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青樹句会

主宰:高橋信之(花冠名誉主宰)

第2回句会入賞発表

2012-01-13 09:29:11 | 日記
■入賞発表/2012年1月15日■
(1月8日~14日投句より)

【最優秀】
★まず一本清楚に傾ぎ咲く水仙/祝恵子
水仙が咲くのは、意外と遅い。12月ごろは、ほとんどは蕾が固くて、正月が過ぎたころから一花二花と咲き始める。一月半ばすぎからが見ごろであろうか。まず、一本咲いた水仙が少し傾いで咲いている。「清楚に傾ぎ」が咲き始めの水仙らしい。(高橋正子)

【高橋正子特選/5句】
★まず一本清楚に傾ぎ咲く水仙/祝恵子
水仙が咲くのは、意外と遅い。12月ごろは、ほとんどは蕾が固くて、正月が過ぎたころから一花二花と咲き始める。一月半ばすぎからが見ごろであろうか。まず、一本咲いた水仙が少し傾いで咲いている。「清楚に傾ぎ」が咲き始めの水仙らしい。(高橋正子)

★寒中の沖はまぶしく晴れており/多田有花
寒の晴である。一気に詠まれた句は、すべてが明らかで、作者の内面が明らかなので嬉しい。(高橋信之)

★飯桐の実を突き出して森静か/川名ますみ
高木に葡萄の房のように赤い実を付ける飯桐。枯色深める森に、いっそう鮮やかに目を引きます。冬の森の静寂に、ふっと心灯されるような明るさを感じます。(藤田洋子)

★富士見える町の明るさ凧揚がる/安藤智久
この句の主眼は、「明るさ」であるが、その良し悪しは、読み手によって分かれる。この「明るさ」を素直なものと捉えるか、平凡なものと捉えるか、であり、素直な感動の良さを私は、高く評価したい。(高橋信之)

★青麦の田を分け列車南進す/黒谷光子
「南進す」に勢いをつけて晴れやかに走る列車が想像できる。行き先は春も隣りの明るいところか。明るくて元気が湧く。(高橋正子)

【藤田洋子特選/5句】
★一月の万年青の生花線の美を/藤田裕子
正月花として特別な生け方をする万年青、生ける方の心構えを感じ取れる「線の美」です。年の始めの一月に、祝意をこめて生けられた万年青が、葉も青々と美しく清々しいかぎりです。(藤田洋子)
「万年青」が活けられ、そこに「線の美」を見た。「万年青」の葉の力強さに「一月」という年のはじまりに当たっての作者の気持ちを託した。(高橋信之)

★蝋梅や空の青さに香の零る/佃 康水
寒中の空は澄んで青い。青空と蝋梅の黄色の対比は色彩的に美しい。その上に芳しい香りがこぼれていれば、至福の時間が味わえる。(高橋正子)

★清浄に暮れて高野の冬銀河/今村征一
星月夜や銀河は、秋の季語となって、秋の夜空の美しさを詠むが、大気が透明となって一年で最も美しい季節は実は冬である。そこを詠んで作者は、「清浄に」とした。「清浄」、「高野」、「冬銀河」と続く言葉の取り合わせがいい。(高橋信之)

★せいけつな色して落葉日の中に/高橋信之
落ち葉にもいろいろな色がありますが、せいけつな色と感じるのがいいですね。暖かい日の中であればこその感覚かと思います。(高橋秀之)

★まず一本清楚に傾ぎ咲く水仙/祝恵子

【多田有花特選/5句】
★初稽古まず聴音に始まれり/小川和子
賛美歌を歌われるのでしょうか。初稽古という特別な場所でまず音に耳を澄ます、厳かで清潔な空気が伝わってきます。(多田有花)

★伊吹嶺も連なる山も雪光る/黒谷光子
雪嶺となる伊吹山、続く連山も眩いばかりの景観です。湖国近江の冬の厳しさを感じつつも、明るく輝く雪嶺に、作者の郷土への思いが感じられます。(藤田洋子)

★凍雲の青き影ゆく向う岸/津本けい
凍てつくような空も雲が青空の中流れてゆく様子が影にも表れます。向こう岸がいいですね。(高橋秀之)

★ちりぢりと赤き葎の枯野かな/桑本栄太郎
枯野の枯れがきわまっているという印象を受けます。なにもかもが枯れてそこからまた新しい何かが生まれることへの希望です。 (多田有花)

★山風にガス灯ゆれる達磨市/小口泰與
上州は風で有名な場所、その風にゆれるガス灯の下で達磨市が開かれています。風の音と寒気と活気が感じられます。 (多田有花)

【高橋秀之特選/5句】
★寒中の沖はまぶしく晴れており/多田有花
 寒い冬の気持ちいい晴れの日。海も日差しを受けて輝いている。とても気持ちのいい光景です。(高橋秀之)

★寒中の硝子のくもり拭いて空/藤田洋子
寒い中部屋の中から外を見ようとしてもガラスは曇っています。そのくもりを拭くと外には空がいっぱいに広がっています。ほっと一息ついた様子がうかがい知れます。(高橋秀之)

★まず一本清楚に傾ぎ咲く水仙/祝恵子
★清浄に暮れて高野の冬銀河/今村征一
★せいけつな色して落葉日の中に/高橋信之

【入選/6句】
★延々と冬の朝焼け機上から/高橋秀之
夜空にきらめく星の数よりも、岬に灯る冬燈のほうが少ない。それだけに星がよくきらめき、岬に灯る燈にも人なつかしさが湧く。(高橋正子)

★冬満月たゆたいつつも山の端に/河野啓一
空に浮かぶ冬満月をとらえて、ユニークな句。(高橋正子)

★冬日さし膨れた雀元気だし/迫田和代
寒さの中羽毛をふくらませた雀に、冬の日差しがとりわけ温かく優しく感じます。その温もりに、作者自身も明るく元気付けられたのでしょうね。(藤田洋子)

★年賀状郵便受けの大き音/古賀一弘
お正月の楽しみの一つの年賀状。届けられる賀状を心待ちに、郵便受けに入る「大きな音」が耳に響き、新年を迎えての喜び、心明るさが感じられます。(藤田洋子)

★山風に重たげにゆれ実南天/古田敬二
山風はそんなに強い風ではないのでしょう。それでも揺れる実南天。重たげに、がその風情を際立たせて感じさせてくれます。(高橋秀之)

★丘まるく夕日孕みし冬木立/小西 宏
なだからな丘の冬木立ちがいま夕日を孕んでシルエットのように美しく立っている。ずっと留めておきたいような冬景色。(高橋正子)

第2回句会全作品

2012-01-13 09:28:07 | 日記
◆1月8日~14日/20名◆

●高橋信之
大いなるものよ冬空仰ぎ見る
冬空の拡がりに今駅裏は
せいけつな色して落葉日の中に
ごみ出しの朝の一歩に冬の晴れ
許されて枯芝のやさしさを踏む
寒天の今日ためらいの無き青に

●高橋秀之
延々と冬の朝焼け機上から
小寒のニュース映像異国の地
冬服をかばんに搭乗国際線
夜が明けて西空の冬月白く
白菜が溢れんばかり大皿に
北風の吹く朝港は波高し

●今村征一
寒灯下憤怒の仁王立ち上がる
遠くとも待春の情分かちたく
清浄に暮れて高野の冬銀河
行間に悴むこころ垣間見る
息白く大極拳の足上がる
餅を焼き昭和二桁裏返す
目で描く絆の一字寒晴るる
龍描く千鳥破風にもある淑気

●藤田洋子
水くぐり刻む七草青々と
七草のほのかな香り椀の中
水仙の香り残して灯り消す
切り揃え置く水仙の厨窓
寒中の硝子のくもり拭いて空
海の香の海鼠真水で洗いおり

●古田敬二
木漏れ日を受けて実一つ藪こうじ
山風に重たげにゆれ実南天
梅林の奥より剪定鋏音
温室の蘭が聴いてるソナタ「春」
窓越しの冬の日温しお茶饅頭
雪嶺は太古の高さに御嶽山

●古賀一弘
お互ひの長寿言祝ぐ年始酒
三陸に生まれ育ちて成人式
年賀状郵便受けの大き音

●迫田和代
雪道をよぎる黄色の遮断機よ
冬日さし膨れた雀元気だし
僅かだが緑を残し枯れ山に
群れて咲く水仙の香り海風に
陽を浴びて輝く蝋梅黄金色
冬の朝窓開け部屋をシンとして

●津本けい
かたまって流れの底の寒の鯉
星よりも少なき岬の冬燈
鳶舞える送電塔より霰降る
戸締りに出づれば冬満月凛と
間近より雉子鳴き発ちて野を揺らす
幾度か雉子降り発ちぬ草の原
夕映えの水に流れて浮き寝鳥
椋の実を高く散りばめ空広し
紅茶葉のジャンピング楽しき冬暁
川に出て寒風どっと攻め来たる
凍雲の青き影ゆく向う岸
寒夕焼束の間燃えて昏れにけり

●黒谷光子
面影は少年のまま賀状読む
伊吹嶺も連なる山も雪光る
実千両たわわなる枝を供花に添え
鐘撞きに蝋梅匂う段上がる
蝋梅にやわき日の射し黄の透ける
鶴亀のあとはおしゃべり謡い初め
北風の連れきし小雪闇に舞う
街灯の明かりの中を小雪舞う
蜜柑おく夜のテーブルの真ん中に
久に会う友どち寒の駅頭に
麦の田を分け列車南進す
鴨川に沿い南座へ冬柳
鳶一羽舞う空の下蕪を引く
鳶よりも烏すばやく冬空へ
冬草の青き野川や蕪洗う

●小口泰與
山風にガス灯ゆれし達磨市
次々に出そろう星や北颪
まむかえる赤城颪や冬菫
一条の夕日に浮ぶ大白鳥
古沼や鴨にまじえる大白鳥
寒釣や波の上なる榛名富士

●小川和子
紅色の濃く差す椿まだ固き
陽のさんさん降り水仙の二輪咲く
光射す水仙の香を知らんとす
鉱泉の湯気ほのぼのと石蕗の花
初稽古まず聴音に始まれり
去年に見し冬木並木のいよよ伸ぶ

●多田有花
山眠る下を流れし川もまた
遠き野に寒の光の差しており
春を待つ木々の枝先足の先
山路ゆく春遠からじと思いつつ
播磨灘包む真昼の寒霞
瑠璃色の蝶に出会いし寒真昼
地に伏してさらに水仙咲き続く
いっせいに小鳥飛び立つ枯葎
両脇に枯田したがえ高速路
寒中の沖はまぶしく晴れており
寒暁や列車の音に明けてくる
しんしんと午後より冷えて寒波くる
寒風に日ごと日差しの明るくて
裸木の枝を離れし雲一辺
待春の木々青空に枝広げ

●川名ますみ
乗初に馴染みとなりし運転手
賀状に触れ絵の具の厚み確かむる
椀物の具をすみに書き初日記
松明の洋蘭つぎつぎほどけゆく
飯桐の実を突き出して森静か
枯木山いいぎりの実のいろ激し

●桑本栄太郎
ちりぢりと赤き葎の枯野かな
蒼天の後光の射しぬ冬の雲
信貴生駒嶺の遥けき寒の晴

●佃 康水
蝋梅や空の青さに香の零る
黒々と小枝尖らせ寒満月
音違え海辺に爆す大とんど

●祝恵子
まず一本清楚に傾ぎ咲く水仙
七草の一草の根っこつまみあげ
缶の温み手に転がして冬の駅

●河野啓一
冬の瀬戸並びて白き大吊橋
小寒の吉野川越え阿波に入る
冬満月たゆたいつつも山の端に

●藤田裕子
冬満月木々を鎮めていよよ満つ
一月の万年青の生花線の美を
杵つきの黍餅ふくらみ至福の時

●安藤智久
富士見える町の明るさ凧揚がる
ピザ窯の炎が揺れる寒の夜
初競りへ山葵きりりと箱詰めす

●小西 宏
梅が枝に連なる小さき春隣
枯枝に鴉うごかず怒り肩
丘まるく夕日孕みし冬木立