Kaizen(啓源会計事務所)

海外の会社設立手続き、税制等の方面に関する情報は、Kaizenは皆様とシェアしましょう。

マレーシア、製造業の規制・コンプライアンス

2023-08-18 | ライセンス・免許

マレーシアでは、工業業界が1975年工業調整法に基づき規制されています。製造業において活躍している会社も、製造業に参入する予定のある会社も、1975年工業調整法の規定に従わなければなりません。

 

1975年工業調整法において、「製造活動」とは、使用、販売、運送、交付又は処分するために製造、改装、混合、装飾、精密加工等の方法でもの又は物質を処理することをいいます。また、部品の組立及び船舶の修理は含まれていますが、卸売、小売に関する活動は含まれていません。

 

製造活動を行い、且つ250万リンギ以上の株主資本を有するか、又は75人以上の常勤従業員を雇用する会社は、1975年工業調整法に基づき国際貿易産業省(MITI)に申請して製造業ライセンスを取得する必要があります。当該申請は、MITI傘下の機関であるマレーシア投資開発庁(MIDA、マレーシアの産業開発の促進と調整を担当する機関)に提出されます。

 

政府はマレーシアの工業項目を審査する基準が以下の通りです。

  1. 項目における従業員1人当たりの投下資本(CIPE)が14万リンギット以上であること。
  2. 会社の常勤従業員の80%以上がマレーシア人であること、及び外部委託する労働者を含む外国人労働者の雇用は現行のの政策に準拠すること。
  3. 経営・技術・管理職の従業員の総人数が全従業員数の25%以上であること、、又は製品の付加価値が40%以上であること。

 

製造業ライセンスを申請する前に、投資者はマレーシア会社登記所(CCM)に登記し、非公開有限会社を設立し、工場の場所を選択する必要があります。その後、工場の購入契約書又は賃貸借契約書を締結し、マレーシアの内国歳入庁に印紙税を納付し、印紙を貼り付ける必要があります。印紙が貼り付けられた購入契約書又は賃貸借契約書は、地方政府に事業所ライセンスを申請するための重要な書類となります。

 

会社は地方政府に事業所ライセンスを申請する前に、次の機関の承認を取得しなければなりません。

 

  1. 労働安全衛生部
  2. 環境省
  3. 消防救助局

 

その後、会社は製造業ライセンスの申請をオンラインで提出できます。MIDAの顧客憲章によると、MIDAは完全な情報を受け取ってから4週間以内に製造ライセンスの仮承認書を発行するということです。仮承認書には、MIDAへの提出が必要な書類が記載されています。MIDAは、会社が必要な書類を全て提出した後にのみ製造ライセンスを発行します。

 

製造業で働く外国人は、会社が製造業ライセンスを持っているか否かを問わず、MIDAに就労ビザを申請しなければなりません。

 

製造業者は、原材料及び部品にかかる輸入関税を免除してもらえるために製造業ライセンスを提示することができます。会社は、製造業ライセンス、外国人従業員の就労ビザ及び機械設備の輸入免税の申請書を同時に提出して、時間を節約し、手続きをスピードアップすることができます。会社はは、購入、輸入する前に機械設備の輸入免税の申請提出し、且つ事前に労働安全衛生省で登録された証拠を提供する必要があります。

 

製造業者は商品を栽培・生産・製造する場所を証明するために、管轄当局に原産地証明書を申請する必要があります。商品を特定の国に輸出するか、荷受人が通関を要求するか、又は信用状に指定されている場合に原産地証明書が必要です。原産地証明書は、特定原産地証明書と非特定原産地証明書の2種類に大きく分けることができます。特定原産地証明書は、輸出国の管轄当局が発行し、輸入業者が経済連携協定に基づく優遇税率の適用を受けることを承認する書類となります。一方、非特定原産地証明書は、商品の原産地を特定するのみの証明書であり、優遇税率の申請に使えません。非特定原産地証明書は関税の軽減要件ではありませんが、輸出品の質及び信用を反映するツールとして広く使われています。

 

原産地証明書の発効は、以下の基準で行われます。

  1. CCMに登記されている製造業者、輸出業者、貿易業者であること。
  2. 製品を次の要件のいずれかに該当すること。

(1)    100%現地の原材料を使ってマレーシアで製造されたこと。

(2)    マレーシアで製品変換プロセスを通じて6つの関税番号を変更したこと。

(3)    25%以上のマレーシアの原材料で作られていること。

 

製造業者は所定の要件及び手続きに基づき、寄りの税関で認定製造倉庫(LMW)ライセンスを申請することができます。LMWライセンスの目的は、承認対象となる商品の製造(初期段階から完成品まで)に直接使用される原材料、部品、機械、設備の関税を免除することです。当該措置により、LMWライセンスの保有者は、さまざまな関税番号に基づく特定の制限に従って、免税の原材料、機器、又は部品を輸入できるということです。

 

LMWライセンスを申請する必要な要件は以下の通りです。

  1. 製造業者は1975年工業調整法によって承認された製造業ライセンス、又はMIDAが発行する免税書を取得したこと。
  2. 製造業者は1967年関税法第2条第(1)項に定める製造の定義に該当すること。
  3. 製造業者は12ヶ月に総生産量の80%以上の製品を輸出すること。
  4. 車両、タバコ、アルコール、石油・石油製品等の製造品はLMWライセンスの対象となりません。

 

免責声明

本文の内容と意見は一般的な情報共有のみであり、専門的なアドバイスではありません。本文の内容への信頼によって生じた全ての損失に対しては、啓源が一切責任を負いません。専門的なサービスがご必要な場合は、お気軽にご連絡ください。

PVアクセスランキング にほんブログ村


この記事についてブログを書く
« 外国法人に所有される英国不... | トップ | 米国の会社清算と納税処理の概要 »
最新の画像もっと見る

ライセンス・免許」カテゴリの最新記事