■第3回句会(1月15日~21日)
【最優秀/2句】
★銀杏みな冬芽整い街筋に/藤田洋子
「街筋に」がこの句のイメージを鮮明にしている。整然と並んだ街路樹のどの銀杏にも冬芽がしっかりとついて、つまり、冬芽が整い、きりっとした冬の景色となっている。(高橋正子)
★冬の虹土手道駈ける児の上に/迫田和代
冬枯れの土手を無邪気に走る児たちに、冬の虹が懸って、幸せな子どもの情景が目に浮かぶ。(高橋正子)
【高橋正子特選/5句】
★海苔洗う清冽な水に母の指/川名ますみ(正子添削)
海苔は、春に磯などで採取されて春の季語。寒中に採れたものも美味。磯で採れた海苔にはとくに砂が多く、水を幾度も変えて洗う。そういった水が清冽で、母の白い指が際立つ。(高橋正子)
★どんど焼き炎の中にまた炎/祝恵子
どんど焼きの炎があがる。誰かが、またあたらしく持ってきた締飾りなどをくべると、別の炎が立つ。炎だけを詠んでからっとしている。(高橋正子)
★春を待つ車窓の海の明るさに/津本けい
車窓から見える海は明るい。乗り物に揺られながら明るい海を見ると春はもうそこにやってきているように思える。春を待つ気持ちが優しい。(高橋正子)
★鈴の音や寒行僧の遠ざかる/藤田裕子
鈴を鳴らしながら寒行の僧が街をゆく。目の前から僧が遠ざかると、鈴の音が遠ざかる。鈴の音に重ねて、修行とはいえ、厳寒の中を行く僧を思いやる心がしのばれる。(高橋正子)
★ふるさとへの車窓に冬芽冬芽かな/安藤智久
ふるさとへ近づく山の木々の冬芽であろう。車窓に、冬芽の木々が次々過ぎる。「冬芽冬芽かな」に、詠み手の「明らかな目」を感じる。(高橋正子)
【藤田洋子特選/5句】
★朝夕にきりっとうまし寒の水/多田有花
冷気たっぷりの寒の水を飲み、清々しく身の引き締まる思いです。朝夕、体内を浄化してくれるような水のうまさに健康的な生活がうかがえます。(藤田洋子)
★かがやかに空晴れ渡り小白鳥/黒谷光子
かがやかに晴れ渡る空は、寒さの厳しい冬の晴れた空を印象付ける。かがやかに晴れた空に小白鳥の白さが鮮烈に目に映る。厳しさの中にある優美さがいい。(高橋正子)
★日脚伸び父子直球バシと受く/小西 宏
直球を受け止める音が日脚伸びる一刻に明るく響きます。父子のあたたかく伸びやかな情景に、ふと春近づく思いを抱かせてくれます。 (藤田洋子)
★柿の木の根元寒肥を念入りに/河野啓一
寒肥を念入りに施す、その丁寧な作業に、樹木への慈しみがあふれているようです。季節を経て、やがて豊かな柿の実りも明るく想像されます。 (藤田洋子)
★冬の虹土手道駆ける児の上に/追田和代
冬枯れの土手を無邪気に走る児たちに、冬の虹が懸って、幸せな子どもの情景が目に浮かぶ。(高橋正子)
【多田有花特選/5句】
★どんど焼き炎の中にまた炎/祝恵子
「炎の中にまた炎」というのがシンプルであると同時にどんどらしさを感じさせます。情景が浮かぶと同時に、炎を見守る人々の心情も見えてくるようです。(多田有花)
★かがやかに空晴れ渡り小白鳥/黒谷光子
かがやかに晴れ渡る空は、寒さの厳しい冬の晴れた空を印象付ける。かがやかに晴れた空に小白鳥の白さが鮮烈に目に映る。厳しさの中にある優美さがいい。(高橋正子)
★日脚伸ぶステンドグラスの青き色/津本けい
寒さも寒さながら、日脚が伸びて明るい日の光が嬉しいころになった。青いステンドグラスを透ける光ものびやかに美しい。(高橋正子)
★稜線の容ととのう寒の晴/桑本栄太郎
山の稜線が決まり、山容がととのう。きりっと晴れた空のもとの寒中の山である。(高橋正子)
★日脚伸ぶ同期の友と再会し/河野啓一
日脚が伸び、陽光にもあかるさが増してくる。そんな折昔なつかしい同期の友と再会し旧交を温める。これも明るい出来事。(高橋正子)
【高橋秀之特選/5句】
★寒の水音立て朝の厨ごと/藤田洋子
一段と冷え込みの厳しい寒の時期の朝、炊事のために使うであろう水を使う音が台所から聞こえてきます。気持ちのよい一日の始まりです。(高橋秀之)
★白菜のしろきを抱いてふり返る/川名ますみ
生活のある、美しい風景だ。「白菜のしろき」、「抱いて」、「ふり返る」、どれもが、そしてすべてが詩情のある言葉だ。(高橋信之)
★日脚伸ぶステンドグラスの青き色/津本けい
寒さも寒さながら、日脚が伸びて明るい日の光が嬉しいころになった。青いステンドグラスを透ける光ものびやかに美しい。(高橋正子)
★日脚伸ぶ同期の友と再会し/河野啓一
日脚が伸び、陽光にもあかるさが増してくる。そんな折昔なつかしい同期の友と再会し旧交を温める。これも明るい出来事。(高橋正子)
★ごみ出しの額に掌に受く新雪を/高橋信之
【小西 宏特選/5句】
★メロディーの報す風呂張り寒の夜/桑本栄太郎
近頃ではお風呂の沸いたことを短い音楽で知らせてくれるようになりました。軽やかなメロディーが聞こえると、もう体が温まってきたような気にさえなります。「寒の夜」という昔ながらの表現と現代的なシステムとの新しいコラボレーションです。(小西 宏)
★かがやかに空晴れ渡り小白鳥/黒谷光子
かがやかに晴れ渡る空は、寒さの厳しい冬の晴れた空を印象付ける。かがやかに晴れた空に小白鳥の白さが鮮烈に目に映る。厳しさの中にある優美さがいい。(高橋正子)
★躍りだす風花海の見えてより/今村征一
海が見えてから、風花が踊りだす。海の近くは遮るものが少なく、風がよく吹いていることもあるだろう。動きのある風花と海の取り合わせがいい。(高橋正子)
★どんど焼き炎の中にまた炎/祝恵子
どんど焼きの炎があがる。誰かが、またあたらしく持ってきた締飾りなどをくべると、別の炎が立つ。炎だけを詠んでからっとしている。(高橋正子)
★枝先の揺れて春待つ庭の木々/河野啓一
まだまだ寒い日が続いていますが、庭の木々に目をやると、枝先の揺れにも生命力が感じられます。春を待ち望む心が、木々共々伝わって参ります。 (藤田裕子)
【入選/10句】
★初雪を降らして空の明るい朝/高橋信之
朝の空から初雪がひらひら舞う。雪雲が広がっているわけではなく、いつもより幾分か冷え込む空なので、明るさがある。初雪が軽やか。(高橋正子)
★満天の星降り注ぐ霜夜かな/佃 康水
美しい世界をそのまま、ためらわず句にしたストレートさに魅了される。霜夜という冷え切った美しい夜に、満天の星が降り注ぐこの美しさ。(高橋正子)
★冷え込みの厳しい朝のお味噌汁/高橋秀之
寒い朝、奥様の暖かいお味噌汁に心が温まります。今日も一日がんばろう、そういう気持ちになりますね。(多田有花)
★一両の吾妻線や雪野原/小口泰與
一両きりの列車というのは、懐かしい気持ちをかきたてます。それが一面の雪野原の中を走っていくとなればなおさらでしょう。(多田有花)
★こんもりと雪積む遠き小正月/小川和子
ふるさと、幼いころの思い出を詠んでおられます。今は都会で雪も小正月の行事も遠くなった、でも、心の中に幼いあのときの情景はずっと生きています。(多田有花)
★蒼天のライナー島へ寒の潮/桑本栄太郎
冬の海を横切って高速船が島へ到着する。空は青空。瀬戸内の爽快な風景を想像しました。明るく活気のある句と思います。(河野啓一)
★赤ん坊と冬菜積まるる乳母車/古賀一弘
乳母車に赤ちゃんと、同じくらいの大きさの冬菜ー多分白菜などを積んで買い物帰りの若いお母さん。微笑ましい市井の風景を詠まれました。(河野啓一)
★寒林に野外学習の声弾む/古田敬二
いつもは静かな寒林に、今日は野外学習をする子供達の元気な声がしています。寒く冷たい空気の中、子供達の弾む声に心温まる思いがいたします。 (藤田裕子)
★一もじをぶつ切りすれば香りかな/下地鉄
男の料理であろうか。厨の様子がありありと読み手に伝わる。まな板の上の葱、手に持つ包丁、何よりも葱の強い香りが読み手にも匂う。生きのいい句だ。(高橋信之)
★水仙の香り清らに朝が来る/河野啓一
「朝が来る」ことの嬉しさを詠んだ。「水仙の香り清らに」と詠んだ作者の思いは、読者も喜ばす。いい朝だ。(高橋信之)
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【最優秀/2句】
★銀杏みな冬芽整い街筋に/藤田洋子
「街筋に」がこの句のイメージを鮮明にしている。整然と並んだ街路樹のどの銀杏にも冬芽がしっかりとついて、つまり、冬芽が整い、きりっとした冬の景色となっている。(高橋正子)
★冬の虹土手道駈ける児の上に/迫田和代
冬枯れの土手を無邪気に走る児たちに、冬の虹が懸って、幸せな子どもの情景が目に浮かぶ。(高橋正子)
【高橋正子特選/5句】
★海苔洗う清冽な水に母の指/川名ますみ(正子添削)
海苔は、春に磯などで採取されて春の季語。寒中に採れたものも美味。磯で採れた海苔にはとくに砂が多く、水を幾度も変えて洗う。そういった水が清冽で、母の白い指が際立つ。(高橋正子)
★どんど焼き炎の中にまた炎/祝恵子
どんど焼きの炎があがる。誰かが、またあたらしく持ってきた締飾りなどをくべると、別の炎が立つ。炎だけを詠んでからっとしている。(高橋正子)
★春を待つ車窓の海の明るさに/津本けい
車窓から見える海は明るい。乗り物に揺られながら明るい海を見ると春はもうそこにやってきているように思える。春を待つ気持ちが優しい。(高橋正子)
★鈴の音や寒行僧の遠ざかる/藤田裕子
鈴を鳴らしながら寒行の僧が街をゆく。目の前から僧が遠ざかると、鈴の音が遠ざかる。鈴の音に重ねて、修行とはいえ、厳寒の中を行く僧を思いやる心がしのばれる。(高橋正子)
★ふるさとへの車窓に冬芽冬芽かな/安藤智久
ふるさとへ近づく山の木々の冬芽であろう。車窓に、冬芽の木々が次々過ぎる。「冬芽冬芽かな」に、詠み手の「明らかな目」を感じる。(高橋正子)
【藤田洋子特選/5句】
★朝夕にきりっとうまし寒の水/多田有花
冷気たっぷりの寒の水を飲み、清々しく身の引き締まる思いです。朝夕、体内を浄化してくれるような水のうまさに健康的な生活がうかがえます。(藤田洋子)
★かがやかに空晴れ渡り小白鳥/黒谷光子
かがやかに晴れ渡る空は、寒さの厳しい冬の晴れた空を印象付ける。かがやかに晴れた空に小白鳥の白さが鮮烈に目に映る。厳しさの中にある優美さがいい。(高橋正子)
★日脚伸び父子直球バシと受く/小西 宏
直球を受け止める音が日脚伸びる一刻に明るく響きます。父子のあたたかく伸びやかな情景に、ふと春近づく思いを抱かせてくれます。 (藤田洋子)
★柿の木の根元寒肥を念入りに/河野啓一
寒肥を念入りに施す、その丁寧な作業に、樹木への慈しみがあふれているようです。季節を経て、やがて豊かな柿の実りも明るく想像されます。 (藤田洋子)
★冬の虹土手道駆ける児の上に/追田和代
冬枯れの土手を無邪気に走る児たちに、冬の虹が懸って、幸せな子どもの情景が目に浮かぶ。(高橋正子)
【多田有花特選/5句】
★どんど焼き炎の中にまた炎/祝恵子
「炎の中にまた炎」というのがシンプルであると同時にどんどらしさを感じさせます。情景が浮かぶと同時に、炎を見守る人々の心情も見えてくるようです。(多田有花)
★かがやかに空晴れ渡り小白鳥/黒谷光子
かがやかに晴れ渡る空は、寒さの厳しい冬の晴れた空を印象付ける。かがやかに晴れた空に小白鳥の白さが鮮烈に目に映る。厳しさの中にある優美さがいい。(高橋正子)
★日脚伸ぶステンドグラスの青き色/津本けい
寒さも寒さながら、日脚が伸びて明るい日の光が嬉しいころになった。青いステンドグラスを透ける光ものびやかに美しい。(高橋正子)
★稜線の容ととのう寒の晴/桑本栄太郎
山の稜線が決まり、山容がととのう。きりっと晴れた空のもとの寒中の山である。(高橋正子)
★日脚伸ぶ同期の友と再会し/河野啓一
日脚が伸び、陽光にもあかるさが増してくる。そんな折昔なつかしい同期の友と再会し旧交を温める。これも明るい出来事。(高橋正子)
【高橋秀之特選/5句】
★寒の水音立て朝の厨ごと/藤田洋子
一段と冷え込みの厳しい寒の時期の朝、炊事のために使うであろう水を使う音が台所から聞こえてきます。気持ちのよい一日の始まりです。(高橋秀之)
★白菜のしろきを抱いてふり返る/川名ますみ
生活のある、美しい風景だ。「白菜のしろき」、「抱いて」、「ふり返る」、どれもが、そしてすべてが詩情のある言葉だ。(高橋信之)
★日脚伸ぶステンドグラスの青き色/津本けい
寒さも寒さながら、日脚が伸びて明るい日の光が嬉しいころになった。青いステンドグラスを透ける光ものびやかに美しい。(高橋正子)
★日脚伸ぶ同期の友と再会し/河野啓一
日脚が伸び、陽光にもあかるさが増してくる。そんな折昔なつかしい同期の友と再会し旧交を温める。これも明るい出来事。(高橋正子)
★ごみ出しの額に掌に受く新雪を/高橋信之
【小西 宏特選/5句】
★メロディーの報す風呂張り寒の夜/桑本栄太郎
近頃ではお風呂の沸いたことを短い音楽で知らせてくれるようになりました。軽やかなメロディーが聞こえると、もう体が温まってきたような気にさえなります。「寒の夜」という昔ながらの表現と現代的なシステムとの新しいコラボレーションです。(小西 宏)
★かがやかに空晴れ渡り小白鳥/黒谷光子
かがやかに晴れ渡る空は、寒さの厳しい冬の晴れた空を印象付ける。かがやかに晴れた空に小白鳥の白さが鮮烈に目に映る。厳しさの中にある優美さがいい。(高橋正子)
★躍りだす風花海の見えてより/今村征一
海が見えてから、風花が踊りだす。海の近くは遮るものが少なく、風がよく吹いていることもあるだろう。動きのある風花と海の取り合わせがいい。(高橋正子)
★どんど焼き炎の中にまた炎/祝恵子
どんど焼きの炎があがる。誰かが、またあたらしく持ってきた締飾りなどをくべると、別の炎が立つ。炎だけを詠んでからっとしている。(高橋正子)
★枝先の揺れて春待つ庭の木々/河野啓一
まだまだ寒い日が続いていますが、庭の木々に目をやると、枝先の揺れにも生命力が感じられます。春を待ち望む心が、木々共々伝わって参ります。 (藤田裕子)
【入選/10句】
★初雪を降らして空の明るい朝/高橋信之
朝の空から初雪がひらひら舞う。雪雲が広がっているわけではなく、いつもより幾分か冷え込む空なので、明るさがある。初雪が軽やか。(高橋正子)
★満天の星降り注ぐ霜夜かな/佃 康水
美しい世界をそのまま、ためらわず句にしたストレートさに魅了される。霜夜という冷え切った美しい夜に、満天の星が降り注ぐこの美しさ。(高橋正子)
★冷え込みの厳しい朝のお味噌汁/高橋秀之
寒い朝、奥様の暖かいお味噌汁に心が温まります。今日も一日がんばろう、そういう気持ちになりますね。(多田有花)
★一両の吾妻線や雪野原/小口泰與
一両きりの列車というのは、懐かしい気持ちをかきたてます。それが一面の雪野原の中を走っていくとなればなおさらでしょう。(多田有花)
★こんもりと雪積む遠き小正月/小川和子
ふるさと、幼いころの思い出を詠んでおられます。今は都会で雪も小正月の行事も遠くなった、でも、心の中に幼いあのときの情景はずっと生きています。(多田有花)
★蒼天のライナー島へ寒の潮/桑本栄太郎
冬の海を横切って高速船が島へ到着する。空は青空。瀬戸内の爽快な風景を想像しました。明るく活気のある句と思います。(河野啓一)
★赤ん坊と冬菜積まるる乳母車/古賀一弘
乳母車に赤ちゃんと、同じくらいの大きさの冬菜ー多分白菜などを積んで買い物帰りの若いお母さん。微笑ましい市井の風景を詠まれました。(河野啓一)
★寒林に野外学習の声弾む/古田敬二
いつもは静かな寒林に、今日は野外学習をする子供達の元気な声がしています。寒く冷たい空気の中、子供達の弾む声に心温まる思いがいたします。 (藤田裕子)
★一もじをぶつ切りすれば香りかな/下地鉄
男の料理であろうか。厨の様子がありありと読み手に伝わる。まな板の上の葱、手に持つ包丁、何よりも葱の強い香りが読み手にも匂う。生きのいい句だ。(高橋信之)
★水仙の香り清らに朝が来る/河野啓一
「朝が来る」ことの嬉しさを詠んだ。「水仙の香り清らに」と詠んだ作者の思いは、読者も喜ばす。いい朝だ。(高橋信之)
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