粉飾を見逃した東芝の監査人に「業務停止命令など厳しい処分が出る可能性もある」という観測記事。
「日本を代表する名門企業の不正会計の責任を追及する声は、東芝の経営陣だけでなく、同社の監査を長年担当してきた新日本監査法人にも向かっている。
「新日本監査法人は何をしていたのか。不正リスク対応基準を作ったのは、何のためだったのか」――。かつて金融庁の企業会計審議会で「不正リスク対応基準」の作成に携わった関係者の1人はこう嘆く。...
会計の専門家は、新日本監査法人の担当者が「職業的懐疑心」をもって、東芝の監査にあたっていたのかどうかに着目している。」
「金融庁と公認会計士・監査審査会は現在、急ピッチで検証作業にあたっている。関係筋によると、金融庁は年内をめどに、新日本監査法人と、同法人で東芝を担当していた業務執行社員への処分を決める方針だ。
金融庁のある幹部は「新日本監査法人の責任は重い」と話す。四大監査法人の一角で、しかもオリンパス事件で業務改善命令を受けたこともある新日本監査法人。
長年にわたって東芝の不正を見抜けなかった事実は重いとして、業務改善命令より重い業務停止命令も視野に入れて調査を進めているもようだ。
ただ、金融庁内には、不正の根源は東芝側にあるとして、監査法人に厳しい処分を出すことの弊害を懸念する声もある。」
「業務停止命令による監査難民発生の弊害を防ぐために、今回は業務改善命令と課徴金納付命令が同時に出される可能性もある。金融庁は監査法人への課徴金制度を2008年に導入。これまで適用事例はないが、課徴金納付命令の趣旨は当該監査法人に経済的ダメージを与え、再発防止に導くことにある。」
東芝にとっては、73億円の課徴金といっても、一つの赤字プロジェクトの赤字額ぐらいの影響しかなく、また、本業自体は全く制限を受けないわけですが、監査法人に業務停止となれば、事務所をたたまなければならないのとほとんど同じですから、ペナルティのバランスが悪すぎます。常識的には、業務停止はないと思われますが、記事によれば「幹部のひとりは、新日本監査法人に厳しい処分を出すことで、監査の信頼回復への一歩につなげたい」といっていて、一罰百戒を狙っているようです。予断は許されません。
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