問題だらけの脱炭素開示 米国は大幅後退、日本の金融庁に募る不満(記事の一部のみ)
気候変動関連の開示強化について、疑問視する声があるという記事。
「脱炭素の掛け声の下、企業に気候変動関連の開示を迫る動きが続いてきた。だが、企業側の負担が重く、効果も見えにくい開示に対し、疑問の声が出始めている。」
現状では、温暖化ガス排出量の開示はまだ限定的ですが...
「企業の開示が限定的な現状に、金融庁は金融商品取引法の開示義務で切り込む。金融庁の試案のうち最も早期のケースでは、27年3月期にも東証プライム市場に上場する時価総額3兆円以上の企業を対象に、スコープ1・2・3全てを開示することを義務化する。最終的にはプライム上場企業の全ての開示を義務化する構想だ。」
学者のコメント。
「金商法に詳しい甲南大学の梅本剛正教授は「温暖化ガス排出量の開示の義務化は、金商法という法律の目的を逸脱していると論じることが可能だ」と指摘する。」
当サイトの関連記事(SECの気候変動関連開示ルールをめぐる動きについての解説記事などについて)(訴訟になっていて、そこでは新開示ルールがSECの権限を超えているのではないかという議論がなされているようです。)
脱炭素開示につきコメント😐 ~金商法に平均的な投資者の投資判断に影響のない開示は入れるべきではない(梅本剛正教授のブログより)
「アメリカの議論はとても興味深く、脱炭素開示規制が投資家保護を主たる職責とするSECの規制権限の範囲内か否かにつき厳しい議論があるのは、さすがですね。一般的な投資者が大きな関心を持たない情報なのに、なぜ金商法で開示を義務付けるのか、という主張は理由があります。わが国でももっと議論があっていいのでは?日本の上場企業は、ヘンに物分かりがいいですが、筋が通らないことに対しては、不満を表明したり批判を展開していいと思うのですけどね。」
日本取引所グループ金融商品取引法研究会(サステナビリティに関する情報開示関連の報告資料なども含まれています)(←梅本教授の上記ブログで紹介されています。)
脱炭素を目指すなら、もっと直接的な規制を課したり、炭素税を導入するなどの方法の方が有効だと思いますが、たぶん、開示によってカネの流れを変えるというソフトな方法の方がよいと考える人がいるのでしょう。