かんぽ生命保険の不適切販売や東芝連結子会社の架空取引(他の上場会社も関与)などの企業不正・不祥事と関連づけて、内部統制を取り上げた社説。
「本来、企業は不正を防ぐ仕組みや社内ルールとして、内部統制を整えることが求められる。業務の効率化だけでなく、法令を守り、財務報告の信頼性を高めるのが内部統制の重要な柱だ。問題企業はこれが機能していなかった。
内部統制の考え方は、2000年代に会計不正が相次いだ米国が本格導入し、日本も取り入れた。有効に内部統制が働いているか企業自身が評価し、監査法人が監査する報告制度もつくった。
ところが近年、その形骸化が叫ばれる。問題企業の多くがそれまで、内部統制は機能していると報告していた。いざ不祥事が起きてから、内部統制に不備があったと遡って訂正をする繰り返しだ。
企業側に内部統制は負担が重いと不満があると聞く。それは業務のチェック表を埋める作業程度にしかみていないからではないか。」
細かいことをいうと、「有効に内部統制が働いているか企業自身が評価し、監査法人が監査する報告制度」は、金商法の制度であり、対象も、財務報告に関する部分だけです。財務報告だけでない、より広い意味での内部統制は、会社法の世界でしょう。
金商法の内部統制評価・報告・監査制度について、会計不正のあるたびに、過年度の報告書が訂正されており、意味ないのではないか、形骸化しているのではないかという見方はもっともですが、全体を見れば、内部統制に対する意識は高まり、改善されているのではないでしょうか。制度の効果を、どこかで客観的に検証する時期が来ているように思われます。
会社法の方は、よくわかりません。金商法のように、監督機関があるわけではなく、外部からチェックする仕組みもないので、民事裁判で、会社や取締役・監査役への重いペナルティが課せられ、それを見て他の会社も徐々に改善していくということなのでしょう。
会計士協会でも、2018年に報告書を出して、改善策を提案しているようです(金商法の制度が対象ですが)。
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