会計ニュース・コレクター(小石川経理研究所)

塩野義製薬に400億円申告漏れ指摘 異議申し立てへ(日経より)

塩野義製薬に400億円申告漏れ指摘 異議申し立てへ

塩野義製薬が大阪国税局から約400億円の申告漏れを指摘されたという記事。組織再編税制がらみのようです。

「指摘があったのは、抗エイズウイルス(HIV)治療薬開発のため、英ViiVヘルスケア社と英国で共同出資していた会社(JV)への出資を巡る税務処理。

塩野義の説明などによると、同社はJVの持ち分を連結対象の英子会社に現物出資した際、簿価(約130億円)で算定して税務申告していた。

だが英子会社はこの持ち分をViiV社に譲渡し、対価として同社株10%(時価約530億円)を取得。同国税局は、差額に相当する約400億円に対して塩野義の課税対象の所得に当たると判断したとみられる。

塩野義側はJV持ち分の現物出資について、海外同士の資産移転などの一定条件を満たせば簿価で譲渡したものとして算定できる「適格要件」に当たると判断。国税局側は適格要件に当たらず、時価算定しなければならないと認定したもようだ。」

国税の見方は、取引の全体をみれば、塩野義製薬がJVへの持分を外部に売却しただけでないか、グループ内の再編でも何でもないということなのでしょう。英国子会社における現地の課税については、(日本の税金の話ではないので?)記事ではふれていませんが、もし、時価で現物出資が行われたという扱いになっていると、売却(交換)益も計上されず、完全に課税を免れるというスキームなのかもしれません。

大きな金額の事案なので、そのうちに専門雑誌などで詳しい解説が掲載されるのではないでしょうか。正確な情報は、そういうものをご覧ください。

大阪国税局からの更正通知書の受領について(塩野義製薬)(PDFファイル)

「当社は、平成24 年10 月に英国製薬会社 ViiV 社と抗 HIV 薬に関する新たな枠組みについて契約を締結しました。抗 HIV 薬の開発は当社と ViiV 社との持分50:50 のパートナーシップであるShionogi-ViiV-Healthcare (以下 JV)において実施しておりましたが、新たな枠組みに移行する再編の過程において、当社は JV 持分を当社の英国子会社である Shionogi Limited へ現物出資しております。

当社は、 この現物出資に関する税制上の適格性については事前に当局に照会し、 その確認を得たう えで再編を行いました。それにもかかわらず、今般、当局は、当社に対して合理的な説明を行うことなしに、事前照会の結論を覆し、 当該現物出資は税制非適格に該当するとして課税処分を行ってきました。

この処分は、当社にとって、まことに遺憾であり、まったく承服できるものではありません。従いまして、当社は今回の更正処分に対して、遅滞なく不服申し立て等あらゆる必要な措置を講じていく予定であります。」

組織再編税制の概要(財務省)(1冊の本になるくらいのテーマですが、1ページに収まっています。)
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