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青樹句会

主宰:高橋信之(花冠名誉主宰)

第2回句会全作品

2012-01-13 09:28:07 | 日記
◆1月8日~14日/20名◆

●高橋信之
大いなるものよ冬空仰ぎ見る
冬空の拡がりに今駅裏は
せいけつな色して落葉日の中に
ごみ出しの朝の一歩に冬の晴れ
許されて枯芝のやさしさを踏む
寒天の今日ためらいの無き青に

●高橋秀之
延々と冬の朝焼け機上から
小寒のニュース映像異国の地
冬服をかばんに搭乗国際線
夜が明けて西空の冬月白く
白菜が溢れんばかり大皿に
北風の吹く朝港は波高し

●今村征一
寒灯下憤怒の仁王立ち上がる
遠くとも待春の情分かちたく
清浄に暮れて高野の冬銀河
行間に悴むこころ垣間見る
息白く大極拳の足上がる
餅を焼き昭和二桁裏返す
目で描く絆の一字寒晴るる
龍描く千鳥破風にもある淑気

●藤田洋子
水くぐり刻む七草青々と
七草のほのかな香り椀の中
水仙の香り残して灯り消す
切り揃え置く水仙の厨窓
寒中の硝子のくもり拭いて空
海の香の海鼠真水で洗いおり

●古田敬二
木漏れ日を受けて実一つ藪こうじ
山風に重たげにゆれ実南天
梅林の奥より剪定鋏音
温室の蘭が聴いてるソナタ「春」
窓越しの冬の日温しお茶饅頭
雪嶺は太古の高さに御嶽山

●古賀一弘
お互ひの長寿言祝ぐ年始酒
三陸に生まれ育ちて成人式
年賀状郵便受けの大き音

●迫田和代
雪道をよぎる黄色の遮断機よ
冬日さし膨れた雀元気だし
僅かだが緑を残し枯れ山に
群れて咲く水仙の香り海風に
陽を浴びて輝く蝋梅黄金色
冬の朝窓開け部屋をシンとして

●津本けい
かたまって流れの底の寒の鯉
星よりも少なき岬の冬燈
鳶舞える送電塔より霰降る
戸締りに出づれば冬満月凛と
間近より雉子鳴き発ちて野を揺らす
幾度か雉子降り発ちぬ草の原
夕映えの水に流れて浮き寝鳥
椋の実を高く散りばめ空広し
紅茶葉のジャンピング楽しき冬暁
川に出て寒風どっと攻め来たる
凍雲の青き影ゆく向う岸
寒夕焼束の間燃えて昏れにけり

●黒谷光子
面影は少年のまま賀状読む
伊吹嶺も連なる山も雪光る
実千両たわわなる枝を供花に添え
鐘撞きに蝋梅匂う段上がる
蝋梅にやわき日の射し黄の透ける
鶴亀のあとはおしゃべり謡い初め
北風の連れきし小雪闇に舞う
街灯の明かりの中を小雪舞う
蜜柑おく夜のテーブルの真ん中に
久に会う友どち寒の駅頭に
麦の田を分け列車南進す
鴨川に沿い南座へ冬柳
鳶一羽舞う空の下蕪を引く
鳶よりも烏すばやく冬空へ
冬草の青き野川や蕪洗う

●小口泰與
山風にガス灯ゆれし達磨市
次々に出そろう星や北颪
まむかえる赤城颪や冬菫
一条の夕日に浮ぶ大白鳥
古沼や鴨にまじえる大白鳥
寒釣や波の上なる榛名富士

●小川和子
紅色の濃く差す椿まだ固き
陽のさんさん降り水仙の二輪咲く
光射す水仙の香を知らんとす
鉱泉の湯気ほのぼのと石蕗の花
初稽古まず聴音に始まれり
去年に見し冬木並木のいよよ伸ぶ

●多田有花
山眠る下を流れし川もまた
遠き野に寒の光の差しており
春を待つ木々の枝先足の先
山路ゆく春遠からじと思いつつ
播磨灘包む真昼の寒霞
瑠璃色の蝶に出会いし寒真昼
地に伏してさらに水仙咲き続く
いっせいに小鳥飛び立つ枯葎
両脇に枯田したがえ高速路
寒中の沖はまぶしく晴れており
寒暁や列車の音に明けてくる
しんしんと午後より冷えて寒波くる
寒風に日ごと日差しの明るくて
裸木の枝を離れし雲一辺
待春の木々青空に枝広げ

●川名ますみ
乗初に馴染みとなりし運転手
賀状に触れ絵の具の厚み確かむる
椀物の具をすみに書き初日記
松明の洋蘭つぎつぎほどけゆく
飯桐の実を突き出して森静か
枯木山いいぎりの実のいろ激し

●桑本栄太郎
ちりぢりと赤き葎の枯野かな
蒼天の後光の射しぬ冬の雲
信貴生駒嶺の遥けき寒の晴

●佃 康水
蝋梅や空の青さに香の零る
黒々と小枝尖らせ寒満月
音違え海辺に爆す大とんど

●祝恵子
まず一本清楚に傾ぎ咲く水仙
七草の一草の根っこつまみあげ
缶の温み手に転がして冬の駅

●河野啓一
冬の瀬戸並びて白き大吊橋
小寒の吉野川越え阿波に入る
冬満月たゆたいつつも山の端に

●藤田裕子
冬満月木々を鎮めていよよ満つ
一月の万年青の生花線の美を
杵つきの黍餅ふくらみ至福の時

●安藤智久
富士見える町の明るさ凧揚がる
ピザ窯の炎が揺れる寒の夜
初競りへ山葵きりりと箱詰めす

●小西 宏
梅が枝に連なる小さき春隣
枯枝に鴉うごかず怒り肩
丘まるく夕日孕みし冬木立

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