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青樹句会

主宰:高橋信之(花冠名誉主宰)

第5回句会入賞発表

2012-02-09 02:06:29 | 日記
◆入賞発表/2012年2月12日(日)◆
(2月4日~11日/19名)

【最優秀/2句】
★福の豆受けて明るき音鳴らす/佃 康水
福の豆をいただくことは、福をいただいたようでうれしい。「明るき音」は、作者の明るく気持ちが出て、句がかろやかなのがいい。(高橋正子)

★雪晴れの空へ明るき鳥の声/井上治代
学生俳句のよさが出た句で、率直でこだわりのない明るさがよい。(高橋正子)

【高橋正子特選/5句】
★節分の星へ開けたる窓一つ/藤田洋子
節分と星の取り合わせにいい抒情がある。窓一つも小さな星空を見せて「節分の夜」の雰囲気をよく出している。(高橋正子)

★寒明けのひかり随所に水の音/小西 宏
寒が明けると、気持ちが春へと向かう。ひかりが随所に、水の音が聞こえて、寒から解放された喜びがある。(高橋正子)

★窓際の梅が開くよちらほらと/迫田和代
窓際に見えるものがきれいなもの、たのしいものであれば、日々の生活が楽しい。梅の花がちらほら開き、日ごと暖かくなっていく。(高橋正子)

★雪嶺へ飛行機雲の一直線/川名ますみ
晴れ渡った大空に一直線に伸びる飛行機雲が雪嶺に向かってゆく。飛行機雲が気持ちのよい景色を引き立ててくれています。(高橋秀之)

★対岸にクレーンが一基冴え返る/高橋秀之
向う岸で荷の積み下ろしで有ろうか工事中で有ろうか大きなクレーンが一基見えて居る。海や湾の広さ、水の冷たさ、クレーンの高さなど全てがこの寒さを倍増し、将に冴え返るが納得いきます。(佃 康水)

【多田有花特選/5句】
★立春の光どこへも満ちわたり/津本けい
春が来た、それは光から、その情景と気持ちの明るさをすらっと詠まれています。気持ちのよい御句です。(多田有花)

★梅東風や海見る丘に牛の鳴く/佃 康水
★春浅し小枝の先はみな光る/古田敬二
★薄氷や風の形のそのままに/桑本栄太郎
★岬より春風の吹く港町/迫田和代

【高橋秀之特選/5句】
★雪嶺へ飛行機雲の一直線/川名ますみ
晴れ渡った大空に一直線に伸びる飛行機雲が雪嶺に向かってゆく。飛行機雲が気持ちのよい景色を引き立ててくれています。(高橋秀之)

★春浅し小枝の先はみな光る/古田敬二
冬から春に向かう季節。冬木も春に向けて勢いをつけてきます。小枝の先が光るところに春の息吹を感じます。(高橋秀之)

★星煌めく空よりふわり雪が降る/津本けい
春を迎えて夜空の星も煌いて見えますが、まだ雪が降ってくるこの季節です。微妙な季節感と自然の気候が感じられました。(高橋秀之)

★春雪の竹撓らせて弾ませて/黒谷光子
竹に積もった春の雪が突然重さで落ち、撓んでいた竹が弾んで、立ち戻ったのを偶然見られかのでしょうか。竹と雪の弾み舞う景を想像しています。(祝恵子)

★雪晴れの空へ明るき鳥の声/井上治代
学生俳句のよさが出た句で、率直でこだわりのない明るさがよい。(高橋正子)

【小西 宏特選/5句】
★節分の豆を炒る手も弾みくる/藤田洋子
節分の豆まきは、子どもたちにとってはとても楽しい行事の一つです。そして豆を炒る大人にとっても、転がり弾む豆の動きや翻る手に、春の訪れを目前に控えた喜びが感じられるのでしょう。立春を待つ思いを「豆を炒る手」に込めて捉えた季感が嬉しく伝わってきます。(小西宏)

★門前を誰ぞ過ぎ行く春の夜/黒谷光子
春の夜はなんとなく心が広がり、人の気配に敏感になるのも不思議な喜びの一つです。門前を通り過ぎるのは誰でしょうか? ひょっとして人知れぬ春の足音?(小西宏)

★湖西晴れ湖南も晴れて春立ちぬ/今村征一
「湖西晴れ湖南も晴れて」に湖の広さが感じられ、春到来の伸びやかさが伝わってきます。作者の、湖畔に立って胸を広げておられる姿もよく見えています。(小西宏)

★春星の榛名の空のかぎりなし/小口泰與
星空の芒洋とした広がりの中に榛名山の影が大きく映ります。春のゆったりとした天と地が活写されていて、読者の心も大らかになります。(小西宏)

★鍋囲みおれば遠くに「鬼は外」/小川和子
豆まきを遠くに聞くのもいいですね。このご家族はもう豆まきを済ませたのでしょうか。あるいは、よその豆まきを聞いて楽しむだけなのでしょうか。いずれにせよ、ご近所と一体になっているところが心休まります。「鍋囲みおれば」と作者のわざと距離を置いている姿が少し可笑しく、共感がもてます。(小西宏)

【黒谷光子特選/5句】
★湖西晴れ湖南も晴れて春立ちぬ/今村征一
湖のある所は何処も湖西湖南と言うのでしょうが、やはり琵琶湖を想像しました。立春の近江の情景を大きく美しく詠まれていると思います。(黒谷光子)

★梅東風や海見る丘に牛の鳴く/佃康水
梅が咲く海の見える丘に佇めば牛の鳴く声が聞こえてきます。まだ寒さの残る風の中にも長閑な春を感じます。(黒谷光子)

★春浅し小枝の先はみな光る/古田敬二
春とは言えまだ寒さの残る頃、それでも小枝の先は光をため芽吹くのも間近です。(黒谷光子)

★下萌に我が影乗りて柔らかし/津本けい
土から出たばかりのさ緑の草に立てば、そこに映る影も自ずから柔かく、穏やかな早春のひと時を感じます。(黒谷光子)

★薄氷や風の形のそのままに/桑野栄太郎
蹲踞に張った薄氷にある波模様、夕べの風の形をそのまま残しているのでしょう。朝の陽に美しく煌めきます。

【祝 恵子特選/5句】
★春雪の竹撓らせて弾ませて/黒谷光子
竹に積もった春の雪が突然重さで落ち、撓んでいた竹が弾んで、立ち戻ったのを偶然見られかのでしょうか。竹と雪の弾み舞う景を想像しています。(祝恵子)

★枝はみな陽につやつやと桜芽木/小川和子
日に当たる桜芽木のつややかな枝、花を待つ楽しみがあります。 (祝恵子)

★膝折りて瀬戸海眺む春の鹿/佃 康水
鹿の一、二というような座わる行程を思い出しています。海を眺めて何を思っているのでしょう。宮島の鹿を思いました。 (祝恵子)

★寒戻る梅の蕾はためらわず/多田有花
寒さが戻ってきていますが、自然の強さは巡ってくる梅の咲く時期を忘れません。嬉しい春です。 (祝恵子)

★洗われし色となる森春きざす/古田敬二
雨風にうたれた森の清々しさが、新芽を出し、蕾を持ち、春が来ていることを思います。 (祝恵子)

【迫田和代特選/5句】
★立春や陽を抱くようにシャツ干され/古田敬二
さぞお干しになったシャツはよく乾いたことでしょう。暖かい春の陽にあたったのですもの。陽を抱くように とお詠みになられた作者の感性がいいですね。(迫田和代)

★踏みしめて二月の畦の湿りくる/藤田洋子
丹精なさっていらっしゃるらしいから屹度黒い土でしょう。二月の土だから春の土らしく湿っているのでしょう。何をお植えになるのでしょう。楽しみです。 (迫田和代)

★春立つというハミングのような日に/今村征一
雪の深いところでは立春が待ち遠いでしょう。三寒四温といいまして確実に美しい春の花の咲き乱れる日になります。ハミングしたい日にです。 (迫田和代)

★軒下の雪は背丈をとうに越え/黒谷光子
湖北は大雪ですのね。背丈を越すという雪にはこの広島ではありません。お気をつけてくださいませ。自然でいい句ですね。 (迫田和代)

★春淡き濡れし落葉を踏みてゆく/多田有花
山歩きでしようか。淡い春ですね。濡れた落葉を踏みてゆくなんて素晴らしいではないですか。もうすぐ貴女しか見れない春が来ますよ。いいですね。 (迫田和代)

【藤田洋子特選/5句】
★春雨にそれぞれ畝の水溜まり/祝恵子
幾筋もの畝に柔らかに降り注ぐ春雨、その潤いのある畝土にこれからの作物の生長を思い、明るい春の訪れを感じます。(藤田洋子)

★紅梅の幹も花芽もほのと紅/黒谷光子
幹も花芽もほのかに色付く紅梅に春の息吹を感じます。心あたたかく満たしてくれるほのかな明るさです。(藤田洋子)

★青空に梅の蕾の紅をさす/足立弘
二月の澄んだ青空に、梅の蕾の紅が明るく美しく映えます。その色彩の明るさに、おのずと春を迎える喜びが伝わります。(藤田洋子)

★能勢の里メジロホオジロあまた来て/河野啓一
メジロホオジロ、春を喜ぶ鳥たちの美しい囀りが聞こえてくるようです。里の鳥たちに囲まれて、ひととき春の明るさに浸っていらっしゃるのでしょう。(藤田洋子)

★雪晴れの空へ明るき鳥の声/井上治代
学生俳句のよさが出た句で、率直でこだわりのない明るさがよい。(高橋正子)

【佃 康水特選/5句】
★梅林に蕾ほころぶ気に満ちて/多田有花
 震え上がるほどの寒い日が続いていますがその寒さに耐えながら蕾は何時でも花開く構えが満ち満ちています。見て居ると元気を貰い春が待ちどうしいです。(佃康水)

★地衣纏う桜木立や春初め/小西 宏
探梅に出かけると地衣を纏った桜木立に度々出会います。梅はふっくらと膨らみ開花寸前ですが、桜の花芽は紅の細い蕾を空に向けて居て、桜の時期には未だもう少し時間がかかりそうです。将に春初めですが桜木立の花の時期が待たれます。(佃 康水)

★対岸にクレーンが一基冴え返る/高橋秀之
向う岸で荷の積み下ろしで有ろうか工事中で有ろうか大きなクレーンが一基見えて居る。海や湾の広さ、水の冷たさ、クレーンの高さなど全てがこの寒さを倍増し、将に冴え返るが納得いきます。(佃 康水)

★春雪の竹撓らせて弾ませて/黒谷光子
先日、バスを待っていて御句のその情景に出会いました。竹笹に積もった雪で撓っていましたが突然雪が落ち、そのバンドで竹が弾んだ様に起き上がりました。一瞬の情景を活き活きと詠まれたと思います。(佃 康水)

★朝空へ花芽の紅き並木道/川名ますみ
外に出ると先ずは空や周りの木々を眺めます。美しい朝の空に紅の花芽の並木道がずっと続いている。朝空 花芽 紅 並木道 全てがひた向きに、前向きに春を待っていらっしゃる作者の優しさが見える様です。(佃 康水)

【入選/11句】
★朝の雨宿して梅の開き初む/多田有花
梅の花が開き始めました。その梅には明け方まで残っていたであろう雨の滴がまだ残っています。春の初めの一こまが感じられます。(高橋秀之)

★春耕や引き抜く草の根の強し/古田敬二
春になり新しく耕すために草の根を引こうとするが、その根もしっかりと張っている。春になり草も元気が強くなっていることを感じます。(高橋秀之)

★夕日差す春と思わば柔らかし/祝恵子
夕日は春夏秋冬いずれの季節でも差し込みますが、春の日はほかの季節と比べて柔らかく感じる作者の気持ちが、ストレートに嬉しさを感じさせてくれます。(高橋秀之)

★利根川の濁り初めるや蕗の薹/小口泰與
利根の濁りは春の色なのでしょう。そのかたわらで蕗の薹が出始めました。自然のすべてが春の中へと目覚めていくさま、その喜びを敏感に詠われています。(多田有花)

★秩父嶺をはるか連ねて木の芽風/小川和子
風に春の兆しを感じ取られたのでしょう。見上げれば秩父連峰にさす日差しも何か春めいて見えます。(多田有花)

★働く灯ビルに重ねて春立ちぬ/今村征一
都会の立春です。高層ビルが林立する大都会にも春はやってきてました。もっとも季節から遠く存在しているようなビルの中にあえて春立つ日の景色を詠まれたのがユニークです。(多田有花)

★大空に膨らみ確と桜の芽/津本けい
暦の上では春、とは言えまだまだ寒さがきびしい中、桜の木は確実に芽を膨らませていますね。「大空に」がいいです。(小川和子)

★雪溶けるリズムよき音耳安し/黒谷光子
★枯芝にはや草しかと芽を出せり/足立弘
★春禽の声空に満ち鄙の宿/河野啓一
★一木を雨滴きらめかせ山椿/藤田裕子


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第5回句会全作品

2012-02-09 02:05:02 | 日記

◆第5回句会全作品/19名(2月4日~11日)◆

No.1 小口泰與
犬ふぐり利根の川瀬のきらきらと
届きたる加賀の和菓子や春兆す
草むらを塒とせしか春の雪
山風の尖りしなかや水草(ミグサ)生う
百千の鵙の鳴き声冴え返る
利根川の濁り初めるや蕗の薹
我が影のひと田越えけり蕗の薹
あかあかと日の登りたる余寒かな
出目金の目玉で廻り春兆す
紅梅に雨の切先定かなり
警察犬避けあい駆ける春野かな
榛名湖の波の薄刃や春浅し
外(ト)に出づや春の香りのそこかしこ
山川も祝福せりや雪解を
春光や牧草のゆれ大揺れに
田一枚越えし我が影春兆す
春星の榛名の空のかぎりなし
指栞して初虹を見に出づよ
尻焼きの川湯に入るや春兆す
梢鳴る風音かたし新社員
恋猫や星を小出しに榛名富士
ゆらゆらと日差し揺らぐや磯遊
子が駆けて孫が追い抜く春の山
産土の三山見るや山笑う

No.2 小川和子
薄氷張る池の面に一枝載せ
観梅に来て居し人と会釈する
鍋囲みおれば遠くに「鬼は外」
一枚を羽織り朝東風吹く中へ
確かなる地の胎動よ浅き春
ものの芽に雨の等しく降り注ぐ
枝はみな陽につやつやと桜芽木
桜花芽樹下に仰げば空近き
秩父嶺をはるか連ねて木の芽風

No.3 佃 康水
狛犬の睨みを被し雪積もる 
立春の陽を入れ歳時記入れ替える
福の豆受けて明るき音鳴らす
梅東風や海見る丘に牛の鳴く
春満月窓を額とし灯を落とす
膝折りて瀬戸海眺む春の鹿

No.4 藤田洋子
五色幕堂に巡らし節分会
節分の豆を炒る手も弾みくる
節分の星へ開けたる窓一つ
雨上がる土の匂いの二月来る
踏みしめて二月の畦の湿りくる
黒々と二月の畝も雨のあと

No.5 今村征一
湖西晴れ湖南も晴れて春立ちぬ
春立つといふハミングのやうな日に
紅梅の瑞枝に光る雪しづく
寒明けと云ふ節目にも似たるもの
会釈して僧衣去り行く余寒かな
雪催鏡花ゐさうな主計町
透明にして神水の薄ごほり
迷はずに選びたる道冬芽立つ
悴むや小さな嘘が尾を曳いて
一生を記しある墓標雪間草
働く灯ビルに重ねて春立ちぬ
逃げやすき日を奪ひ合ふ猫やなぎ
止まれば車体が雪に埋もれさう
実朝の海凪ぎ霞む富士遥か
雪捨ての場となる川の散歩道
病む母に十歩は遠し下萌ゆる
手ぐすねを引いて糶待つ頬被
天狼の鋭き瞬きにある余寒

No.6 多田有花
寒明けのビルを受け止め空真青
春立つ日日当たりのよき坂下る
立春のビルに触れにし雲一片
朝の雨宿して梅の開き初む
春淡き濡れし落葉を踏みてゆく
呼ばれては鳴き交わしやがて引鳥に
冴返る中に紅梅開きゆく
天を指す梅の小枝に冴返る
寒戻る梅の蕾はためらわず
紅梅のうつむき加減二三輪
梅林に蕾ほころぶ気の満ちて
寒戻る風に竹林ざわめける
立ち寄りて書店を出れば春夕焼け
神域の竹に囲われ余寒かな
稜線の木々のはっきり春早し
暁の後の春眠心地よし
春浅き窓開けるて見る山の木々
竹林に陽は隠れたり春の夕

No.7 古田敬二
観世音紅梅つぼみの裂け初め
くぐりけり山門古びて雪しずく
玄関の生け花にある蕗の董
近寄れば紅梅確かに咲く構え
立春や陽を抱くようにシャツ干され
春の雪載せて刈り込み真四角に
観世音紅梅つぼみの裂け初め
玄関の生け花にある蕗の董
参詣の境内に舞う春の雪
冴え返る伊吹の風を受ける耳
春浅し小枝の先はみな光る
彷徨うがよく見えており春の雪
枝先に眩しき光りの芽
五六寸街を転がる春の雪
切り株の年輪数え二月来る
春の潮引きし運河の壁光る
春耕や引き抜く草の根の強し
洗われし色となる森春きざす

No.8 小西 宏
節分や蕾いっぱい白椿
語らいつつ日脚伸びたる土手のジョギング
節分の夕日にビルの頬赤々
会う度に今日立春と枝仰ぐ
立春の風なき海の月に膨らむ
富士の影ぼんやりとあり春立つ日
寒明けのひかり随所に水の音
なまめかし春の風吹く森の香り
森の影浮かべて紅き夕霞
地衣纏う桜木立や春初め
岩海苔の褐(かち)や越後の酒を酌む
新調のジョギングシューズ草萌える

No.9 津本けい
八つ手の実鉄砲玉に詰めし日も
立春の光どこへも満ちわたり
寒明けや高き梢のうす青く
大空に膨らみ確と桜の芽
葉をこぼる雫豊かに浅き春
梅ひらく薄曇る日に柔らかく
風花や山青く晴れ川も晴れ
連山をはぐれ雪雲覆いけり
淡雪の舞っては止みて満の月
下萌に我が影乗りて柔らかし
星煌めく空よりふわり雪が降る
あの家もこの公園も梅ふふむ

No.10 桑本栄太郎
草萌や背丈伸び居り豆の蔓
サックスの春の聞く珈琲館
蘆の芽や池の陽射しの石の島
薄氷や風の形のそのままに
春雪の峠越えれば在所かな
つまみ見るつぼみ未だし丘の梅

No.11 黒谷光子
隣村へ踏みつけられし雪の橋
軒下の雪は背丈をとうに越え
雪溶けるリズムよき音耳安し
紅梅の幹も花芽もほのと紅
早春の空晴る一曲謡う間に
春雪の伊吹ここより真正面
春雪の竹撓らせて弾ませて
春雪の窓辺明るく陽を反らす
外出を止め句誌を読む春の雪
門前を誰ぞ過ぎ行く春の夜
人声の過ぎて水音春の夜
残雪に届くかそけき夜の灯り

No.12 迫田和代
山間の野にやんわりと春陽さし
岬より春風の吹く港町
窓際の梅が開くよちらほらと
香に溢れ明るく咲いた梅の花
行き帰り佇んで見る紅梅よ
街中に春が顔出す軽やかに

No.13 足立弘
青空に梅の蕾の紅をさす
早朝の土手の散歩や猫柳
枯芝にはや草しかと芽を出せり

No.14 河野啓一
大通り行けばそぼ降る春の雨
春禽の声にようやく目覚めたる
町中のビルも霞みて雨上がり
透き通る朝の冷気や春浅し
春禽の声空に満ち鄙の宿
能勢の里メジロホオジロあまた来て
雪のなか春待つ北の人つよし
水仙花束ねられたる白い香よ
雪雲の遠くへ去りて紅椿
この山河健やかにあれ明日は建国日
紅梅の膨らみ遅き庭であり
花馬酔木少し茜に佇みて
八咫鴉神話のありて建国日
三山に囲まれ古都の春浅し
温かきデイのあいさつ春の朝

No.15 川名ますみ
雪嶺へ飛行機雲の一直線
かがやかに陽のさす山に雪少し
雪少し朝日のそそぐ山襞に
青空と残雪ひかる道を往く
雪晴の道の四方にひかりあり
甲斐よりは残雪の富士銀色に
雪晴に明か棚田の弓形を
桃苑や木の根もとより雪解くる
朝空へ花芽の紅き並木道

No.16 祝恵子
鐘楼の横に並びし梅開く
夕日差す春と思わば柔らかし
春雨にそれぞれ畝の水溜まり

No.17 藤田裕子
一木を雨滴きらめかせ山椿
遠山に春雪新し旧道ゆく
低木を夏柑の黄の撓むほど

No.18 井上治代
数本の切り株白し風冴ゆる
雪晴れの空へ明るき鳥の声
雲間より青空のぞき春立ちぬ

No.19 高橋秀之
冴え返る朝の太陽眩しけり
煌々と橋の明かりや冴え返る
対岸にクレーンが一基冴え返る


※選者の選は、下記の要領でお願いします。
①上記全作品からお選びください。
②特選5句をお選びください。その中の1句にコメントを付けてください。
③選句期間は、2月12日(日)午前0時~正午です。
④選句は、下の<コメント欄>にお書き込みください。選者名もお忘れなきよう、お願いします。

※選句は、多少の遅れがあっても、許されますが、その場合は、ご一報ください。

◆投句箱◆

2012-02-07 06:38:45 | 日記
■ご案内■
●参加者:花冠会員・同人。会員・同人以外の一般参加も許されますが、参加申込によって、花冠IDを取得してください。
●投句:一日一回、当季雑詠3句以内。ツィッターやフェイスブックに投句した句も許されます。
●投句場所:下の投句箱<コメント欄>にお書きください。投句箱<コメント欄>には、句評など投句以外のことを書き込まないでください。
●選者・選句:選者は高橋正子(花冠主宰)です。特別選者が招待されることがあります。選句・入賞発表は、随時行われます。
※ご投句は、ご本名でお願いします。ご本名以外の場合は、削除されます。

●伝言版
伝言、お問い合せなどがありましたら、下記アドレスの<伝言版>にお書き込みください。
http://blog.goo.ne.jp/kakan100



■投句箱■
第5回句会のご投句の内(2月4日~2月11日/1日3句以内)は、下の<コメント欄>にお書き込みください。句評など投句以外のことを書き込まないでください。投句以外の伝言などは、上記の<伝言版>にお書きください。
※第5回句会の入賞発表は、2月12日(日)です。

◆今日の秀句◆

2012-02-01 07:11:28 | 日記
◆今日の秀句/高橋信之・高橋正子選◆

●2月4日(信之選)
★節分の豆を炒る手も弾みくる/藤田洋子
節分の豆を炒る。節分を分岐点に冬が終わり春がくる。豆をいる手も調子づき弾んで、気持ちもかろやかになる。(高橋正子)

●2月3日(信之選)
★芽木なれば影すっきりと芝に置く/小川和子
芽木のときは、枝に葉もなく、枝の影がそのまま、すっきりと芝生に落ちている。「影すっきりと」が芽木の姿を、降り注ぐ日をよくあらわしている。(高橋正子)

●2月2日(信之選)
★冬野菜白きものから鍋満たし/藤田裕子
寒い日の何よりのごちそうは温かいもの。鍋には、まず煮えにくい白菜などから入れる。新鮮で清冽な冬野菜の白が満たされて、家族団欒の幸せな風景が目に浮かぶ。(高橋正子)

●2月1日(正子選)
★探梅や今朝ほころびぬ梅の花/多田有花
探梅にでかけたら、今朝ほころびたばかりの梅の花に出会った。さっぱりとした句で、梅の花のよさは、そのかぐわしい匂いも含めての清潔感にある。(高橋正子)

●1月31日(信之選)
★朝日さし牡蠣小屋の音空高く/迫田和代
牡蠣小屋から聞こえてくる音は、牡蠣の殻を打って身を取り出す作業の音であろう。朝日が射し、寒くてもすがすがしい中での作業に活気がある。(高橋正子)

●1月30日(信之選)
★湖や橇引く馬の脚太し/小口泰與
橇を引く馬は農耕馬であろう。脚が太くたくましい。湖が背景となって、写真のようだ。(高橋正子)

●1月29日(信之選)
★蠟梅や曲がり角まで香を広げ/古田敬二
曲がり角まで蝋梅が匂う。曲がり角より先は香りもすっと消えてしまうのだろう。それまでが馥郁と香るのだ。(高橋正子)

※上記の<今日の秀句>は、<きがるに句会投句>の中から選びました。

◆投句箱◆

2012-01-29 13:51:30 | 日記
■ご案内■
●参加者:花冠会員・同人。会員・同人以外の一般参加も許されますが、参加申込によって、花冠IDを取得してください。
●投句:一日一回、当季雑詠3句以内。ツィッターやフェイスブックに投句した句も許されます。
●投句場所:下の投句箱<コメント欄>にお書きください。投句箱<コメント欄>には、句評など投句以外のことを書き込まないでください。
●選者・選句:選者は高橋正子(花冠主宰)です。特別選者が招待されることがあります。選句・入賞発表は、随時行われます。
※ご投句は、ご本名でお願いします。ご本名以外の場合は、削除されます。

●伝言版
伝言、お問い合せなどがありましたら、下記アドレスの<伝言版>にお書き込みください。
http://blog.goo.ne.jp/kakan100



■投句箱■
第5回句会のご投句(1月29日~2月11日/1日3句以内)は、下の<コメント欄>にお書き込みください。句評など投句以外のことを書き込まないでください。投句以外の伝言などは、上記の<伝言版>にお書きください。
※2月5日(日)には入賞発表はありませんが、2月4日(土)にフェイスブック立春句会を開催いたします。

ご挨拶

2012-01-29 13:50:24 | 日記

新年からはじめたきがるに句会も第4回の入賞発表となりました。大勢の皆さまにご参加いただいて驚いていますが、大変ありがたいことです。大寒もそろそろ終わり、日脚も伸びて寒いながらも明るい気分になります。冬の終わりから春へ微妙に変化する季節を詠んだ句がたくさんあって、楽しませていただきました。特別招待選者の皆さま選とコメントをありがとうございました。これで、第4回句会を終わります。次回第5回句会のご投句をお待ちしています。(主宰 高橋正子)

第4回句会入賞発表

2012-01-28 16:54:36 | 日記
◆入賞発表/2012年1月29日◆
(1月22日~28日投句)

【最優秀/2句】
★葦原の枯れ尽くしても水の上/藤田洋子
「枯れ尽くしても水の上」は、意表をついて、新しい発見。蓮や菖蒲などは、枯れると茎や葉が折れて水に浸かってしまう。葦原の葦は、枯れながらもまっすぐに立ち、水には影を落とすのみ。なるほど、枯れ尽くしても水の上ある。(高橋正子)

★野に覚めし淡きみどりや蕗の董/佃 康水
「野に覚めし」によって、淡い蕗の董のみどりが目に強く焼きつく。初めて見つけた蕗の董であろう。驚きと嬉しさを隠せない。(高橋正子)

【高橋正子特選/5句】
★足跡にリズムのありて雪の山/安藤智久
雪山にリズミカルな動物の足跡。栗鼠でしょうか兎でしょうか、あるいは鹿かも。行ってみたいですね。(河野啓一)

★雪明かり車窓に過ぐる蒼き川/小川和子
車窓から見た川は雪明かりのせいで蒼い川だったと言われる句と思いますが 誰だって見たくなるような句です。(迫田和代)

★思い切り鴨羽のばし水しぶき/祝恵子
「思い切り」と詠む作者は、生きものの自由を見たのであり、それを見た作者の生きいきとして自由な心が嬉しい。(高橋信之)

★凍星の降る野を抜ける列車の灯/津本けい
★寒禽の食いこぼす実の赤点々/古田敬二

【多田有花特選/5句】
★野に覚めし淡きみどりや蕗の董/佃 康水
早くも蕗の薹が姿を見せています。それを見つけられた喜び、春の喜びであり、生命の喜びでもあります。(多田有花)

★一切の音を閉ざして雪霏々と/今村征一
空は暗く雪がしきりに降っている。一切のもの音を包み込んで、水墨画のような静かな世界です。(河野啓一)

★うねりては鈍色深む冬の海/古賀一弘
冬の、それも北国、雪国の海の色ではないかと感じました。「鈍色」確かにあの色はそうです。お見事です。(多田有花)

★庭石に軽き音たて霰あそぶ/小西 宏
雪の降らない地方の明るい冬の景色です。霰の音を「あそぶ」と表現され、まるで霰が幼い子どものように生き生きと表現されています。(多田有花)

★新雪に轍くっきり天晴るる/小川和子
珍しく雪の降った朝、すでに雪は上がり真っ青な空が戻っています。新雪にはやくもタイヤの跡があります。新鮮な光に満ちた光景です。(多田有花)

【高橋秀之特選/5句】
★寒林の枝の先までみな空へ/桑本栄太郎
寒林の木々は冬木で葉も少なく遠くが見通せるのでしょう。そんな木々の枝先も春が近づき、天を指し、空に向かっているように感じられるようになってきました。(高橋秀之)

★それぞれの影を大地に冬木立/多田有花
葉を落とした冬木立の影がしっかり大地にあるという冬らしいいい句と思います。(迫田和代)

★野に覚めし淡きみどりや蕗の董/佃 康水
今まで行ったことのない野原で淡いみどりの蕗の薹を春にさきがけ見つけられた喜び 夢中であたり一面お捜しになったなられたお姿が目に浮かびます。野に覚めし がいいですね。みどりのひらがなも素敵と思います。(迫田和代)

★葦原の枯れ尽くしても水の上/藤田洋子
正直に申しますとまだ葦原は見てないのですが枯れ尽くしたとおっしゃってるわりには 侘びしさを感じられないのです。真っ直ぐ枯れていくのでしょうのでしょうね。風情がありますね。(迫田和代)

★空晴れてミモザうす黄に蕾みけり/津本けい
ミモザがうす黄色の蕾を付けて開花の時を待っている。ミモザの黄と晴れ渡った青い空、春が待ちどうしく美しいミモザが見られるのももう直ぐですね。(佃 康水)

【小西 宏特選/5句】
★それぞれの影を大地に冬木立/多田有花
冬の日の大地に裸木が影を落す。冬木立の影はひとつひとつを見ても、またその連なりを見ても飽きることがありません。力があり、優しさがあり、柔らかさがある。影を受ける土からも温かみが伝わってきます。冬の景を詠って広がりを感じさせる、心休まる句です。(小西 宏)

★寒林の枝の先までみな空へ/桑本栄太郎
寂しげな寒林の枝の先が空に向いているといういい句です。冬も楽しいです。(迫田和代)

★凍星の降る野を抜ける列車の灯/津本けい
冬の星は鋭く明るい。その下に、冷たく暗い冬の野を貫いてゆく列車の窓の灯が共にあって、夜の広がりを躍動させている。夜の冷たさが明るい。(小西 宏)

★雪明かり車窓に過ぐる蒼き川/小川和子
一面の雪野をゆくと車窓に一筋の川が見える。川は雪明りに照らされ、静かに蒼く輝いて見える。夜汽車の薄明かり、明の中の暗、暗の中の輝きが捉えられていて、しんみりと惹かれます。(小西 宏)

★陽を浴びて冬芽冬芽の大きな木/迫田和代
見上げれば冬日が満ちており、枝枝にしっかりと冬芽が育っている。「冬芽冬芽」と繰り返されたところに空いっぱいの待春が感じられ、心が膨らむ。(小西 宏)

【黒谷光子特選/5句】
★野に覚めし淡きみどりや蕗の薹/佃 康水
今年はじめての蕗の薹を見つけたうれしさ、春を待つこころの弾みを感じます。 (黒谷光子)

★それぞれの影を大地に枯木立/多田有花
冬の日の大地に裸木が影を落す。冬木立の影はひとつひとつを見ても、またその連なりを見ても飽きることがありません。力があり、優しさがあり、柔らかさがある。影を受ける土からも温かみが伝わってきます。冬の景を詠って広がりを感じさせる、心休まる句です。(小西 宏)

★ほんのりと雪おく屋根に朝日さす/小西 宏
うれしい雪である。うれしい朝日である。読み手にもうれしい風景である。(高橋信之)

★新雪に轍くっきり天晴るる/小川和子
「新雪」に「天晴るる」と詠み、そのひろびろとした世界の焦点に「轍くっきり」と置く。焦点を絞って、限りのない天地を詠んだ。(高橋信之)

★凍星の降る野を抜ける列車の灯/津本けい

【祝 恵子特選/5句】
★野に覚めし淡きみどりや蕗の董/佃 康水
蕗のとうを見つけた喜びが感じられます。「野に覚めし」素敵な表現ですね。 (祝恵子)

★庭石に軽き音たて霰あそぶ/小西 宏
雪の降らない地方の明るい冬の景色です。霰の音を「あそぶ」と表現され、まるで霰が幼い子どものように生き生きと表現されています。(多田有花)

★山々も湖も冬晴れ展望台/黒谷光子
展望台からの冬の晴天に、見渡す山々も湖も鮮やかに美しいかぎりです。眩いばかりの遠望に心も明るく広がります。(藤田洋子)

★日を乗せて白鳥湖へ急ぎけり/小口泰與
冬の日差しを受けて湖に急ぐように飛んでいく白鳥は、自然の美しさを物語りってくれる景色です。(高橋秀之)

★花苗に音なき小雪被る朝/小川和子
まだまだ小さな花の苗は、わずかの小雪でも被ると雪の白さが目に付きます。小さな自然をうまく 見つめられました。(高橋秀之)

【藤田洋子特選/5句】
★一切の音を閉ざして雪霏々と/今村征一
絶え間なく降りしきる雪の様子がありありと目に浮かびます。全ての音を断ち、いっせいに降る雪の迫力に、ひときわ厳しい冬の寒気を感じます。(藤田洋子)

★山々も湖も冬晴れ展望台/黒谷光子
展望台からの冬の晴天に、見渡す山々も湖も鮮やかに美しいかぎりです。眩いばかりの遠望に心も明るく広がります。(藤田洋子)

★それぞれの影を大地に冬木立/多田有花
冬の日の大地に裸木が影を落す。冬木立の影はひとつひとつを見ても、またその連なりを見ても飽きることがありません。力があり、優しさがあり、柔らかさがある。影を受ける土からも温かみが伝わってきます。冬の景を詠って広がりを感じさせる、心休まる句です。(小西 宏)

★新雪に轍くっきり天晴るる/小川和子
「新雪」に「天晴るる」と詠み、そのひろびろとした世界の焦点に「轍くっきり」と置く。焦点を絞って、限りのない天地を詠んだ。(高橋信之)

★野に覚めし淡きみどりや蕗の菫/佃 康水

【迫田和代特選/5句】
★雪明かり車窓に過ぐる蒼き川/小川和子
雪明かりに見える蒼い川って是非見たいと思わせる素敵な句ですね。(迫田和代)

★それぞれの影を大地に冬木立/多田有花
葉を落とした冬木立の影がしっかり大地にあるという冬らしいいい句と思います。(迫田和代)

★寒林の枝の先までみな空へ/桑本栄太郎
枯れ枝が細かく分かれ空に向かって立っています。良く見る風景ですが、軽く素直な詠みに惹かれます。(河野啓一)

★野に覚めし淡きみどりや蕗の薹/佃康水
★葦原の枯れ尽くしても水の上/藤田洋子

【入選/7句】
★冬桜咲きいて空の美しき/高橋信之
厳しい寒気の中にあって、可憐な冬桜と空の美しい出会いに、格別の感動を覚えます。冬桜の咲く、澄んだ大気と空の広がりに心洗われます。(藤田洋子)

★枝先の力強さや冬木立/高橋秀之
冬木立の枝はその自身の力で空に突き出ている。まさに「枝先の力強さ」。春へ向けて、命が張り詰めている。(高橋正子)
厳しい寒さの中に立ち尽くす冬木立。しかし御句からは差し交す小枝や梢にはこれから芽吹く前の力強い勢いと春の兆しが感じ取れます。(佃 康水)

★初詣太鼓の音に襟正す/足立 弘
初詣。神社の太鼓があたりを鎮めるように響き鳴る。思わず襟を正す。正直さが好ましい。(高橋正子)

★土交じり少し汚れた雪達磨/迫田和代
積雪が余り多く無い雪で作った雪達磨なので、少し土も交じってしまったのでしょう。でも雪を見ると雪達磨や雪合戦等の遠い昔を思い出しわくわくとした気持が湧いて参ります。少し汚れた雪達磨もその土地に相応しい冬の景色と侘しさと夢の有る御句と思います。(佃 康水)

★寒椿膨らみ嬉しわが門に/河野啓一
節分も近くなり、春が待たれる。わが門に寒椿の蕾が膨らむと嬉しさも増してくる。(高橋正子)

★鉢の梅莟めば独り座り込む/川名ますみ
鉢の梅が蕾をもった。独り座り込んでそれぞれに違う蕾を見て咲くときを楽しみにしている。待春の心持。(高橋正子)

★冬星座しばし降られる時楽し/藤田裕子
家事や仕事を終えたあと星空を仰ぐと、冬の星座が散らばり、小さな星々が降ってくる。星に降られているときの世事を忘れたひとときの楽しさがいい。(高橋正子)


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第4回句会全作品

2012-01-28 16:49:17 | 日記
◆第4回句会全作品/21名(1月22日~28日)◆

No.1 小口泰與
短日や飼葉に舌出す牛の群
鋤焼や大黒柱黒光り
塊りて反転せしや寒雀
満月の西に消えけり冬の朝
寒晴れや長き裾野の赤城山
山裾を風ごうごうと玉子酒
寄鍋や浅間に星の満々と
海鼠腸や今宵の客の長居なり
ごうごうと吹くや赤城は雪催
噴煙の流るる里や葱の里
おみくじの風になじみし懐手
日を乗せて白鳥湖へ急ぎけり
水仙花シャッター音の加わりぬ 
凍て空や大甕に来し尾長鳥
日脚伸ぶ鳶を襲いし鴉かな
水仙や赤城の襞のかくれなし
寒晴やピチピチと手に静電気
眼間の水を飲みけり寒鴉
寒暁のくれないに染む浅間かな 
上州の肌射す風や冬木の芽
白障子開けるや小犬跳びこみぬ

No.2 今村征一
雲居へと駆け上りゆく寒の滝
寒牡丹咲かせ浮世を離れ棲む
創業は文化味噌屋の鳥総松
雪原もまた碧落も極めたる
結露拭き大寒晴の空磨く
風花や灯ともし頃の茶屋の町
トンネルの間に間にスキー灯り飛ぶ
風花や懐紙で包む加賀銘菓
魑魅住む森とも飛雪また飛雪
待つてゐてくれしは風と雪をんな
煮凝の鮒に戦後を裏返す
着ぶくれて足湯し温泉たまご茹で
一切の音を閉ざして雪霏々と
老い耄れと言はれたくなし雪を掻く
なによりも暮雪に滲む島の灯に

No.3 黒谷光子
おみくじの白一月宮の松
列なして歩く湖岸や冬うらら
山々も湖も冬晴れ展望台
一本の畑の大根煮る下す
大根を飴色に煮て夕厨
寒の灯と机一つを分かち合う
薄雪の大地清めて宗祖の忌
湖も村も抱きて山眠る
投函を済ませ寒星仰ぎけり
雪の道誰かの靴の跡辿る
雪道を戻り一服茶の美味し
厨窓午後の日射して雪明り

No.4 多田有花
春隣る光の中を森歩く
春近き風と光が竹林に
それぞれの影を大地に冬木立
北風の今日は戻りし煙突に
竹林は静かに迎え旧正月
湯たんぽが先に入っている布団
遠山に降る雪を見て陽の中に
氷張るバケツの歪みそのままに
カーブ切る先の夕空日脚伸ぶ
法螺貝の音響きおり寒晴れに
よく晴れて風無き朝のよく冷えて
寒晴れや平野にぽつんと雲の影
針葉樹凍れる池に身を映す
暖かき色を持ちおり寒落暉
今日もまた一輪のみの冬の梅

No.5 小西 宏
どてら着て窓に初雪屈み見る
降る雨に一つ浮きゆく霙かな
庭石に軽き音たて霰あそぶ
雲晴れて親しき山に雪の筋
大寒に陽の差し帰り街賑わう
風邪癒えてまた人ごみを歩いてみる
町からも雪まとう山見え嬉し
灯を消して二人静かに雪を待つ
ほんのりと雪おく屋根に朝日さす
写生する鶴の噴水凍りいて
都会にも風花の舞い手を伸ばす
雪が降る小(ち)さき空より広き地に
低き陽に遠きとどろき冬の雷
土潤い朝日背伸びす霜柱
凪青し間近に雪の三原山
花アロエ黒船錨せし浜に

No.6 津本けい
水仙の暮れゆく影の香りけり
遠き木をより濃く染めて冬夕焼
凍星の降る野を抜ける列車の灯
寒風に押され鶺鴒畑走る
大寒の日に淡々と鳶舞えり
冬かもめ引き連れ帰る漁船団
ドアの風モビール揺らせて日脚伸ぶ
雲割れて零れ飛びくる寒雀
社の森冬鳥あまた鬩ぎ合い
冬燈ひとつの無人駅過ぎる
街灯に吹きあぐるごと雪が舞う
霰降る駅舎に薄き夕日影
バスの窓に冬野の空の広々と
空晴れてミモザうす黄に蕾みけり
空の色溶かして青き寒の川

No.7 古田敬二
黒々と木立ちの陰影冬落輝
掌に振れれば枯れ芝あたたかし
寒禽の食いこぼす実の赤点々
走り根を踏んで寒風の中をゆく
交差して走り根冬の土つかむ
寒禽の陽あたりながら枝を飛ぶ
朝の冷えまだ蓄えて竹林
暗き薮抜け出て句帳に冬陽射す
冬の陽のほのかに温し楢大樹
水平に突っ込む翡翠枯れ芦へ
寒林のコゲラのドラムの律動感
冬の森入れば真昼の日は温し
枯れ芦のまっすぐという美しさ
春隣キッチンへ射す陽の角度
水仙の言問いたげに揺れており
老夫婦蠟梅咲かせ恙無し
冬空に大鷹描く大円周
引き寄せて離れ難しや枇杷の花

No.8 小川和子
花苗に音なき小雪被る朝
霙るれば畑地のすべて潤えり
寒の水注して白菊瓶に栄ゆ
新雪に轍くっきり天晴るる
雪晴れの凍て道をシャリシャリと踏む
雪明かり車窓に過ぐる蒼き川

No.9 桑本栄太郎
露凝るや玻璃のしたたる厨窓
街の灯の早やも点りし寒雨かな
寒燈の橋を来る人帰るひと
人影のなき門扉かな八手の実
風花や遠き嶺より雲降りぬ
寒風を髪に掻き分け帰りけり
蝋梅の明かり取込む垣根かな
寒禽の驚き翔てる三羽かな
松籟となりし赤松寒の風
赤松の赤き地膚や寒きびし
寒林の枝の先までみな空へ
あかみどり尾灯の空の寒の夜
寒暁の明かり茜や寒鴉
戸惑いを見せて構えリ寒鴉
寒月の嶺の高みや鎌の月

No.10 古賀一弘
うねりては鈍色深む冬の海
交替で肩ほぐし合ふ炬燵かな
愛猫が顔すり寄せる寒さかな

No.11 河野啓一
温めて牛乳ぐっと冬の朝
全山に雪を被りて横たわる
箕面山白く霞みて眠る朝
寒椿膨らみ嬉しわが門に
山茶花の散り初め次は寒椿
初雪の消えたる朝の箕面山
寒晴れや朝日を含む雲も見え
海晴れて六甲颪肌寒く
氷点下凍結したる給湯器
さざ波に鴨を浮かべて園の池
青空に雲淡くして春近し
薄日差し妻と出かけるランチかな

No.12 川名ますみ
鉢の梅莟めば独り座り込む
凧揚ぐる男のひとり隅田川
番頭の毛先弾ませ初芝居
初芝居二列前にも見知る人
手を引かれ梅に花芽がついたよと
小正月フェイスブックに載る小豆

No.13 迫田和代
島影が明るくなって寒夜明け
仏壇の花も明るく春を待つ
陽の入りに真っ赤な空と雪山と
土交じり少し汚れた雪達磨
荒れ狂う海風に乗り風花よ
陽を浴びて冬芽冬芽の大きな木

No.14 祝恵子
吾が影を水輪に揺らし冬の鷺
思い切り鴨羽のばし水しぶき
祈る像平和の塔へ寒の晴れ
毛糸帽我が身映してショーウインドウー
草の群れ水にも群れて鴨動く
冬芽吹きあちこちありて空仰ぐ

No.15 高橋信之
冬芽しかとあり空青きところにあり
大寒の空仰ぐこといく度も
雪解けぬところあり思いだすことあり
冬桜咲きいて空の美しき
冬日さんさん里山の木が音を立てる
旅人が枯芝のやさしさを踏む
寒禽啼いて大空のますます青し
冬雲流れて白く見ゆ青く見ゆ
過ぎゆく時よ今日大寒の快晴に

No.16 佃 康水
野に覚めし淡きみどりや蕗の董
声援の波打つ安芸路初駅伝
弦締めて師のカウントに初稽古

No.17 安藤智久
足跡にリズムのありて雪の山
新雪の峰を朝日が露わにす
大根のシュッと削がれて煌めけり

No.18 藤田裕子
冬さくら思い出の中ほっと白
冬星座しばし降られる時楽し
この上なき紅色込めし寒椿
寒雀飛び立つ後に声弾む
遠山は雪にけぶりつ澄みし朝
着ぶくれし人みな足早裏通り

No.19 足立 弘
山寺の蕾膨らむ梅古木
初詣太鼓の音に襟正す
木の枝の鳥の囀り日向ぼこ

No.20 藤田洋子
川は音深く沈めて葦枯るる
葦原の枯れ尽くしても水の上
枯葦の水広々と濁りなき
寒椿目覚めの息の清々し
実千両ほろりと床に尚赤し
一月の朝日差しくる畳の目

No.21 高橋秀之
風吹けば右も左も雪の舞
寒き風遠くがくっきり生駒山
バスを待つ間の寒風首隠す
冬すみれ寄り添い競う花の色
冬月を背中に実家へ道急ぐ
枝先の力強さや冬木立

※選者の選は、下記の要領でお願いします。
①上記全作品からお選びください。
②特選5句をお選びください。その中の1句にコメントを付けてください。
③選句期間は、29日午前0時~午後6時ですが、出来れば、29日正午までに済ませていただければ、幸いです。
④選句は、下の<コメント欄>にお書き込みください。選者名もお忘れなきよう、お願いします。

◆投句箱◆

2012-01-23 08:50:37 | 日記
■ご案内■
●参加者:花冠会員・同人。会員・同人以外の一般参加も許されますが、参加申込によって、花冠IDを取得してください。
●投句:一日一回、当季雑詠3句以内。ツィッターやフェイスブックに投句した句も許されます。
●投句場所:下の投句箱<コメント欄>にお書きください。投句箱<コメント欄>には、句評など投句以外のことを書き込まないでください。
●選者・選句:選者は高橋正子(花冠主宰)です。特別選者が招待されることがあります。選句・入賞発表は、随時行われます。
※ご投句は、ご本名でお願いします。ご本名以外の場合は、削除されます。

●次回(第4回)句会選者(8名)
○主宰選者:高橋正子
○招待選者:多田有花・高橋秀之・藤田洋子・小西宏・黒谷光子・祝恵子・迫田和代

●伝言版
伝言、お問い合せなどがありましたら、下記アドレスの<伝言版>にお書き込みください。
http://blog.goo.ne.jp/kakan100



■投句箱■
第4回句会投句箱(1月22日~28日)は変更されました。
ご投句(1日3句以内)は、下の<コメント欄>にお書き込みください。句評など投句以外のことを書き込まないでください。投句以外の伝言などは、上記の<伝言版>にお書きください。

ご挨拶

2012-01-22 14:56:12 | 日記
昨日は大寒の入りでした。風邪も流行っているようですが、皆さまは大丈夫でしょうか。
「きがるに句会」も今回が第3回の入賞発表となりました。今回は特別招待選者に同人会長の小西宏さんに加わっていただきましたので、さらに充実した句会になりました。次回第4回は、きがるに句会の過去に最優秀句をつくられた皆さんに特別選者に加わっていただきますので、よろしくお願いいたします。ご投句をお待ちしています。特別招待選者のみなさま、選とコメントをありがとうございました。これで第3回句会を終わります。(高橋正子)

●俳句日記/高橋正子:
http://blog.goo.ne.jp/kakan02