4大監査法人の純利益6割減 24年度、人材・IT投資が重荷(記事冒頭のみ)
4大監査法人の2024年度決算(トーマツ2024年5月期、他は2024年6月期)が出そろったが、純利益が合計で20億円しかなかった(6割減益)という記事。
「監査業界で「ビッグ4」と呼ばれる4大監査法人の2024年度決算が出そろった。EY新日本監査法人を除く3法人が純利益を前の年度より減らし、合計では20億円と6割減益だった。売上高は増えたものの、人工知能(AI)をはじめとするIT(情報技術)投資やサステナビリティー分野などの専門人材を確保するコストが重荷となった。」
売上高は順調に伸びています。
「監査法人の売上高は企業の財務諸表が適正かどうか意見を表明する「監査証明業務」の収入とそれ以外の「非監査証明業務」の収入で構成される。監査収入は全社が増収で、4法人合計で7%増の3199億円だった。IT投資や人件費といったコストが増えるなか、各社は報酬の引き上げに取り組み、顧客1社あたりの収入も増えた。」
非監査も、組織再編が影響したトーマツを除き、増収とのことです。
他方、IT関連費用や人材関連の費用が増えています。
「各法人はAIの活用で業務の効率化や品質向上に取り組み、IT関連費用が増えている。4法人合計のIT関連費用は24年度に295億円と前の年度より17%増え、5年前からは73%増えた。トーマツの関連費用は24年度に前の年度より15%増えた。あずさも33%増えた。AIを使った監査ツールなどの開発費用が継続的に増えているという。
人件費や研修費など人材関連の費用も重い。4法人合計の関連費用は3153億円と5%増えた。各社は公認会計士の待遇改善に取り組み、非財務関連の専門人材の採用を増やしている。あずさは4%増えた。ベースアップ(ベア)を実施し、サステナビリティーやデジタル関連の人材採用を増やした。海外派遣や生成AIの研修費用も増えた。」
上場企業なら、利益をあげて株主に還元するのが、目的となりますが、監査法人の場合、所有者であるパートナーへの還元は、大部分、費用であるパートナーの報酬として行われます。したがって、利益水準自体にはあまり意味がないように思われます。もちろん、赤字だと、クライアントなどから財務基盤が不安視されて経営上マイナスでしょうから、それはできるだけ避けるでしょう。十数年前の大手監査法人大リストラも、赤字がきっかけだったように思います。
また、せっかく大手監査法人の決算をとりあげるのなら、グルーバルネットワークへの上納金についても調べてもらえるとおもしろいのですが。