goo blog サービス終了のお知らせ 

会計ニュース・コレクター(小石川経理研究所)

(株)EduLabにおける有価証券報告書等の虚偽記載に対する課徴金納付命令の決定について(金融庁)(課徴金2億3705万5000円)

(株)EduLabにおける有価証券報告書等の虚偽記載に対する課徴金納付命令の決定について

金融庁は、(株)EduLab(東証グロース)(当時はマザーズ→1部だったようです)に対する課徴金納付命令を、2025年4月24日付で決定しました。

課徴金の額は、2億3705万5000円です。

「被審人又は被審人の連結子会社は、売上の過大計上及び事業損失引当金の不計上等の不適正な会計処理を行った。」

この結果、「重要な事項につき虚偽の記載がある有価証券報告書及び四半期報告書」、「重要な事項につき虚偽の記載がある有価証券届出書」を提出したなどとされています。

当サイトの関連記事(監視委の勧告時)、その2(第1回審判期日発表)もご覧ください。

証券取引等監視委員会による課徴金納付命令勧告が出たのは、2023年10月で、1年半も経っています。

会社と金融庁は、重要虚偽記載の有無について争っていて、めずらしく、実質的な審判手続が行われています。そのため「違反事実認定の補足説明」が記載されています。

「被審人は、上記各違反事実のうち、被審人又は被審人の連結子会社が、売上の過大計上及び事業損失引当金の不計上等の不適正な会計処理を行ったことを否認し、かつ、違反事実の表1(以下、単に「表1」という。)記載の各有価証券報告書及び四半期報告書(以下「本件継続開示書類」という。)、並びに、違反事実の表2(以下、単に「表2」という。)記載の各有価証券届出書(以下「本件発行開示書類」という。)に「重要な事項につき虚偽の記載」があることを争っている
そこで、上記各違反事実を認定した理由について、以下、補足して説明する。」

100ページ以上あり、正確に理解するには相当気合いを入れて、参照されている基準・報告書なども見ながら、読まないといけないようです。

収益認識が重要論点で、収益認識会計基準適用前であるため、企業会計原則や協会の研究報告なども参照して、ソフトウェアやITがらみのサービスの収益認識について議論しているようです。基本的に、会社が一括計上で売上を計上しているのに対し、金融庁側は期間按分(あるいは配信数量で按分)だといっているようです。

 問題となっている会計処理。このような会計処理だったことについては概ね争いはないそうです。

「被審人又は連結子会社であるJIEMによる会計処理

ア JIEMは、法人Aと共同で実施運営したI事業に係る取引に関する会計処理において、事業損失引当金を計上しなかった。

イ JIEMは、E社、F社、J社及びG社の4社との間で実施した、K事業に係る取引に関する会計処理において、売上を期間按分することなく一括して計上した。

 ウ JIEMは、同社と法人Aとの間のサポートシステム(以下「サポシステム」という。)に係る要件定義についての業務委託に係る取引に関する会計処理において、売上を期間按分することなく一括して計上した。

 エ 被審人は、L社との間のコンテンツ提供等に関する業務提携に係る取引に関する会計処理において、売上を期間按分することなく一括して計上した。

 オ JIEMは、法人Aと実施した××××機能向上のための追加開発業務等に係る取引に関する会計処理において、売上を期間按分することなく一括して計上した。

 カ JIEMは、同社、法人A及びE社の3社(なお、E社の契約の地位は後にG社に承継されている。)において実施したM事業に係る取引に関する会計処理において、受領した委託料の全額を売上として期間按分することなく一括計上した。

 キ JIEMは、同社と法人Aとの間のソフトウェア使用権売買に係る取引に関する会計処理において、売上を期間按分することなく一括して計上した。

ク JIEMは、N社との広告取引に関する会計処理において、売上を配信数量で按分することなく一括して計上した。」

当時の監査人だったあずさ監査法人も登場します。

収益認識会計基準導入前の事例とはいえ、同基準適用上の論点となりそうな取引が問題となっており、収益認識に関して金融庁の考え方を知るうえで参考になるかもしれません。(どこかで解説記事が出るとよいのですが)

会社のプレスリリース。

金融庁による課徴金納付命令の決定について(EduLab)(PDFファイル)

「なお、当社は、2023 年 10 月 20 日付「証券取引等監視委員会による課徴金納付命令の勧告について」で開示いたしましたとおり、2022 年9月期及び 2023 年9月期において、すでに引当金として計237 百万円を特別損失に計上しておりますので、上記決定が当期(2025 年9月期)の業績に与える影響はございません。

当社としましては、審判手続における当社の主張が認められず、上記決定に至ったことは大変遺憾でありますが、諸般の事情を勘案の上、当該納付命令及び納付告知書に従い、速やかに課徴金を国庫に納付する予定です。」

名前:
コメント:

※文字化け等の原因になりますので顔文字の投稿はお控えください。

コメント利用規約に同意の上コメント投稿を行ってください。

 

  • Xでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

最近の「金融庁」カテゴリーもっと見る

最近の記事
バックナンバー
人気記事