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「気候関連リスクに係る共通シナリオに基づくシナリオ分析の試行的取組について」の公表(金融庁)

「気候関連リスクに係る共通シナリオに基づくシナリオ分析の試行的取組について」の公表

金融庁と日本銀行は、「気候関連リスクに係る共通シナリオに基づくシナリオ分析の試行的取組について」を、2022年8月26日に公表しました。

「3メガバンク及び大手3損保グループと連携して、NGFS(The Network for Greening the Financial System:気候変動リスク等に係る金融当局ネットワーク)が公表するシナリオを共通シナリオとしたシナリオ分析の試行的取組(パイロットエクササイズ)を実施」し、その分析結果、主な論点・課題について取りまとめたとのことです。

30ページほどの資料です。

この資料の「概要」によると...

「分析手法としては、NGFSシナリオ(Net Zero 2050、Delayed transition、Current policies の3シナリオを使用)をベースとした基本的な枠組みを金融庁・日本銀行で設定し、同枠組みを基に、各金融機関で自身のモデルをアレンジし分析作業を実施するいわゆるボトムアップ型の手法を採用した。」

「今回の銀行を対象とした分析の結果、移行リスク及び物理的リスクによる年平均の信用コストの増加額については、各行の平均的な年間の純利益と比べて相応に低い水準となった。また、モデルや対象セクターが異なるため一概に比較することは難しいが、各行が TCFD レポートで公表している結果と大きな差はみられなかった。...この結果をもって、気候関連リスクの影響度合いについて確定的な評価を行えるものではない...」

「銀行を対象とするシナリオ分析については、各行のモデルやモデルで使用する変数の選択の相違に加え、特に将来見通しに関する情報・データの不足を背景に、分析対象セクターの事業や利用技術の変化、顧客企業の事業構造転換の有無や新規投資に係る資金調達の見通し、炭素価格の上昇の販売価格への転嫁等に関して、各行の想定・仮定にはバラツキがあり、これが各行の推計結果にも影響を与えていたことが明らかになった。」

「各行のリスク推計上の課題を水平比較により把握し、リスク管理の高度化を図る観点からは、今後、前提となる想定・仮定の共通化を進めることを含め、どのように比較可能性を確保するかについて継続的な検討を行うことが重要である。また、各行がシナリオ分析を顧客企業の気候変動対応に対する支援に取組むにあたって活用していくという観点からは、個別企業についての分析の精緻化も期待される。その際、関連する産業全体の構造転換が個別企業に与える影響や支援等を通じた個別企業の事業転換による影響の把握等についても今後検討していくことが考えられる。」

金融庁・日銀、気候変動リスクのシナリオ分析を試行的に実施(ロイター)

「銀行については、21年3月末時点の全与信を対象に、カーボンニュートラルへの移行に伴う規制や技術の変化といった「移行リスク」自然災害の激甚化がもたらす「物理的リスク」が財務に与える影響を分析した。ただ、将来見通しに関する情報の不足で各社の想定にばらつきが出て、推計結果にも影響が出た。

今回は定量的な影響度の評価を主眼としなかったため、移行リスクおよび物理的リスクによる年平均の信用コストの増加額は「各行の平均的な年間の純利益と比べて相応に低い水準となった」との記述にとどめた。各行がすでに公表している分析結果とも「大きな差はみられなかった」という。

損保に対するシナリオ分析では、1959年の伊勢湾台風を前提に中心気圧を下げてより激甚化するケースを想定した。中心気圧が下がるほど保険金支払額は増加したが、中心気圧を下げた場合の台風の半径の設定が各社で異なるなどしたため、保険金支払い額にばらつきが出た。」

米カリフォルニア州、2035年にハイブリッド車も販売禁止(日経)

「米カリフォルニア州の環境当局は25日、2035年にガソリンのみで駆動する新車の販売を全面禁止する新たな規制案を決定した。」

移行リスクの典型?

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