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「四半期レビュー基準の期中レビュー基準への改訂に係る意見書」ほかの公表(金融庁)

「四半期レビュー基準の期中レビュー基準への改訂に係る意見書」及び「監査に関する品質管理基準の改訂に係る意見書」の公表について

金融庁は、「四半期レビュー基準の期中レビュー基準への改訂に係る意見書」を、2024年3月12日付で公表しました。

「四半期レビュー基準について、改正後の金融商品取引法における中間財務諸表に対するレビューに加えて、一本化後の半期決算短信におけるレビューも含め、年度の財務諸表の監査を実施する監査人が行う期中レビューの全てに共通するものとする方向で改訂の検討を進めることとし、令和5(2023)年 12 月、監査部会において公開草案を公表し、広く各界の意見を求め、寄せられた意見を参考としつつ、公開草案の内容を一部修正して、これを「四半期レビュー基準の期中レビュー基準への改訂に係る意見書」として公表することとした。」(「一 経 緯」より)

主な改訂点は以下のとおり(上記意見書より)。

1 期中レビュー基準への名称変更

  • 四半期レビュー基準の名称を期中レビュー基準に改める。

2 期中レビューの目的の改訂

  • 一般目的の期中財務諸表を対象とした適正性に関する結論の表明を基本としつつ、一般目的の期中財務諸表又は特別目的の期中財務諸表を対象とした準拠性に関する結論の表明が可能であることを明確にした。

3 実施基準の改訂

  • 期中レビューの実施に当たっては、準拠性に関する結論の表明の場合であっても、「第二 実施基準」が当然に適用される。
  • 継続企業の前提に関する手続についても、準拠性に関する結論の表明の場合であっても、適正性に関する結論の表明の場合と同様である。
  • 期中財務諸表を構成する貸借対照表等の個別の財務表や個別の財務諸表項目等に対する期中レビューの結論を表明する場合についても、期中レビュー基準が適用される(その際、期中レビュー基準中「期中財務諸表」とあるのは、必要に応じ「個別の期中財務表」又は「個別の期中財務諸表項目等」と読み替える)。
  • 監査人は、特別目的の期中財務諸表の期中レビューを行うに当たり、当該期中財務諸表の作成の基準が受入可能かどうかについて十分な検討を行わなければならない。
  • 特別目的の期中財務諸表の期中レビューを行うに当たっては、当該期中財務諸表が特別の利用目的に適合した会計の基準に準拠して作成されていることに留意する。

4 報告基準の改訂

  • 適正性に関する結論の表明について特別の利用目的に適合した会計の基準により作成される期中財務諸表の場合を付記するとともに、これに加えて、準拠性に関する結論の表明について規定(「1 結論の表明」)。
  • 準拠性に関する結論を表明するに当たって、監査人は、経営者が採用した会計方針が、会計の基準に準拠して継続的に適用されているかどうか、期中財務諸表が表示のルールに準拠しているかどうかについて形式的に確認するだけではなく、当該会計方針の選択及び適用方法が適切であるかどうかについて、会計事象や取引の実態に照らして判断しなければならない。
  • 特別目的の期中財務諸表に対する期中レビュー報告書を作成する場合には、期中レビュー報告書に、会計の基準、期中財務諸表の作成の目的及び想定される主な利用者の範囲を記載するとともに、期中財務諸表は特別の利用目的に適合した会計の基準に準拠して作成されており、他の目的には適合しないことがある旨を記載しなければならない(「14 特別目的の期中財務諸表に対する期中レビューの場合の追記情報」)。
  • 期中レビュー報告書が特定の者のみによる利用を想定しており、当該期中レビュー報告書に配布又は利用の制限を付すことが適切であると考える場合には、その旨を記載しなければならない。

このほか、「不正リスク対応基準との関係」についてふれています。

「 期中レビューについては、年度監査と同様の合理的保証を得ることを目的としているものではないことから、不正リスク対応基準は期中レビューには適用されない

なお、期中レビューの過程において、期中財務諸表に不正リスク対応基準に規定している不正による重要な虚偽の表示を示唆する状況を識別した場合等には、監査人は、必要に応じて、期中レビュー基準に従って、追加的手続を実施することになる。」

令和6年4月1日以後開始する期中財務諸表に係る会計期間の期中財務諸表に対する期中レビューから適用です。

ただし、改正後の金融商品取引法第 24 条の5第1項の表の第1号の中欄に掲げる事項を記載した半期報告書に含まれる中間財務諸表の期中レビューについては、期中レビュー基準を適用します。

(適用時期については、公開草案のときに引用した図(決算月ごとに図示したもの)をご覧ください(→当サイトの関連記事)。)

(第2四半期の四半期レビューに代わる金商法中間財務諸表のレビューに関しては、従来と何も変わっていません。四半期決算短信のレビューを想定した準拠性の結論などの規定が加わって、すこし複雑になっているだけでしょう。)

監査に関する品質管理基準」も同日付で改訂されていますが、期中レビューについて品質管理基準が準用されるように改めるというものです。

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