
★たんぽぽの野に散らばれる低さかな/津本けい
花も葉も土にくっつくように咲き始めたたんぽぽ、早春のたんぽぽの野の情景が浮かびます。低さかな が素敵です。(黒谷光子)
★野に山にしるき響きや雪解川/佃 康水
野や山に響く雪解川の響きは春の兆し、心地よい響きです。(黒谷光子)
★空に張る小さきものよ楓の芽/小西宏
小さきものよと呼びかける詠みに楓の芽の愛らしさ、美しさがいっそう引き立ちます。(黒谷光子)
★蕗の薹手のひらふっと野の香り/藤田洋子
蕗の薹の香りが移った手のひら、ほんのりと匂います。春の香りがうれしいです。(黒谷光子)
★麗らかやとんびゆるりと旋回す/井上治代
ゆっくりと旋回する鳶の大空は、春ならでは情景と思います。のびのびとした気持ちになりました。(黒谷光子)
【祝 恵子特選/5句】
★釣り船の影きらきらと春の海/多田有花
春の海に浮かぶ釣り船、ゆったりと揺れていて春の光が釣り船を覆っているようです。(祝 恵子)
★菜の花や遠くに牧の牛の群れ/古田敬二
牧場の風景でしょうか。タンポポが咲き、のどかさが伝わってきます。(祝 恵子)
★植替の土さらさらと春めきぬ/川名ますみ
春めいてお花の苗を植えられる準備でしょう。土もさらさらとして、嬉しい思いです。(祝 恵子)
★日暮れゆく松尾大社や春ともし/桑本栄太郎
見知った土地や神社が句に出ると嬉しくなります。松尾大社の大きな鳥居や春夕方の景色が浮かびます。(祝 恵子)
★梅二月開きて遠き地図の旅/藤田洋子
梅の咲く頃となり春めいてくればどこか遠くの旅に出たくなります。地図を広げて。(祝 恵子)
【迫田和代特選/5句】
★伐りて来し庭の白梅供花とせり/小口泰興
白梅は梅の中でも香りがいいのです。供えられ田方もさぞお喜びだったでしょう。お優しい句ですね。(迫田和代)
★たんぽぽの野に散らばれる低さかな/津本けい
早春のタンポポは大地を掴むように低く生えます。そして可愛い花です。それを素晴らしい句になさった詠み人の表現力に感動しております。(迫田和代)
★ただいまの声遠くまで春の宵/高橋秀之
お仕事に勢を出された後 奥様とお子様のお待ちになるお宅に帰られてつい大声でただいまとおっしゃったお気持ち 吹き出しました。温かいくですね。(迫田和代)
★春寒や米とぐ音のすきとおる/井上治代
音がすきとおるのは寒い日ですものね。お寒かったでしょう。(迫田和代)
★水温む男の汲みしバケツあり/川名ますみ
男の人がお汲みみなったのですもの。水温むといわれてるので皆が待っている春なんでしょう。豊かな句ですね。(迫田和代)
【藤田洋子特選/5句】
★空に張る小さきものよ楓の芽/小西 宏
早春、紅色のやわらかな新芽を吹く楓、小さいながらも空に張るいのちの息吹が、とても愛おしく新鮮に感じられます。(藤田洋子)
★残雪の田にきらきらと水流る/黒谷光子
残雪の田も、田に入る水の流れも、眩しいばかりに輝いて、早春の澄んだ清らな空気を感じさせてくれます。(藤田洋子)
★沖よりも甍の光り春めきぬ /多田有花
はるかに望む沖も美しく広がり、またさらに、甍の照り合う眩しさに明るい日差しを感じ、おのずと春めく気配が感じ取れます。(藤田洋子)
★青空へ伸びる一枝梅一輪/桑本栄太郎
青空のもと、一枝に咲く一輪の梅がことさら美しく気品高く、伸びやかな明るさに早春の喜びを感じます。(藤田洋子)
★菜の花や遠くに牧の牛の群れ/古田敬二
菜の花が咲き、遠望に群れる牛の群れ、明るく見えわたるのどかな情景に、あたたかく穏やかな気持ちになれます。(藤田洋子)
【佃 康水特選/5句】
★青空やちいほの蕾枝垂れ梅/小口泰與
寒さも去り青空が戻って来ると一気に梅の開花が期待されます。沢山の蕾を付けた枝垂れ梅がその時を待っています。「ちいほの蕾」と「枝垂れ梅」の措辞が新鮮です。(佃 康水)
★余寒去り木々伸びやかに影を成す/多田有花
やっと余寒が去った感が有ります。柔らかな日差しを受ける木々の影も伸びやかで、人の動きも軽やかになる様な気が致します。(佃 康水)
★たんぽぽの野に散らばれる低さかな/津本けい
たんぽぽは地に張り付いたかの様に葉を広げ濃い黄色の花がしっかりと低く咲いて居ます。次第に伸びるのでしょうが、今はしっかりと根づいたたんぽぽの強さを感じます。(佃 康水)
★梅東風の吹くよ旧知の友ませば/小川和子
懐かしいお友達とお逢いになったのでしょうか。ご一緒ならば春の風も心地よくさぞ楽しい一時に旧交を温められたことでしょう。(佃 康水)
★菜の花や遠くに牧の牛の群れ/古田敬二
菜の花の咲いて居る所から見える牛牧場、春の長閑な風景が目に浮かびます。広々とした草原と季節の花、その取り合わせにゆったりと心を和ませてくれます。(佃 康水)
【井上治代特選/5句】
★伐りて来し庭の白梅供花とせり/小口泰與
清らかな白梅を伐って仏様にお供えすると、ほのかな香りが広がり、先祖の方々も安らいだ気持になられたことと思います。(井上治代)
★残雪の田にきらきらと水流る/黒谷光子
きらきらと光りながら流れる水の音に、寒く長かった冬も終わり、自然界のものがいっせいに煌めき始める予感がします。(井上治代)
★陽をまとい子らぶらんこを宙に漕ぐ/小川和子
大空に向かって夢をいっぱいにのせてブランコを漕いでいる子ども達。幸せそのものです。こういった幸せが続けばよいと思います。(井上治代)
★春の雨水の輪やがて音生まる/藤田洋子
春の雨が一つ、二つと水の輪になり、やがて重なり合って、ポツリ、ポツリという音が生まれる。視覚と時間的経過をうまくとらえてつくられた俳句だと思います。(井上治代)
★植替の土さらさらと春めきぬ/川名ますみ
植替するために土に触れるとその感触はさらさらとしてあたたかく心地よいものでした。土も春めいているととらえた作者の感覚がすばらしいと思いました。(井上治代)
【小西 宏特選/5句】
★伐りて来し庭の白梅供花とせり/小口泰與
「伐りて来し」や「せり」の音がきっぱりと澄んで聞こえ、白梅を引き立てています。まだ春も浅いのでしょう。句全体に凛とした響きが感じられます。 (小西 宏)
★街の畑狭しといえど菜花咲く/河野啓一
住む街への愛情と春到来の喜びが静かに語られている、優しさ溢れる佳品と思います。 (小西 宏)
★釣り船の影きらきらと春の海/多田有花
ゆったりと漂う釣り船の間に間に春の海がきらきらと輝く。ゆるやかな句のリズムが長閑な春のうねりを届けてくれています。 (小西 宏)
★野に山にしるき響きや雪解川/佃 康水
春の野を歩いてみれば、雪解けの水の増えた川の響きが強く感じられるようになったのでしょう。生き生きとした春の情景が鮮明に詠われています。 (小西 宏)
★春寒や米研ぐ音のすきとおる/井上治代
「米研ぐ音のすきとおる」が春寒の肌触りを見事に表現しています。春の寒さが、あらためて好きになりそうです。 (小西 宏)
【古田敬二特選/5句】
★残雪の田にきらきらと水流る/黒谷光子
早春の田はまだ残雪に覆われている。が、よくみると春の日に溶けた雪が小さな流れを作り、きらめいている。春を迎える作者の喜びが、きらきらという言葉で表わされている。(古田敬二)
★春めきてバスの系統変えてみる/桑本栄太郎
あたたかな日和に誘われて吟行に出る。いつものルートを変えて違う場所へ出かけてみよう。日常のあっさりとした表現で春の来訪を喜ぶ気持ちが表されている。いい句に出会うことができるでという作者の確信を感ずる。(古田敬二)
★橋立の靄より現るる浅利舟/今村征一
小高い所から橋立の靄を見下ろしている。靄を破って小さな浅利船の影がゆっくりと現れる。モノトーンの絵を見るような感じがする。(古田敬二)
★春光や小走り滑る浜千鳥/小西 宏
春光にきらめく海面。岸辺をちょこちょこと歩く浜千鳥。中七の表現が浜千鳥の歩き方をうまく表現している。「ひねもすのたりのたりかな」の春の海である。(古田敬二)
★梅二月開きて遠き地図の旅/藤田洋子
今年は梅の開花が遅れているがようやくにして咲き始めた。どこか遠くへの旅を計画されているのあろう。「開きて」は梅の「開」花と旅に出る目的地の載っている地図を「開く」にかけているように読んだ。(古田敬二)
【入選/8句】
★しなやかに野の畔へ跳ぶ春の猫/古田敬二
冬はコタツで丸くなると歌われる猫も野で活動する春になりました。躍動的で猫が活き活きと感じられる句と感じます。 (高橋秀之)
★岸辺より始まる春の兆しかな/今村征一
水が温かくなり小魚が泳ぎ始め、草花も芽吹くようになって、岸辺は春の兆しが感じられるようになりました。(高橋秀之)
★蕗の薹揚げてふくらむ紙の上/藤田洋子
美味しそう。紙の上でふくらむ蕗の薹。思い出せばわくわくしてきます。春の味ですね。(迫田和代)
★水温む児らの歓声空の下/河野啓一
少し温かくなってくると、子どもたちは水に触れたがりますね。その子どもたちの様子をいきいきと詠われています。(多田有花)
★音のする雪解け水が春の野に/迫田和代
雪解けの音はやはり水音で象徴されます。雪がとけ氷がとけ水になって流れ下ってくる、それがうれしく耳に届きます。(多田有花)
★金盞花潮騒聞こゆ湯宿かな/古賀一弘
海辺の温泉宿に来られています。霜が降りない暖かいところでは、キンセンカは早春から咲きます。あの形と色がさらに暖かさを感じさせてくれます。(多田有花)
★映画館出れば眩しい春の空/足立弘
映画館でしばし物語の世界に旅をしておられました。その暗がりから出ると、外は春の青空でした。その明るさが新鮮です。(多田有花)
★温かき重き襁褓を替えうらら/小西 宏
赤ちゃんのおむつ、と解釈していいでしょうか。日々成長する赤ん坊の元気の印が「温かき重き襁褓」ですね。(多田有花)
【最優秀/2句】
★たんぽぽの野に散らばれる低さかな/津本けい
「低さかな」は、言えそうでなかなか言えない。野に咲くたんぽぽは、まだ風も冷たいせいか、丈が低く野にへばりつくように咲いている。野に咲くたんぽぽの景色を平易な言葉でうまく表現した。(高橋正子)
★バケツありて男の汲める水温む/川名ますみ(信之添削)
男が汲んだバケツは、頼もしい男の腕でなみなみと汲んだ水がはいっているバケツ。この水を見ていると、やわらかで、光がまじり、「水温む」を実感させてくれる。あかるい心境が詠まれて、読み手にも明るさが与えられる。(高橋正子)
【高橋正子特選/5句】
★乙訓は風吹く丘ぞ菜花咲く/桑本栄太郎
乙訓は、長岡京があったところとして知られるが、丘に菜花が咲きやわらかな起伏を彩っている。風もやわらかに菜花をなでてゆく。「乙訓」がよく効いている。(高橋正子)
★カットする鏡に淡きチューリップ/祝恵子
髪をカットする様子が鏡に映っているが、その鏡に淡い色の、おそらく淡いピンクのチューリップが映っているのだろう。「淡い」と言ってチューリップの色や形を読者にゆだねたところに春らしさが出た。鏡の中に明るくやさしい春がある。(高橋正子)
★沖よりも甍の光り春めけり/多田有花(正子添削)
★陽をまとい子らブランコを宙に漕ぐ/小川和子
★遠汽笛空へ弾ませ風二月/藤田裕子
【高橋秀之特選/5句】
★春雪の光る遠嶺や県境/黒谷光子
冬と違い春の雪は陽の光を受けてきらきらとしています。湖国の県境の遠嶺の山々の雪も、明るい雪を感じさせてくれたのでしょう。(高橋秀之)
★余寒去り木々伸びやかに影を成す/多田有花
前日までの寒波が緩み、暖かな一日を待ちわびたかのように、寒さから解放された木々が一気に伸びやかになる。自然の息吹を感じさせてくれます。(高橋秀之)
★陽をまとい子らブランコを宙に漕ぐ/小川和子
春の暖かい陽射しが包む公園では、元気な子ども達がぶらんこを大きくこいでいる様子は、陽気に誘われた元気な子ども達の活気が伝わってきます。(高橋秀之)
★遠汽笛空へ弾ませ風二月/藤田裕子
遠くから響く汽笛が二月の風に乗って大空に広がっていきます。春浅き風は、きっと心地よい風だったことでしょう。(高橋秀之)
★たんぽぽの野に散らばれる低さかな/津本けい
野に咲くタンポポはまだまだ背が低く、早咲きだけなのか、点々と咲いています。春先の野原の様子をとてもうまく伝えてくれました。(高橋秀之)
【黒谷光子特選/5句】
★たんぽぽの野に散らばれる低さかな/津本けい
花も葉も土にくっつくように咲き始めたたんぽぽ、早春のたんぽぽの野の情景が浮かびます。低さかな が素敵です。(黒谷光子)
★野に山にしるき響きや雪解川/佃 康水
野や山に響く雪解川の響きは春の兆し、心地よい響きです。(黒谷光子)
★空に張る小さきものよ楓の芽/小西宏
小さきものよと呼びかける詠みに楓の芽の愛らしさ、美しさがいっそう引き立ちます。(黒谷光子)
★蕗の薹手のひらふっと野の香り/藤田洋子
蕗の薹の香りが移った手のひら、ほんのりと匂います。春の香りがうれしいです。(黒谷光子)
★麗らかやとんびゆるりと旋回す/井上治代
ゆっくりと旋回する鳶の大空は、春ならでは情景と思います。のびのびとした気持ちになりました。(黒谷光子)
【祝 恵子特選/5句】
★釣り船の影きらきらと春の海/多田有花
春の海に浮かぶ釣り船、ゆったりと揺れていて春の光が釣り船を覆っているようです。(祝 恵子)
★菜の花や遠くに牧の牛の群れ/古田敬二
牧場の風景でしょうか。タンポポが咲き、のどかさが伝わってきます。(祝 恵子)
★植替の土さらさらと春めきぬ/川名ますみ
春めいてお花の苗を植えられる準備でしょう。土もさらさらとして、嬉しい思いです。(祝 恵子)
★日暮れゆく松尾大社や春ともし/桑本栄太郎
見知った土地や神社が句に出ると嬉しくなります。松尾大社の大きな鳥居や春夕方の景色が浮かびます。(祝 恵子)
★梅二月開きて遠き地図の旅/藤田洋子
梅の咲く頃となり春めいてくればどこか遠くの旅に出たくなります。地図を広げて。(祝 恵子)
【迫田和代特選/5句】
★伐りて来し庭の白梅供花とせり/小口泰興
白梅は梅の中でも香りがいいのです。供えられ田方もさぞお喜びだったでしょう。お優しい句ですね。(迫田和代)
★たんぽぽの野に散らばれる低さかな/津本けい
早春のタンポポは大地を掴むように低く生えます。そして可愛い花です。それを素晴らしい句になさった詠み人の表現力に感動しております。(迫田和代)
★ただいまの声遠くまで春の宵/高橋秀之
お仕事に勢を出された後 奥様とお子様のお待ちになるお宅に帰られてつい大声でただいまとおっしゃったお気持ち 吹き出しました。温かいくですね。(迫田和代)
★春寒や米とぐ音のすきとおる/井上治代
音がすきとおるのは寒い日ですものね。お寒かったでしょう。(迫田和代)
★水温む男の汲みしバケツあり/川名ますみ
男の人がお汲みみなったのですもの。水温むといわれてるので皆が待っている春なんでしょう。豊かな句ですね。(迫田和代)
【藤田洋子特選/5句】
★空に張る小さきものよ楓の芽/小西 宏
早春、紅色のやわらかな新芽を吹く楓、小さいながらも空に張るいのちの息吹が、とても愛おしく新鮮に感じられます。(藤田洋子)
★残雪の田にきらきらと水流る/黒谷光子
残雪の田も、田に入る水の流れも、眩しいばかりに輝いて、早春の澄んだ清らな空気を感じさせてくれます。(藤田洋子)
★沖よりも甍の光り春めきぬ /多田有花
はるかに望む沖も美しく広がり、またさらに、甍の照り合う眩しさに明るい日差しを感じ、おのずと春めく気配が感じ取れます。(藤田洋子)
★青空へ伸びる一枝梅一輪/桑本栄太郎
青空のもと、一枝に咲く一輪の梅がことさら美しく気品高く、伸びやかな明るさに早春の喜びを感じます。(藤田洋子)
★菜の花や遠くに牧の牛の群れ/古田敬二
菜の花が咲き、遠望に群れる牛の群れ、明るく見えわたるのどかな情景に、あたたかく穏やかな気持ちになれます。(藤田洋子)
【佃 康水特選/5句】
★青空やちいほの蕾枝垂れ梅/小口泰與
寒さも去り青空が戻って来ると一気に梅の開花が期待されます。沢山の蕾を付けた枝垂れ梅がその時を待っています。「ちいほの蕾」と「枝垂れ梅」の措辞が新鮮です。(佃 康水)
★余寒去り木々伸びやかに影を成す/多田有花
やっと余寒が去った感が有ります。柔らかな日差しを受ける木々の影も伸びやかで、人の動きも軽やかになる様な気が致します。(佃 康水)
★たんぽぽの野に散らばれる低さかな/津本けい
たんぽぽは地に張り付いたかの様に葉を広げ濃い黄色の花がしっかりと低く咲いて居ます。次第に伸びるのでしょうが、今はしっかりと根づいたたんぽぽの強さを感じます。(佃 康水)
★梅東風の吹くよ旧知の友ませば/小川和子
懐かしいお友達とお逢いになったのでしょうか。ご一緒ならば春の風も心地よくさぞ楽しい一時に旧交を温められたことでしょう。(佃 康水)
★菜の花や遠くに牧の牛の群れ/古田敬二
菜の花の咲いて居る所から見える牛牧場、春の長閑な風景が目に浮かびます。広々とした草原と季節の花、その取り合わせにゆったりと心を和ませてくれます。(佃 康水)
【井上治代特選/5句】
★伐りて来し庭の白梅供花とせり/小口泰與
清らかな白梅を伐って仏様にお供えすると、ほのかな香りが広がり、先祖の方々も安らいだ気持になられたことと思います。(井上治代)
★残雪の田にきらきらと水流る/黒谷光子
きらきらと光りながら流れる水の音に、寒く長かった冬も終わり、自然界のものがいっせいに煌めき始める予感がします。(井上治代)
★陽をまとい子らぶらんこを宙に漕ぐ/小川和子
大空に向かって夢をいっぱいにのせてブランコを漕いでいる子ども達。幸せそのものです。こういった幸せが続けばよいと思います。(井上治代)
★春の雨水の輪やがて音生まる/藤田洋子
春の雨が一つ、二つと水の輪になり、やがて重なり合って、ポツリ、ポツリという音が生まれる。視覚と時間的経過をうまくとらえてつくられた俳句だと思います。(井上治代)
★植替の土さらさらと春めきぬ/川名ますみ
植替するために土に触れるとその感触はさらさらとしてあたたかく心地よいものでした。土も春めいているととらえた作者の感覚がすばらしいと思いました。(井上治代)
【小西 宏特選/5句】
★伐りて来し庭の白梅供花とせり/小口泰與
「伐りて来し」や「せり」の音がきっぱりと澄んで聞こえ、白梅を引き立てています。まだ春も浅いのでしょう。句全体に凛とした響きが感じられます。 (小西 宏)
★街の畑狭しといえど菜花咲く/河野啓一
住む街への愛情と春到来の喜びが静かに語られている、優しさ溢れる佳品と思います。 (小西 宏)
★釣り船の影きらきらと春の海/多田有花
ゆったりと漂う釣り船の間に間に春の海がきらきらと輝く。ゆるやかな句のリズムが長閑な春のうねりを届けてくれています。 (小西 宏)
★野に山にしるき響きや雪解川/佃 康水
春の野を歩いてみれば、雪解けの水の増えた川の響きが強く感じられるようになったのでしょう。生き生きとした春の情景が鮮明に詠われています。 (小西 宏)
★春寒や米研ぐ音のすきとおる/井上治代
「米研ぐ音のすきとおる」が春寒の肌触りを見事に表現しています。春の寒さが、あらためて好きになりそうです。 (小西 宏)
【古田敬二特選/5句】
★残雪の田にきらきらと水流る/黒谷光子
早春の田はまだ残雪に覆われている。が、よくみると春の日に溶けた雪が小さな流れを作り、きらめいている。春を迎える作者の喜びが、きらきらという言葉で表わされている。(古田敬二)
★春めきてバスの系統変えてみる/桑本栄太郎
あたたかな日和に誘われて吟行に出る。いつものルートを変えて違う場所へ出かけてみよう。日常のあっさりとした表現で春の来訪を喜ぶ気持ちが表されている。いい句に出会うことができるでという作者の確信を感ずる。(古田敬二)
★橋立の靄より現るる浅利舟/今村征一
小高い所から橋立の靄を見下ろしている。靄を破って小さな浅利船の影がゆっくりと現れる。モノトーンの絵を見るような感じがする。(古田敬二)
★春光や小走り滑る浜千鳥/小西 宏
春光にきらめく海面。岸辺をちょこちょこと歩く浜千鳥。中七の表現が浜千鳥の歩き方をうまく表現している。「ひねもすのたりのたりかな」の春の海である。(古田敬二)
★梅二月開きて遠き地図の旅/藤田洋子
今年は梅の開花が遅れているがようやくにして咲き始めた。どこか遠くへの旅を計画されているのあろう。「開きて」は梅の「開」花と旅に出る目的地の載っている地図を「開く」にかけているように読んだ。(古田敬二)
【入選/8句】
★しなやかに野の畔へ跳ぶ春の猫/古田敬二
冬はコタツで丸くなると歌われる猫も野で活動する春になりました。躍動的で猫が活き活きと感じられる句と感じます。 (高橋秀之)
★岸辺より始まる春の兆しかな/今村征一
水が温かくなり小魚が泳ぎ始め、草花も芽吹くようになって、岸辺は春の兆しが感じられるようになりました。(高橋秀之)
★蕗の薹揚げてふくらむ紙の上/藤田洋子
美味しそう。紙の上でふくらむ蕗の薹。思い出せばわくわくしてきます。春の味ですね。(迫田和代)
★水温む児らの歓声空の下/河野啓一
少し温かくなってくると、子どもたちは水に触れたがりますね。その子どもたちの様子をいきいきと詠われています。(多田有花)
★音のする雪解け水が春の野に/迫田和代
雪解けの音はやはり水音で象徴されます。雪がとけ氷がとけ水になって流れ下ってくる、それがうれしく耳に届きます。(多田有花)
★金盞花潮騒聞こゆ湯宿かな/古賀一弘
海辺の温泉宿に来られています。霜が降りない暖かいところでは、キンセンカは早春から咲きます。あの形と色がさらに暖かさを感じさせてくれます。(多田有花)
★映画館出れば眩しい春の空/足立弘
映画館でしばし物語の世界に旅をしておられました。その暗がりから出ると、外は春の青空でした。その明るさが新鮮です。(多田有花)
★温かき重き襁褓を替えうらら/小西 宏
赤ちゃんのおむつ、と解釈していいでしょうか。日々成長する赤ん坊の元気の印が「温かき重き襁褓」ですね。(多田有花)
①残雪の田にきらきらと水流る 黒谷光子
早春の田はまだ残雪に覆われている。が、よくみると春の日に溶けた雪が小さな流れを作り、きらめいている。
春を迎える作者の喜びが、きらきらという言葉で表わされている。
②春めきてバスの系統変えてみる 桑本栄太郎
あたたかな日和に誘われて吟行に出る。いつものルートを変えて違う場所へ出かけてみよう。日常のあっさり
とした表現で春の来訪を喜ぶ気持ちが表されている。いい句に出会うことができるでという作者の確信を感ず
る。
③橋立の靄より現るる浅利舟 今村征一
小高い所から橋立の靄を見下ろしている。靄を破って小さな浅利船の影がゆっくりと現れる。モノトーンの絵
を見るような感じがする。
④春光や小走り滑る浜千鳥 小西 宏
春光にきらめく海面。岸辺をちょこちょこと歩く浜千鳥。中七の表現が浜千鳥の歩き方をうまく表現している。
「ひねもすのたりのたりかな」の春の海である。
⑤梅二月開きて遠き地図の旅 藤田洋子
今年は梅の開花が遅れているがようやくにして咲き始めた。どこか遠くへの旅を計画されているのあろう。
「開きて」は梅の「開」花と旅に出る目的地の載っている地図を「開く」にかけているように読んだ。
白梅は梅の中でも香りがいいのです。供えられ田方もさぞお喜びだったでしょう。お優しい句ですね。
★たんぽぽの野に散らばれる低さかな/津本 けい
早春のタンポポは大地を掴むように低く生えます。そして可愛い花です。それを素晴らしい句になさった詠み人の表現力に感動しております。
★ただいまの声遠くに春の宵/高橋 秀之
お仕事に勢を出された後 奥様とお子様のお待ちになるお宅に帰られてつい大声でただいまとおっしゃったお気持ち 吹き出しました。温かいくですね。
★春寒や米とぐ音のすきとおる/井上 治代
音がすきとおるのは寒い日ですものね。お寒かったでしょう。
★水温む男の汲みしバケツあり/川名 ますみ
男の人がお汲みみなったのですもの。水温むといわれてるので皆が待っている春なんでしょう。豊かな句ですね。
水が温かくなり小魚が泳ぎ始め、草花も芽吹くようになって、岸辺は春の兆しが感じられるようになりました。
★しなやかに野の畔へ跳ぶ春の猫/古田敬二
冬はコタツで丸くなると歌われる猫も野で活動する春になりました。躍動的で猫が活き活きと感じられる句と感じます。
ただいまの声遠くまで春の宵の句に選をいただきましてありがとうございました。子どもたちの元気な声は、いつも嬉しいものです。
※すいませんが、「ただいまの声遠くに春の宵」を「ただいまの声遠くまで春の宵」に訂正をお願いします。
美味しそう。紙の上でふくらむ蕗の薹。思い出せばわくわくしてきます。春の味ですね。
★水温む児らの歓声空の下/を入選句にお選びくださり厚く御礼申し上げます。
同人諸兄姉の多くの秀句、佳句に接し、大いに勉強させていただきました。
小西宏さま、★街の畑狭しといえど菜花咲く/を特選句にお加えくださりコメントもいただき感激です。誠に有難うございました。
正子先生
第7回きがるに句会を開催していただき 有り難う御座いました。正子先生には「音のする雪解け水」の句を入選句にお選びいただき感謝致します。有り難うございます。
藤田 洋子様には何時もご苦労様です。申し訳ございません。
少し温かくなってくると、子どもたちは水に触れたがりますね。
その子どもたちの様子をいきいきと詠われています。
★音のする雪解け水が春の野に/迫田和代
雪解けの音はやはり水音で象徴されます。雪がとけ氷がとけ
水になって流れ下ってくる、それがうれしく耳に届きます。
★金盞花潮騒聞こゆ湯宿かな/古賀一弘
海辺の温泉宿に来られています。霜が降りない暖かいところでは、
キンセンカは早春から咲きます。あの形と色がさらに暖かさを感じさせて
くれます。
★映画館出れば眩しい春の空/足立弘
映画館でしばし物語の世界に旅をしておられました。その暗がりから
出ると、外は春の青空でした。その明るさが新鮮です。
★温かき重き襁褓を替えうらら/小西 宏
赤ちゃんのおむつ、と解釈していいでしょうか。日々成長する
赤ん坊の元気の印が「温かき重き襁褓」ですね。
第七回きがるに句会を開催して頂き有難うございます。
迫田和代様、井上治代様、小西宏様
「白梅」の句を特選五句の一句にお選び頂き、それぞれの皆様に素晴らしいコメントを頂き有難うございます。
佃康水様
「枝垂れ梅」の句を特選五句の一句にお選び頂き、素晴らしいコメントを有難うございます。