会計ニュース・コレクター(小石川経理研究所)

JAL、視界不良 融資銀行足並み乱れも

asahi.com:JAL、視界不良 融資銀行足並み乱れも - ビジネス

日本航空の07年3月期連結決算が、黒字見込みから大幅赤字に転落することを取り上げた記事。

「 「少なくとも昨年は指摘されなかった。我々の問題ではなく、会計基準の厳格化という全体の流れがある」

 西松社長は監査法人からの指摘で繰り延べ税金資産を大幅に取り崩し、当期赤字に転落することになった理由を、こう解説。自らの収益見通しの甘さが原因ではない、と強調した。」

税効果会計に関して会計基準が去年と比べて特に変わったということはありません。繰延税金資産の回収可能性に関する見積もりを行う際の前提条件が悪化しているということでしょう。

「今回、赤字に転落したのは、JALの監査を引き受ける新日本監査法人の姿勢が厳格化したことがきっかけだ。

 カネボウの粉飾決算事件に加担し、日興コーディアルグループの不正会計問題にも関与した旧中央青山(現みすず)監査法人は今夏、事実上の解体に追い込まれる。新日本の幹部は「甘い監査で問題を引き起こせば法人の存続にかかわる」と危機感を隠さない。」

たしかにりそな銀行の例もあり、監査法人も神経質になっているのでしょう。建前的には去年より会計基準を厳格に適用しているとはいえません(去年が甘かったことになってしまうため)。しかし、報道されているように、金融機関に対する金融庁の検査でJAL向け債権について厳しい指導が行われているとすれば、金融機関からの支援が続かない可能性があり、回収期間を長くみることは監査人にとっては相当のリスクがあります。見積もりを行う前提が全く変わってしまったという理屈なのでしょう。

もちろん、繰延税金資産を取り崩したからといって、キャッシュ・フロー(つまり資金繰り)にはまったく影響はありません。

日航、前期最終赤字162億円

業績予想の修正に関するお知らせ(PDFファイル)

会社のプレスリリースでは、将来の課税所得の見積もりを「歴史上例を見ない激変の影響を受けた」過去の実績に基づいて行ったため、より低い数値となったという趣旨のことをいっています。

「平成19年3月期決算においては、営業利益・経常利益段階では着実に改善基調にありますが、当社は過去、燃油高騰や9・11米国同時多発テロ、イラク戦争、SARSといった国際航空輸送の歴史上例を見ない激変の影響を受け利益目標を十分に達成できてこなかったことから、今般、繰延税金資産の算定にあたっては、将来の課税所得をより慎重に見積もることとなったものです。」

しかし、これは去年も同じような状況だったのでは・・・・。
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