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ケイマン諸島免除会社のコンプライアンス維持のマニュアル(2)

2023-06-02 | 会社設立
  1. 変更登記事項

 

ケイマン諸島において設立された免除会社は、登記事項変更について所定の期限内に会社登記所に報告しなければなりません。変更手続き及び報告の期限は、変更事項によって異なります。

 

免除会社は、いつでも特別決議書を通じて定款又は商号を変更することができます。当該変更は、株主が特別決議を可決する際に発効します。会社は変更する日から15日以内に会社登記所に報告する必要があります。ただし、会社登記所は会社の商号変更を拒否し、他の商号を使用しようと命じる権利があります。

 

免除会社は資本金を追加、合併、又は細分化することができます。会社は普通決議を通じて増資をすることができます。増資の発行日は決議が可決された日です。会社は増資後30日以内に書面で会社登記所に報告する必要があります。

 

定款で認められる場合、会社は株主の特別決議を通じて振込資本でない資本を減少することができます振込資本を減少することもできますが、定款で認められる場合、株主の投票による決議可決に加えて、裁判所の確認も必要です。特定の状況では、会社は減資をするために、株式を買い戻すこともできます。

 

取締役及び高級管理職の個人情報(パスポート番号、氏名、住所等)が変更した場合、会社は変更する日から30日以内に会社登記所に報告しなければなりません。

 

  1. 取締役の責任と権限

 

ケイマン諸島免除会社は通常、会社の管理する権限を取締役会に付与することを定款で規定します。一般的に、(大規模企業又は上場会社の)株主は会社の管理に関与しません。

 

取締役会は、会社に対する忠実義務を負います。具体的には次の各項が含まれます。

(1)     会社の最善の利益のために行動する。

(2)     適切な目的で行動する。

(3)     取締役の裁量は拘束されない。

(4)     利益相反は避けるべく。

(5)     取締役として個人的な利益を求めない。

(6)     株主全員を公正に扱います。

(7)     スキルと努力をもって行動する。

 

取締役(会)は会社自体に対して上述の義務を負いますが、個別の株主に対して当該義務を負いません。取締役は当該義務に違反した場合、個人的に責任を負う恐れがあります。

 

  1. 帳簿

 

ケイマン諸島免除会社は、会社の財務状況を真実且つ公正に反映するための完備な帳簿、及び次の各項を解釈できる会計証憑を保存しなければなりません。

(1)     会社が受領又は支払った金額及び当該金額に係る事項

(2)     会社が販売及び購入した全ての商品

(3)     会社の資産、負債

 

上記の帳簿及び会計証憑は5年以上保存しなければなりません。

 

ケイマン諸島では一律に適用される会計基準がないため、会社は自社によりふさわしい会計基準を選んで財務諸表を作成することができます。整備されており、香港やシンガポール等の国・地域の会計基準に基づき作成された財務諸表には、財政状態計算書、損益計算書、キャッシュフロー計算書、注記等が含まれます。

 

免除会社は、事業活動のためにライセンス・許可を取得して他の法律の規制対象とならない場合、ケイマン諸島の政府機関に財務諸表を提出し、監査人を雇って財務諸表の監査をやらせる必要があります。

 

啓源は香港で登録されている会計事務所であり、香港、シンガポール、米国の会計基準に基づきケイマン諸島会社の財務諸表を作成し、財務諸表の監査をするサービスを提供することができます。

 

  1. 株主の責任

 

株主は、全額を振り込んでいない場合、株式を引き受ける際に承諾した出資額を会社に支払う義務があります。それ以外は、会社の債務に対して株主は何の責任も負いません。株主が出資額を全額振り込んでいない場合、会社からの出資通知を受け取った後所定の期限に出資をする必要があります。さもなければ、保有する株が没収される可能性があります。

 

実際に、ほとんどの会社は条項で全額出資を規定した上で設立又は株式発行の手続きを行います。資金を全額振り込んだことが関連条項に明確にされた場合、株主は出資の義務がなくなります。

 

  1. 株式譲渡

 

ケイマン諸島免除会社は、株式譲渡が自由か否かを定款に定める場合が多いです。通常、免除会社の株式を譲渡する前に取締役会の同意を得る必要があります。従って、株主は、保有するケイマン諸島免除会社の株式の全部又は一部を譲渡する前に、取締役会に通知して同意を取得する必要があります。株式譲渡手続きが完了した後、会社は即時に株式名簿を更新する必要があります。

 

会社は無記名株式を発行することができますが、無記名株式の発行・保管が厳しく規制されています。一般的に、無記名株式は認められているカストディアンのみに発効できます。

 

免除会社は自己株式を保有することができます。

 

ケイマン諸島政府は、株式譲渡に対して印紙税を課しません。

 

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