日産自動車が、ゴーン元会長に100億円の損害賠償を求めて提訴したという記事。
「日産が2019年9月に発表した社内調査によると、元会長は取締役会に詳しい事情を明かさず、最高経営責任者(CEO)予備費から知人の会社や国外の販売代理店に計4670万ドルを支出。海外子会社の資金約2700万ドルをブラジルやレバノンの住宅購入費などに流用したとされる。不正行為の規模は350億円を超えるとした。」
仮にゴーン氏の不正により100億円の損害があったとして、それは内部統制の不備によって生じたものともいえるでしょうから、内部統制構築に責任のあった他の取締役に対しても、当然責任追及すべきでしょう。裁判になれば、証拠が明らかになるでしょうから、それを使って、ゴーン氏以外の取締役に対する株主代表訴訟も起きるかもしれません。
100億円の内訳については、会社のプレスリリースをみても、項目ごとの金額までは明らかになっていません。調査費用や当局の調査への対応費用も含まれているようです。
350億円もの不正があったと会社は主張していたのに、100億円しか訴訟をしなかったのも不思議です。350億円の不正だと宣伝していたわけですから、投資家は、その金額を当然ゴーン氏やその他の取締役に請求し、それが裁判で100%回収できないとしても、そのうちの何割かは回収できて、会社の将来の業績にプラスになると判断するでしょう。それがもし水増しされていた場合には、虚偽記載ということになるでしょう。
会社のプレスリリース。
日産、元会長カルロス・ゴーンに対して、不正行為による 100 億円の損害賠償を請求(日産自動車)(PDFファイル)
「賠償金は、下記項目をはじめとする、長年にわたるゴーン氏の不正行為により発生した支出をもとに算定しております。
9 月 9 日の社内調査結果に係る当社のリリースで発表したゴーン氏の不正行為(CEO リザーブによる不正支出、海外の住居の無償使用、姉に対する支払い、レバノンの教育機関への寄付、レバノンの弁護士への支払い、コーポレートジェットの私的利用等)に関する支払い
同氏による不正行為に関する内部調査に要したリソース
日本、米国、オランダおよびその他地域で発生した当局調査対応等の費用 」
当サイトの関連記事(350億円規模の不正があったという日産の発表について)
その2(日産がゴーン氏らの不正行為の調査に2億ドル以上を費やしているという報道について)
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