会計ニュース・コレクター(小石川経理研究所)

ソフトバンク、新株予約権の行使に係る営業外費用の発生について

ソフトバンク、新株予約権の行使に係る営業外費用の発生について

新株引受権が行使されたことに伴い、営業外費用19億円を計上するというソフトバンクのプレスリリース。新株予約権行使による払込金額の総額は、44,088百万円です。

営業外費用は、「新株予約権の行使者に対して、権利行使期間に関する利益の放棄に伴う対価約19億円を支払うもの」とのことです。9月28日の日経新聞には若干詳しい説明があり、「新株予約権の権利行使期間が2ヶ月以上残っているため、同期間の利益放棄に伴う対価としてゴールドマン(注:新株予約権者)へ約19億円を支払う」のだそうです。

払込総額440億円が資本金と資本準備金になるのだと思いますが、キャッシュの動きだけをみると、予約権の行使により実際にソフトバンクに入ってきたのは、440億円から19億円を差し引いた421億円になります。421億円しか実質的に払い込まれていないのに、資本金と資本準備金合わせて440億円増やすというのは、奇異に感じます。

ただし、プレスリリースと日経記事によれば、2ヶ月権利行使を先送りできる利益を放棄したことに伴う対価とのことですから、発行した新株予約権の権利のうちの一部(2ヶ月分の時間的価値の部分)を会社が買い戻して消却したと考えることもできるのかもしれません。新株予約権そのものではありませんが、自己新株予約権に関するASBJ指針(消却すれば費用)が適用されるとすれば、会社の処理でいいことになります。

ちなみに、仮に19億円の営業外費用が税務上損金になるとしたら、ソフトバンクは、421億円をゴールドマンサックスから調達し、税率40%として、7.6億円(=19億円×40%)を国から(タダで)調達した計算になります。(ゴールドマン・サックスの方は逆に税金がかかることになりますが、権利行使した取得した株式を決算期間内に売ってしまう予定であったならばもともと影響はありません。)

ブルドックソースでも、新株予約権を利用した変わったスキームが使われましたが、新株予約権についてはこれからもいろいろなパターンが出てくるのでしょうか。
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