金融庁の公認会計士・監査審査会は、「監査の品質管理に関する検査指摘事例集」を、2010年6月30日に公表しました。
「平成21年度までに実施した検査結果につき、検査で確認された事例や会計基準等の改訂等を踏まえ」改訂したとのことです。
少し長くなりますが、この中の平成21年度検査の指摘事項から、内部統制監査に関するものとITに関連するものをいくつか紹介します。
内部統制監査
「監査役の監査報告書によれば、当期に取締役会の決議を経ずに貸付が行われた旨の記載がある。・・・監査チームにおいても、監査役等へのヒアリングや議事録の閲覧等を実施し、実際には取締役会の決議が行われていることを確かめ、内部統制監査上の影響を検討した上で、内部統制上の不備に該当しないということを検討したとしているが、検討内容や結論を監査調書に記載していない。」
「被監査会社の連結財務諸表における注記事項の作成手続など、決算・財務報告プロセスに関する内部統制の不備を認識していながら、適切な管理責任者に報告していない。また、当該不備が、内部統制の重要な欠陥に該当するかを検討していない。」
「監査チームが期中で検出した内部統制の不備について、被監査会社から「期末において、不備はない」とヒアリングにより確かめたのみであり、その他の検証を行っていない。」
IT関連
「会計システムの特権IDの管理に関する全般統制に不備が識別されているが、その不備に対応した監査手続を策定していない。」
「初度監査である被監査会社の販売プロセスで利用している情報システムについて、市販の簡易なパッケージソフトではなく、外部開発されたものであり、インターネットのWebサイトで商品の注文、支払いができるレベルで電子商取引を利用していることを把握しているにもかかわらず、当該状況を検討せずに、ITの利用が限定的であるとして、ITに依存した内部統制の理解及び評価に関する手続を省略している。」
「ソフトウェアのダウンロード販売事業(インターネット上で公開しているソフトウェアを利用するための解除データをメールで顧客に送信した時点をもって売上を計上する。)の販売プロセスについて、自動化された業務処理統制を理解せずに、月次で実施される「売上明細と販売データの合計値との突合」の手作業による業務処理統制について運用評価手続を実施しているのみである。」
「被監査会社は、オンラインゲーム事業において、ゲームの中で利用される仮想通貨の販売金額から、その未使用分を、情報システムにより作成された「未使用ポイント残高の集計データ」に基づいて前受金勘定に振替えて、売上高を算定している。
しかしながら、監査チームは、前受金の勘定残高との突合に利用した「未使用ポイント残高の集計データ」について、その正確性及び網羅性を確認する手続を実施していない。」
公認会計士・監査審査会(CPAAOB)検査対策チェックリスト(この事例集が最初に出たときにチェックリスト風にまとめたものです。)
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