会計ニュース・コレクター(小石川経理研究所)

賃料未払い、拠点はもぬけの殻「空飛ぶバイク」開発の企業を提訴へ(朝日より)

賃料未払い、拠点はもぬけの殻「空飛ぶバイク」開発の企業を提訴へ

「空飛ぶバイク」を開発していた「A.L.I.Technologies」というベンチャー企業が、山梨県身延町の町施設の賃料を未払いのまま、連絡不能となっているという記事。

「同社は、次世代の乗り物として開発を進めるホバーバイクの開発・製造拠点として、廃校となった中学校校舎の一部を借りる契約を身延町と2022年4月に締結した。22年度分の賃料は支払われたが、23年度分の請求書を昨年10月に郵送したところ、返送されてきた。メールも届かず、同11月に職員が本社所在地のビルを訪ねたが、すでに引き払っていたという。」

こちらの記事によると、この会社の米国親会社がSPAC上場したところ、資金調達するどころか、資金が枯渇してしまい、その影響を受けたようです。また、そもそも、開発体制が貧弱なものだったようです。

A.L.I.Technologiesの見た夢とは?「SPAC上場失敗で見えたドローン業界への影響」(2023年10月)(DRONE)

「A.L.I.の米国親会社AERWINSが、2022年8月に特別買収目的会社のPONO CAPITALと合併し、翌年2月4日にA.L.I.はNASDAQ上場企業となった。2月6日よりAERWINSとして市場取引が始まった。」

「A.L.I.の資金難が表面化したのは上場直後の2月だ。一般出資者が一斉にPONO側から資金を引き揚げた。SPACでは、一般投資家は、合併相手を見極め、株式保有について判断する権利を有し株式の償還が可能だ。

AERWINSの場合、SPACの一般投資家のほぼ全員が資金を引き揚げ、99%が償還されてしまった。実に総額1億6000万ドルは160万ドルまで目減りした。上場で資金調達するはずが、その当てが外れてしまったためにA.L.I.は窮地へと追い込まれた。

さらには上場完了発表の48時間前に、本来合併完了後の上場時には16ドルの値がつくはずが、何故かPONO側で1株1ドルという新株発行が実施されている。誰が、この価格で、なぜ行われたのか?その部分は闇だ。」

「2月6日の月曜日に合併完了後初めての市場取引が始まり、A.L.I.株には売りが殺到。翌週には1ドル台まで下落し、3月以降は、1ドル以下の株価となった。10月2日現在株価は、0.23ドルだ。」

結論としては...

「国内上場を断念し、米SPAC上場を選択し、あまりにも急ぎすぎた合併、そして不完全な製品(!?)、米国親会社とのねじれの構造など多くの要因が今回の悲劇を生み出したと言える。複数の元幹部や元従業員に話を聞いたが、最後に「実際のところは万策尽きたのが正直なところです」と元経営陣がこぼした事が印象的だった。」

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