会計ニュース・コレクター(小石川経理研究所)

(社説)ESG開示の基準づくりへ積極関与を(日経より)

(社説)ESG開示の基準づくりへ積極関与を(記事冒頭のみ)

IFRS財団傘下の国際サステナビリティ基準審議会(ISSB)での基準づくりに日本も積極的に関与すべきという日経社説。

「企業が環境や社会問題への取り組みを投資家などに示す際の、国際的な基準づくりが始まった。全世界で35兆ドル(約4800兆円)にも達するESG(環境・社会・企業統治)投資に影響する動きだ。脱炭素戦略を進める日本は投資を呼び込むためにも、人や資金などの面で国際的な開示ルール形成への関与を強める必要がある。」

ISSBに日本から代表を送り込めたのは評価できる、日本代表を支援する体制の整備を急ぐべき、具体的な国内ルールは各国がつくり、国情を反映させる余地があるが、ISSBの議論に早い段階から参加すべき、IFRS財団による国際会計基準づくりのために日本は資金協力をしてきたが、ISSBの運営資金も相応の協力を検討することが必要、といった内容です。資金拠出については「数十億円規模の拠出を約束している国もある」とのことです。

先日公表された金融庁「金融行政方針」にも同趣旨のことが書いてありました。ただし、そこでは資金拠出についての記述はありませんでした。他方、日経社説でふれていない点として、サステナビリティ基準委員会(SSBJ)を活用して、国際発信するということにふれていました。上記社説でいえば、日本代表への支援の一環ということになるのでしょう。

上記社説や金融行政方針でいっていることは、一般論として間違っているのではないのでしょうが、ただ、ISSBの委員に選出された日本人は、基準づくりにふさわしい専門家として選ばれたわけであり、出身地域の実情を知っていて、その知識で議論に貢献できるという面はあるものの、日本の代表として、日本のために議論に参加しなければならないということはないはずです。いちいち、日本の本社にお伺いを立てないと、意見を言えないというのでは、信用を失うでしょう。日本代表というより、個人として自由に活動してもらえばよいでしょう。そもそも、日本の意見を国際発信するといっても、サステナビリティ開示に関して、日本の意見というのは何なのかという問題があります。経団連や経産省の立てた方針が、常に日本のためになる日本の意見とはいえないでしょう。

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