会計ニュース・コレクター(小石川経理研究所)

2022事務年度金融行政方針について(金融庁)

2022事務年度金融行政方針について

金融庁は、「2022事務年度 金融行政方針」を、2022年8月31日に公表しました。「直面する課題を克服し、持続的な成長を支える金融システムの構築へ」という副題がついています。

以下の3つを重点課題として取り組むとのことです。

Ⅰ.経済や国⺠⽣活の安定を⽀え、その後の成⻑へと繋ぐ

Ⅱ.社会課題解決による新たな成⻑が国⺠に還元される⾦融システムを構築する

Ⅲ.⾦融行政をさらに進化させる 

「こうした重点課題に取り組み、①金融システムの安定/金融仲介機能の発揮、②利用者保護/利用者利便、③市場の公正性・透明性/市場の活力のそれぞれを両立させることを通じ、企業・経済の持続的成⻑と安定的な資産形成等による国⺠の厚⽣の増大を目指す。」

200ページほどの資料です。概要(全1ページ)がついています。

概要より、課題のⅠとⅡについて。

社会課題解決と直接は関係なさそうな項目もありますが、キャッチフレーズみたいなものなのでしょう。

以下、本文より、開示や会計監査についてふれている部分を引用します。

「企業のガバナンスに不可欠な内部統制については、現行の内部統制報告制度に関する課題を整理の上、国際的な内部統制やリスクマネジメントの議論の進展も踏まえつつ、内部統制の実効性向上に向けた検討を行う。」(16ページ)

「投資家と企業との建設的な対話を促進し、コーポレートガバナンス改革を⽀える観点からは、企業情報の開示の充実に向けた取組みもあわせて進めることが重要である。特に、人的資本が企業の持続的な価値創造の基盤になることについて、企業と投資家との間で共通の認識を持つことが重要であり、投資家からの人的資本に関する情報のニーズも高まっていることから、有価証券報告書において、人材育成方針、社内環境整備方針、男女間賃⾦格差、女性管理職比率を含む非財務情報の開示の充実を図る。あわせて、開示の効率化を図る観点から、⾦融審議会ディスクロージャーワーキング・グループにおいて、⾦融商品取引法上の四半期報告書を廃止して、取引所規則の四半期決算短信に一本化するための具体策を検討した上で、次期通常国会に関連法案を提出する。」(同上)

「不公正取引や開示規制違反について、課徴⾦納付命令勧告を視野に入れた調査・検査を積極的・機動的に行うことにくわえ、重大で悪質な事案については的確に刑事告発を行うなど、厳正に対処する。証券モニタリングについては、適合性原則を踏まえた適正な投資勧誘等に重点を置いた内部管理態勢の構築や顧客本位の業務運営を踏まえた販売状況(特に、仕組債のような複雑なリスク構造を持つ商品の販売)等について検証するとともに、無登録業者に対しては、裁判所への申立てに係る調査権限を積極的に活用する。

また、調査・検査に伴う預貯⾦等の照会業務を既存の⺠間サービスも活用しながら電子化していくなど、業務のデジタル化を着実に進めていく。」(同上)

「上場会社の監査を行う中小監査事務所を含む担い手全体の監査品質の向上や公認会計士の能力発揮・能力向上のため、改正公認会計士法による上場会社等の監査に係る登録制度の導入や監査法人の社員の配偶関係に基づく業務制限の見直し等の円滑な施行に向け、関連の政令・内閣府令の整備を行う。あわせて、監査法人の組織的な運営に関する原則(監査法人のガバナンス・コード)が監査法人の規模等に応じた実効性のある規律を求めるものとなるよう、その改訂を行う。

公認会計士・監査審査会においては、上場会社監査の担い手としての役割が増大している中小監査事務所に対する検査をより重視してモニタリングを実施する。」(17ページ)

「各国においてサステナビリティ開示が急速に進む中、国際的な比較可能性を確保することが重要である。このため、基準策定のための国際的な議論に積極的に参画し、我が国の意見が取り込まれた国際基準の実現を目指す。

具体的には、国際サステナビリティ基準審議会(ISSB43)のサステナビリティ開示基準の策定の動きに対し、サステナビリティ基準委員会(SSBJ)を中心に国内の意見を集約し、官⺠を挙げて国際的な意見発信を行うとともに、人材面・資⾦面でも積極的な参画・貢献を行う。

また、SSBJ が、国内におけるサステナビリティ開示の具体的内容を検討するにあたり、その役割を積極的に果たせるよう、⾦融審議会ディスクロージャーワーキング・グループにおいて、SSBJ の法令上の位置づけ等について検討を行う。 」(18ページ)

金融庁、銀行の有価証券運用や外貨流動性を重点検証 米利上げで警戒感(ロイター)

「金融庁は31日、新たな行政方針を公表し、銀行の有価証券運用や外貨流動性のリスク管理を重点的に検証していくとした。米連邦準備理事会(FRB)の急速な利上げで米債利回りが上昇、メガバンクや地方銀行で外債の含み損が膨らんでいることに対応する。」

「FRBの急ピッチの利上げを背景に米債利回りが急伸したことで、メガバンク3グループの外債の含み損は6月末時点で合計2兆6569億円と、3月末の1.5倍に拡大。SMBC日興証券の集計によると、上場している地方銀行の外債・投信などの含み損は3月末の約1800億円から6月末は約9800億円と、5.4倍に膨れ上がった。米金利の上昇を主因に、米ドルの調達コストも上昇している。」

「地方銀行については、「リスクテイクの状況に応じたリスク管理の高度化を進める必要がある」と強調。大口の与信先を含む信用リスクの管理状況、短期的な市場変動への対応を含めた有価証券運用の管理状況、新たに積極的に取り組んでいる施策のリスク管理状況などについて「必要に応じて検査なども活用し、モニタリングしていく」とした。大口与信先やコロナ関連業種などの信用状況、市況の変化が「各行の期間収益や健全性に与える影響を常時把握し、必要となる対応を早め早めに促していく」とも記した。」

全世代の金融リテラシー向上に体制整備へ 金融庁、22年度方針(朝日)

「金融庁は31日、2022事務年度(7月~来年6月)に重点的に取り組む課題をまとめた金融行政方針を発表し、社会人を含めた幅広い世代の金融リテラシー(知識)を向上させる体制づくりを柱の一つに掲げた。」

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