忘れかけていることを思い出させる動画です。
ホンダUK(イギリスホンダ)からという、外からというのが、また何とも刺激的なところです。
Honda "Hands"
イノベーションにより世の中のライフスタイルを変えていく・・・
この原点はここにあると・・・・
「無から有を生じること」
(ホンダ 藤澤専務言行集http://www.honda.co.jp/sou50/Yume/7year/s3002_02.html)
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「無から有は生じること」
(1) 農業用エンジンで考えて
我が社で作り始めた農業用エンジン――この種のエンジンは今日の日本の他の会社で製作されていないから作るのか。
とんでもない。日本の一流の重工業会社が軒を並べて製作している。ヤンマー、クボタ、三菱、ダイハツ、中島等々。
農家の需要以上遙に各メーカーとも製作して、ラジオ、新聞で猛烈な販売戦をやつていることは天下衆知の事実だ。
それにホンダがその中に入る。
「じや売れるか」
「良い事業だ。大丈夫だよ」
とはつきり言い切る事業家があるとすれば、前に書いた一流のこれらの重工業会社の事業家は全然事業家でないと断定せざるを得ないとも考えられる程だ。
又、これらの会社には優秀な人材がいないかと云えば、ホンダにいる若い人材のその先輩がウヨウヨいる。これ等の事業家と優れたこれらの人材はホンダで作るそんなエンジンを作つて売れないと考えているのか。又作る意欲がないのか。考え方を脱皮して、新しく創造することは仲々むつかしいことらしい。どうしても世間並になり勝ちで、外でもそうだからウチでも同じだと思つて、その物の本流について判断することができないのではないだろうか。
ホンダのような新味の会社が、作る余地のない程の販売網と需要家も決まつている筈だ。だから大抵の場合、新規の製品に対しては見向きもしないのだろう。作つても売れまい。従つて需要は頭打ちの産業だと判定せざるを得まい。
であつた場合、駄目だと考えたら、これは仲間入りする余地がない。つまりこの事業は見込みがないから「無」と云わねばならない。「無」と思つて、やらないとすればこれは永久に「無」ぢやないかしら。
ここに新しい事業、つまり企業会社は成立しない。
さて、これで充分な論拠と決めてしまつたら産業の発達は中止され、そして、いつでも他の人、他の会社でやつたことを真似して行くだけの会社となるのではないだろうか。
従つて前に書いた世間一般の常識通りなら、ホンダから永久に「有」はでて来ない筈だ。「わかもの」に書いてあつた様に「無から有は生じない」と今から決めてしまつたとしたら、前に書いた一流の重工業会社のそれらの先輩の判断しているところと同じような「考え方」をしているのではないだろうか。
然し、ホンダは敢えて農発の製作を開始する。
無から有を生じるために。
そして将来、この農発界で燦然と輝きを発するだろう。
そして、この「ホンダ」から若い人が、その逞しい独創的な想像力と実行力を受け継いで、次から次へと連続して発展する姿を又伸ばして行つてくれると期待する。
そこで始めて産業界に新しい息吹きを誇ることができるだろう。
(2) オートバイで考えて
オートバイ界で、現在ホンダは「日本随一だ」ということは自他共に許している。
けれども5年前はどうか。僅か5年である。
他の会社の5年間と殆んど何の変化も、進歩もしていない。
メグロ、陸王、アサヒ等戦前から軍用としても、民間用としても、子供でも知つていたオートバイの名である。
そんな時期に、断然日本一のオートバイメーカーになるのだと広言した社長や私はこの業界から鼻であしらわれたものだつた。
メグロ、陸王で言うのならともかくも。
第一、オートバイなんて、そんなに買う人があるものか。月に日本全部で百台売れれば関の山だよ。然も名前の通つている会社があるから駄目だと、誰も相手にしてくれない。工場はベルト掛けの機械と、僅かな動力直結の機械、人員は40名位。
銀行が金を貸すのに担保物件もない!
総てが「無」であつた。
今、この会社は月産4、000台作つて、全部売れている。
然もそれが「当り前」だと考えている。
誰れが想像していたか。
「無」から「有」はでてきたと考えて違うのだろうか。
埼玉の白子工場を建て始めてから約10億円を機械と工場設備に費つた。
これは誰れが考えても無駄だと云うに決まつている。
が、今動き始めている。だから優秀な製品となつて、販売数量は日本の過半数を占め、他社を断然リードしたのは去年の下期の実績がそれを証明している。
けれども、未だ完全な稼動はしていない。恐らく、あと2、3年後であろう。その時こそ、秀れた製品となつて、他の如何なる大会社も及ばなくなるだろう。
何十年、何百年代々営んでいる農家でさえ、春種をまいて、秋の取入れまで待たねばならないし、又その間いろいろな肥料と手入をするではないか。
又、この設備をしなかつたとしたら。
今の従業員2、500人は必要としなかつたであろう。せいぜい400人位しか雇用することのできない企業じやなかつたかしら。
下請工場においても、販売関係でも、この設備をしたことにより、直接、間接では随分の人数がこれによつて生活できているのじやないだろうか。
又、昨年のような優秀製品はできないであろう。仮に500台のオートバイを作つても売れなかつたろう。優秀な製品と販売網を持つていたとしても、猶且つ、あれだけの値引きをしなければならなかつた時に、歴史の浅い「ホンダ」がデフレの時の渦に巻き込まれても、今の段階では仕方がなかつたのではないだろうか?
でも、凡ゆる伸びるための準備は完了に近い。
「無」から「有」を生じたこの本田がその「有」を活用するための段階は「無」を「有」にしたその労苦に較べれば――と考えている。
「漠然としたズバリも」
このホンダが何か他の会社と違つているように漠然と考えると明和報に書いてあつた。
不平不満はある筈である。
が、一歩諸君が会社の門をでて、家庭に、あるいは友人に逢つた時に、ホンダにいることを諸君が自慢していることを知つている。
何故であろう。
イ、新興会社であるけれども大会社である。
ロ、オートバイでは断然秀れていて、1番数も売れているという誇り。
ハ、同年配の友達仲間に較べて、給料が低くない。
ニ、言論が自由だから何でも言える。(当然のことだが)
ホ、未来へ伸びて行く会社のように思われるから努力次第では将来幹部になれる。
大体こんな事が漠然と乍ら解つているからだ。新しい会社だから規則も充分でない。
欠点も随分あるだろう。けれどもその本流を間違えていなければ遂次直して訂正して行けば良いと思う。
ホンダの良い点は、悪いと気がついたらドンドン直して行くことだ。
× × × ×
イ、病気で休んでも給料を引かれたり、停止されることはない。
この組織は日本の他の会社では絶対にない規則だ。
ロ、時価150円も200円もする株式を50円で従業員に譲渡する経営者は日本の他の会社ではない筈だ。然も、この株券が2年先か3年先にどんな値打がでるか(持つていれば)従業員の諸君は知るであろう。
ハ、将来共に努力して、考えて、諸君の幸福になることを、他の会社がやつていないことでもやれるような気がする。
どうしてそんなことができるのか。
「社長の人格と技術」
これこそ日本において、類例がない程素晴らしいものだ。
次から次へと発展して新しい企業を生み、他の会社では考えられない宝庫を作つてくれるからだ。
人格は諸君が見られる通りで、私はこの点では言わない。
諸君が勇んで、喜んで働く姿を見ているときには、社長は智慧の泉を湧かす。
諸君がそうでないときには、夜も眠られない位心配する。そして自分の足らないことを申訳なく感ずる純情な姿だ。
他の会社の経営者にこの姿があるだろうか。この頭脳をその生命のある限り、諸君は酷使すべきだ。これが未来のホンダの繁栄をもたらすものであり、そして諸君が望む最も安定した将来の生活の根元をなすのだから。
今、この若い人達は、「何か旧来の殻」を破ろう、そして新しいものを創りだそうと、仕事の面で苦しんでいる。結果がすぐでなかつたり、壁にブツカッて焦つている。
このままではいけない、脱皮しなくてはと漠然と悩んでいるように私には見える。このような悩みこそ創造の母体であり、これは他の会社には尊いものだと思う。
どうか諸君が、猿真似でなく、自分自体から生みだす叡智を以つて、独立、独歩、自分達2、500人の判断で、大局を見、そして青空を望むような濶達な心で、近代日本になかつたような企業を創りだして欲しい。
若い人達は気短かだが、あまり焦らないで欲しい。
このように、既に、芽生え発育しかかつている、この正確にものを判断し、他の人に頼らないこの心は会社として独立精神であり、又、個人個人としても独立心に磨きをかけ、人間として成長があると私は期待する。
私はやはりこの言葉を続けて言いたい。こゝまで発展させたのは我々2、500人の智慧と努力の結果であるから、やはり我々だけの智慧、判断は尊いものであり、いとおしむべきことで、大事に育て、そして未来の栄えを得ようではないか。
(30・2 社報13号)
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世の中の常識で出来ないところから新しい価値を生み出したという実績、外からの目でも思われているところは誇りを持つに値することころで、改めてこの考え方に共感するところです。
まずは自信をもって行動するところからであろうと。
この動画のシンプルな表現のところを泥臭くやる、想いをもって行動するところが得意な日本のものづくりであるということを信じて。
ちょうど泥臭い擬似体験をしてきましたもので…

ホンダUK(イギリスホンダ)からという、外からというのが、また何とも刺激的なところです。
Honda "Hands"
イノベーションにより世の中のライフスタイルを変えていく・・・
この原点はここにあると・・・・
「無から有を生じること」
(ホンダ 藤澤専務言行集http://www.honda.co.jp/sou50/Yume/7year/s3002_02.html)
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「無から有は生じること」
(1) 農業用エンジンで考えて
我が社で作り始めた農業用エンジン――この種のエンジンは今日の日本の他の会社で製作されていないから作るのか。
とんでもない。日本の一流の重工業会社が軒を並べて製作している。ヤンマー、クボタ、三菱、ダイハツ、中島等々。
農家の需要以上遙に各メーカーとも製作して、ラジオ、新聞で猛烈な販売戦をやつていることは天下衆知の事実だ。
それにホンダがその中に入る。
「じや売れるか」
「良い事業だ。大丈夫だよ」
とはつきり言い切る事業家があるとすれば、前に書いた一流のこれらの重工業会社の事業家は全然事業家でないと断定せざるを得ないとも考えられる程だ。
又、これらの会社には優秀な人材がいないかと云えば、ホンダにいる若い人材のその先輩がウヨウヨいる。これ等の事業家と優れたこれらの人材はホンダで作るそんなエンジンを作つて売れないと考えているのか。又作る意欲がないのか。考え方を脱皮して、新しく創造することは仲々むつかしいことらしい。どうしても世間並になり勝ちで、外でもそうだからウチでも同じだと思つて、その物の本流について判断することができないのではないだろうか。
ホンダのような新味の会社が、作る余地のない程の販売網と需要家も決まつている筈だ。だから大抵の場合、新規の製品に対しては見向きもしないのだろう。作つても売れまい。従つて需要は頭打ちの産業だと判定せざるを得まい。
であつた場合、駄目だと考えたら、これは仲間入りする余地がない。つまりこの事業は見込みがないから「無」と云わねばならない。「無」と思つて、やらないとすればこれは永久に「無」ぢやないかしら。
ここに新しい事業、つまり企業会社は成立しない。
さて、これで充分な論拠と決めてしまつたら産業の発達は中止され、そして、いつでも他の人、他の会社でやつたことを真似して行くだけの会社となるのではないだろうか。
従つて前に書いた世間一般の常識通りなら、ホンダから永久に「有」はでて来ない筈だ。「わかもの」に書いてあつた様に「無から有は生じない」と今から決めてしまつたとしたら、前に書いた一流の重工業会社のそれらの先輩の判断しているところと同じような「考え方」をしているのではないだろうか。
然し、ホンダは敢えて農発の製作を開始する。
無から有を生じるために。
そして将来、この農発界で燦然と輝きを発するだろう。
そして、この「ホンダ」から若い人が、その逞しい独創的な想像力と実行力を受け継いで、次から次へと連続して発展する姿を又伸ばして行つてくれると期待する。
そこで始めて産業界に新しい息吹きを誇ることができるだろう。
(2) オートバイで考えて
オートバイ界で、現在ホンダは「日本随一だ」ということは自他共に許している。
けれども5年前はどうか。僅か5年である。
他の会社の5年間と殆んど何の変化も、進歩もしていない。
メグロ、陸王、アサヒ等戦前から軍用としても、民間用としても、子供でも知つていたオートバイの名である。
そんな時期に、断然日本一のオートバイメーカーになるのだと広言した社長や私はこの業界から鼻であしらわれたものだつた。
メグロ、陸王で言うのならともかくも。
第一、オートバイなんて、そんなに買う人があるものか。月に日本全部で百台売れれば関の山だよ。然も名前の通つている会社があるから駄目だと、誰も相手にしてくれない。工場はベルト掛けの機械と、僅かな動力直結の機械、人員は40名位。
銀行が金を貸すのに担保物件もない!
総てが「無」であつた。
今、この会社は月産4、000台作つて、全部売れている。
然もそれが「当り前」だと考えている。
誰れが想像していたか。
「無」から「有」はでてきたと考えて違うのだろうか。
埼玉の白子工場を建て始めてから約10億円を機械と工場設備に費つた。
これは誰れが考えても無駄だと云うに決まつている。
が、今動き始めている。だから優秀な製品となつて、販売数量は日本の過半数を占め、他社を断然リードしたのは去年の下期の実績がそれを証明している。
けれども、未だ完全な稼動はしていない。恐らく、あと2、3年後であろう。その時こそ、秀れた製品となつて、他の如何なる大会社も及ばなくなるだろう。
何十年、何百年代々営んでいる農家でさえ、春種をまいて、秋の取入れまで待たねばならないし、又その間いろいろな肥料と手入をするではないか。
又、この設備をしなかつたとしたら。
今の従業員2、500人は必要としなかつたであろう。せいぜい400人位しか雇用することのできない企業じやなかつたかしら。
下請工場においても、販売関係でも、この設備をしたことにより、直接、間接では随分の人数がこれによつて生活できているのじやないだろうか。
又、昨年のような優秀製品はできないであろう。仮に500台のオートバイを作つても売れなかつたろう。優秀な製品と販売網を持つていたとしても、猶且つ、あれだけの値引きをしなければならなかつた時に、歴史の浅い「ホンダ」がデフレの時の渦に巻き込まれても、今の段階では仕方がなかつたのではないだろうか?
でも、凡ゆる伸びるための準備は完了に近い。
「無」から「有」を生じたこの本田がその「有」を活用するための段階は「無」を「有」にしたその労苦に較べれば――と考えている。
「漠然としたズバリも」
このホンダが何か他の会社と違つているように漠然と考えると明和報に書いてあつた。
不平不満はある筈である。
が、一歩諸君が会社の門をでて、家庭に、あるいは友人に逢つた時に、ホンダにいることを諸君が自慢していることを知つている。
何故であろう。
イ、新興会社であるけれども大会社である。
ロ、オートバイでは断然秀れていて、1番数も売れているという誇り。
ハ、同年配の友達仲間に較べて、給料が低くない。
ニ、言論が自由だから何でも言える。(当然のことだが)
ホ、未来へ伸びて行く会社のように思われるから努力次第では将来幹部になれる。
大体こんな事が漠然と乍ら解つているからだ。新しい会社だから規則も充分でない。
欠点も随分あるだろう。けれどもその本流を間違えていなければ遂次直して訂正して行けば良いと思う。
ホンダの良い点は、悪いと気がついたらドンドン直して行くことだ。
× × × ×
イ、病気で休んでも給料を引かれたり、停止されることはない。
この組織は日本の他の会社では絶対にない規則だ。
ロ、時価150円も200円もする株式を50円で従業員に譲渡する経営者は日本の他の会社ではない筈だ。然も、この株券が2年先か3年先にどんな値打がでるか(持つていれば)従業員の諸君は知るであろう。
ハ、将来共に努力して、考えて、諸君の幸福になることを、他の会社がやつていないことでもやれるような気がする。
どうしてそんなことができるのか。
「社長の人格と技術」
これこそ日本において、類例がない程素晴らしいものだ。
次から次へと発展して新しい企業を生み、他の会社では考えられない宝庫を作つてくれるからだ。
人格は諸君が見られる通りで、私はこの点では言わない。
諸君が勇んで、喜んで働く姿を見ているときには、社長は智慧の泉を湧かす。
諸君がそうでないときには、夜も眠られない位心配する。そして自分の足らないことを申訳なく感ずる純情な姿だ。
他の会社の経営者にこの姿があるだろうか。この頭脳をその生命のある限り、諸君は酷使すべきだ。これが未来のホンダの繁栄をもたらすものであり、そして諸君が望む最も安定した将来の生活の根元をなすのだから。
今、この若い人達は、「何か旧来の殻」を破ろう、そして新しいものを創りだそうと、仕事の面で苦しんでいる。結果がすぐでなかつたり、壁にブツカッて焦つている。
このままではいけない、脱皮しなくてはと漠然と悩んでいるように私には見える。このような悩みこそ創造の母体であり、これは他の会社には尊いものだと思う。
どうか諸君が、猿真似でなく、自分自体から生みだす叡智を以つて、独立、独歩、自分達2、500人の判断で、大局を見、そして青空を望むような濶達な心で、近代日本になかつたような企業を創りだして欲しい。
若い人達は気短かだが、あまり焦らないで欲しい。
このように、既に、芽生え発育しかかつている、この正確にものを判断し、他の人に頼らないこの心は会社として独立精神であり、又、個人個人としても独立心に磨きをかけ、人間として成長があると私は期待する。
私はやはりこの言葉を続けて言いたい。こゝまで発展させたのは我々2、500人の智慧と努力の結果であるから、やはり我々だけの智慧、判断は尊いものであり、いとおしむべきことで、大事に育て、そして未来の栄えを得ようではないか。
(30・2 社報13号)
--------------------
世の中の常識で出来ないところから新しい価値を生み出したという実績、外からの目でも思われているところは誇りを持つに値することころで、改めてこの考え方に共感するところです。
まずは自信をもって行動するところからであろうと。
この動画のシンプルな表現のところを泥臭くやる、想いをもって行動するところが得意な日本のものづくりであるということを信じて。
ちょうど泥臭い擬似体験をしてきましたもので…
