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過年度の有価証券報告書等の訂正報告書の提出及び過年度の決算短信の訂正に関するお知らせ(A b a l a n c e)

過年度の有価証券報告書等の訂正報告書の提出及び過年度の決算短信の訂正に関するお知らせ(PDFファイル)

A b a l a n c e(東証スタンダード)のプレスリリース(2024年3月14日)。

有償支給取引の会計処理誤りで、過年度遡及訂正を行ったとのことです。

「当社の連結子会社である WWB 株式会社と太陽光発電所の建設工事業者との間の一部の取引において有償支給取引が行われており、収益認識に関する会計基準の適用指針(企業会計基準適用指針第 30 号)に照らすと売上及び売上原価が誤って計上されていることが判明したため、過年度の決算を訂正することといたしました。

これらの決算修正により、過年度に遡及し類似取引を調査した結果、過去に提出済みの有価証券報告書等に記載されている連結財務諸表を訂正することといたしました。」

2022年6月期と2023年6月期の有報と四半期報告書、2024年6月期第一四半期の四半期報告書などが対象です。

2023年6月期で影響額をみると...

プレスリリースで示されている監査等委員会による調査報告書概要によると「当時の担当者の知識不足及び部門間の連携不足が原因で誤謬による会計処理の誤りが発見され、開示済決算内容の修正を行うと共に、再発防止策の提言を行った」とのことです。

訂正報告書をみると、「機械装置及び運搬具」や「建設仮勘定」、キャッシュフロー計算書の「有形固定資産の取得による支出」も訂正されています。訂正されていなければ、有償支給による利益(訂正額から推測してそれなりに大きな金額です)が固定資産の取得原価に含まれてしまっていたのでしょう。

内部統制報告書も訂正されています。

「内部統制報告書の訂正報告書」の提出に関するお知らせ(PDFファイル)

プレスリリースで引用されている訂正内容より。

「当社の連結子会社である WWB 株式会社と太陽光発電所の建設工事業者との間の一部の取引において有償支給取引が行われており、収益認識に関する会計基準の適用指針(企業会計基準適用指針第 30 号)に照らすと売上及び売上原価が誤って計上されていることが判明いたしました。

過去の類似取引を調査した結果、類似取引が存在することが判明したことから、過年度の決算を訂正するとともに、2022 年 6 月期から 2023 年 6 月期までの有価証券報告書について、訂正報告書を提出いたしました。

また、当社監査等委員会による調査の結果、当社の社外取締役より以下のような内部統制上の不備が指摘されました。
(1) WWB 株式会社の事業部において有償支給取引の会計処理にかかる理解が十分ではなかったこと。
(2) 当該有償支給取引にかかる必要な情報が WWB 株式会社の事業部と当社経理部の間で十分に共有されず、結果的に当社経理部の当該取引に関する理解が十分でなかったため、当社経理部において当該取引が有償支給取引に該当すると判断出来なかったこと。また、監査法人に対して本件取引に関する重要な情報が網羅的に開示されなかったこと。
(3) 一部の連結決算担当者に業務が集中し、会社の連結決算が機械的に処理されていたことにより、有償支給取引にかかる会計処理が適切に行われなかったこと。 」

有報を見ると、海外子会社で太陽光パネルの製造販売業を行っているようです。仮に海外子会社から仕入れた太陽光パネルを工事業者に有償支給していたとすると、有償支給に対応する海外子会社で発生した利益を未実現利益として連結で消去しないといけないのでしょう(機械的に在庫分しか消去していなかった?)。

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