東京商工リサーチの調べによると、2019年に「粉飾決算」が確認された倒産が18件あったそうです(前の年は9件)。
「粉飾決算に手を染めたきっかけは様々だが、「海外での投資失敗の隠蔽」や「業績低迷(赤字)で取引先からの支払条件が厳しくなった」などの事業上の要因だけでなく、「代表者の相続税を支払うため」など、事業承継に絡む時代を反映した要因も少なくない。
また、30年にわたり粉飾決算を続けていた(株)開成コーポレーション(埼玉県・破産)のように、粉飾決算の期間が30年、15年、10年など、長期にわたるケースも目立った。」
この記事では、開成コーポレーションのほか、いくつかの粉飾事例を挙げています。
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2019年を振り返って(後編)(東京商工リサーチ)
「「粉飾決算」は金融機関から融資を受ける目的や、取引先から信用を得るために決算書をよく見せるために行われる。「税務署用」、「金融機関用」、「信用調査会社用」の3種類の決算書が作成されることもある。だが、急に粉飾決算が増えたわけでなく、粉飾していた企業の倒産が増えたというべきだろう。
2019年の代表的な「粉飾決算」では、クラフト用品・裁縫用品企画販売の(株)サンヒット(TSR企業コード:292785178)がある。海外進出での投資失敗などを隠すため、15年間にわたり粉飾決算に手を染めていた。20行を超える金融機関を欺くために、金融機関ごとに違う決算書を作成していたが、金融機関で債務の一本化を図るために提出した決算書が他の金融機関向けのもので粉飾決算が発覚した。
また、注文住宅建築・リフォーム工事ほかの(株)開成コーポレーション(TSR企業コード:310034329)。申立書には、「貸借対照表上で完成工事未収金や未成工事支出金を早期に計上することで資産を過大に計上。また、損益計算書では、完成工事高に未完成の工事を含めて売上に計上していた。これらの決算操作を30年間にわたって行っていたため、現時点で適正な額を認識するには多大な事務負担が生じる」と記載されている。一方、金融機関が粉飾決算を見破ったが、「金融機関が企業を再生させる支援の動きもあった」との話もある。
医療機器・理化学機器販売などの(株)エル・エム・エス(TSR企業コード:292272499)は、税務署用と金融機関用の決算書を作成。円安による仕入価格の上昇で数年前から業績が低下したことに加えて、取引先への支援で資金繰りが悪化していた。税務署用は販売奨励金を前倒し計上することで赤字を回避、金融機関用は長期にわたり回収できなかった売掛金の短期貸付金を他の勘定科目に振り替え、さらに税務署用よりも総資産を圧縮していた。」
3社のうち、2番目と3番目は、収益(または費用のマイナス項目)の先行計上であり、ありがちな不正だと思われます。何年も継続していたとすると、前期比較などだけではわからないのかもしれません。
粉飾決算ではありませんが、上場会社の倒産は1社だけだったそうです。
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2019年「上場企業」倒産状況(速報値:12月27日15時現在)(東京商工リサーチ)
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