会計ニュース・コレクター(小石川経理研究所)

連結計算書類および計算書類に関して限定付適正意見が表明されたこと ならびに定時株主総会への計算書類承認議案の付議に関するお知らせ(東京衡機)

連結計算書類および計算書類に関して限定付適正意見が表明されたこと ならびに定時株主総会への計算書類承認議案の付議に関するお知らせ

東京衡機(東証スタンダード)のプレスリリース(2024年5月1日)。

会計監査人である監査法人アリアより、2024 年 2 月期の連結計算書類および計算書類について、限定付適正意見が表明された監査報告書を、4月30日に受領したとのことです。

引用されている監査報告書文言より。連結計算書類の監査報告書ですが、計算書類も同様です。

「(限定付適正意見の根拠)

追加情報(商事事業における不適切な売上高等の訂正)に記載されているとおり、会社は、前連結会計年度に、第三者委員会の調査結果を受け、商事事業における売上取引について第 113 期から第 117 期第2四半期までの不適切な会計処理を訂正した。

また、会社は、当連結会計年度に商事事業から撤退し、未回収となっている売掛金の回収を進めている。これらの結果、当連結会計年度の商事取引関連の長期営業債権は、359,121 千円、貸倒引当金(固定資産)は、359,121 千円、関連損益は、貸倒引当金戻入額(特別利益)158,922千円となっている。

当監査法人は前連結会計年度の監査において、商事取引の実態や資金循環の疑いを検証するため取引先の会計帳簿や預金通帳・商事取引の証憑書類の開示を要請したが、取引関係者から開示を拒否され開示を受けられないなど、取引関係者から十分かつ適切な監査協力を得ることができなかった上、商事事業の売上取引やその売上物品が実在したことを事後的に検証可能にする仕入検品時や売上物品の引渡時の客観的な記録が会社に整備されていないなど、取引の実在性を合理的に検証するための十分かつ適切なエビデンスが確認できなかった。当該監査範囲の制約は、現時点でも解消しておらず、商事取引関連の勘定残高について十分かつ適切な監査証拠を入手することができていない。したがって、当監査法人は、これらの金額に修正が必要となるかどうかについて判断することができていない。

この影響は、当連結会計年度の商事取引関連の上記の勘定科目に限定され、他の勘定科目には重要な影響を及ぼさないことから、連結計算書類全体に及ぼす影響は限定的であり、連結計算書類に及ぼす可能性のある影響は重要であるが広範ではない。このため、当監査法人は、当連結会計年度の連結計算書類について限定付適正意見を表明することとした。」

同社は、同じ日に、過年度決算訂正のリリースも出しています。

過年度決算の訂正に関するお知らせ

「1.過年度決算訂正の理由

当社は、2024 年 3 月 29 日付「調査委員会の調査報告書の受領および今後の対応に関するお知らせ」にてお知らせいたしましたとおり、当社グループにおいて当社の元取締役が関与して過去に不適切な取引が行われていた件について、不適切な取引の具体的な内容、期間、会計的な影響、類似案件の有無等を明らかにするために、2024 年 2 月 27 日付で独立社外役員のみで構成される調査委員会を設置し、2024 年 3 月 29 日に調査委員会より調査報告書を受領いたしました。

当社は、調査委員会の調査結果を受けて、元取締役が指示していた外注先に対する製造委託費の水増しおよび関係者へのキックバックについて、製造委託費が本来の請求額から水増しされている場合、水増しされた金額は本来の原価性を有せず、意図的な水増し行為を行った者に対しては返還を請求すべき金額であることから、2016 年 10 月から 2023 年 4 月(請求月ベース)まで行われた水増しされた取引の属する会計期間において、過年度の会計処理等を訂正すべきである
と判断し、対象期間における水増しされた取引について、売上原価を取り消して長期未収入金(請求権)として計上し、当該未収入金は回収可能性を勘案して貸倒引当金の計上を行うとともに、訂正期間の各期において仕掛品および製品の残高ならびに評価損の金額の修正を行いました。

今回の訂正に伴う過年度業績への影響額の概要は別紙のとおりであります。

なお、上記の訂正を行うにあたり、過去において判明していたものの重要性がないため訂正を行っていなかった未修正事項につきましても、監査法人アリアに確認したうえで併せて訂正しております。」

ただし、訂正された過年度決算の監査はまだ終わっていないそうです。

「当社は、上記の過年度決算訂正について会計監査人の監査を受け、訂正後の決算数値が確定したことから、本日、2024 年 2 月期の決算短信を公表いたしましたが、過年度の有価証券報告書等の訂正報告書につきましては、決算数値以外の記載内容の訂正に関する監査が終了していないことから、2024 年 2 月期の有価証券報告書の提出期限である 2024 年 5 月 31 日までに、会計監査人の監査が終了し次第、速やかに提出する予定であります。」

本来は、過年度の数字の監査が終わってから、当期の監査結果を確定し、監査意見を出すというのが順序だと思いますが、当期の監査報告書を先に出してしまったようです。もちろん、当期の期首残高に影響する部分の監査手続が完了していれば、当期の監査報告書が出せないわけではないのでしょうが...。プレスリリースでは「過年度決算訂正について会計監査人の監査を受け」とあるので、当期に影響する部分の手続は完了しているのかもしれません。また、会社法計算書類が、前期比較形式でないというのもあるのでしょう。

(訂正)「調査委員会の調査報告書の受領および今後の対応に関するお知らせ」の一部訂正に関するお知らせ(2024年4月2日)(調査報告書が添付されています。)

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