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シンガポールにおける名義株主についての説明

2024-03-15 | 会社設立

シンガポールでは、プライバシー及び資産の保護、複雑な所有権構造の簡略化の実現等の目的で名義株主(Nominee Shareholder)を利用するのは一般的です。ただし、マネーロンダリングや違法行為を防止するために、シンガポール政府は名義株主の利用に関してより厳しいな法律規定を採用しました。本稿では、シンガポールにおける名義株主に関する役割とガイドラインについて説明します。

 

  1. 名義株主の定義

 

名義株主とは、別の個人または実体(通常実質所有者又は受益者と呼ばれる)に代わって株式を保有する個人または実体です。名義株主の名前は会社の登記簿に記載されますが、株式の実質的所有権及び支配権が氏名者にあります。名義株主を利用する目的は、多くの場合、匿名で経営したいことです。

 

  1. 名義株主の義務と責任

 

名義株主は、次のようなさまざまな義務と責任を果たします。

 

(1)    議決権と配当:通常、名義株主は実質所有者の指示に従い投票し、及び配当を代わりに受け取ります。

 

(2)    法令順守: 名義株主は関係法律、規定を守り、申告義務を履行し年次申告書の提出や企業記録に関する情報の確認を行わなければなりません。

 

(3)    受託者責任: 名義株主は、実質所有者の最善の利益のために行動する責任を負います。名義株主の職位を利用し個人的利益を求めてはいけません。実質所有者は、配当の受領、株主総会の出席、その他の株主の権限を行使できる権利を留保します。

 

  1. 株主名義貸し契約書

 

株主名義貸し契約書とは実質所有者と名義株主との間に結ばれた法的拘束力のある契約です。当該契約書は名義株主の権利、義務、および制限を規定した上で名義株主の名義で保有されている株式に関する解説を説明しました。名義株主を利用する際に、名義株主契約を交わすことは関係者全員の利益の保護及び各自の役割と責任の明確に大きく役立ちます。

株主名義貸し契約書を交わすことによって、名義株主は実質所有者の指示や意思に従い行動することが保証されます。当該契約書により、議決権、配当金の分配、株式譲渡、および実質所有者に代わって株式を管理する際の役割が明確に規定されました。法律の専門家のアドバイスの上で実際の状況や要求に合わせ株主名義貸し契約書を作成することはお勧めします。

 

  1. 会計企業規制庁 (ACRA) の規制枠組みとガイドライン

 

ACRAにより、マネーロンダリングの防止、透明性の確保、会社所有権構造の完全性の維持を目的とされ、名義株主に関する包括的なガイドラインを規定されました。会社側は実質所有者に関する詳細情報を記録している名義株主名簿を保管しなければなりません。一方、名義株主側は名義株主の身分を会社に速やかに通知し、実質所有者に関する正確且つ完全なる情報を提供しなければなりません。

 

実質所有者が個人の場合、氏名、詳細身分証明、及び名義株主の実質所有者になった日付等の情報を提供しなければなりません。実質所有者が法人の場合、法人名称、法人番号、法的形態、設立管轄区域、法人登記簿名称、および名義株主の実質所有者となった日付等の情報を提供しなければなりません。

 

名義株主は会社設立後名義株主になった若しくは実質所有者の情報を更新した又は名義株主をやめた30 日以内に会社にそれらの情報を提供しなければなりません。株式譲渡と実益所有権の移転等名義株主に伴う変更がある場合、名義株主名簿にその変更詳細を更新しなければなりません。

 

名義株主名簿は、登録事務所または登録届出代理人の登録事務所で大事に保管しなければなりません。名義株主名簿を公衆の閲覧や監査人への開示にしていけません。規制局(会社登記所)および認可された公的機関(特に法執行機関)に限り、名義株主名簿の閲覧に法的権限が与えられます。上記の法的権限の授与は法律的監督および法律的調査目的に限られています。

 

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