日本製紙の2019年3月期が400億円の赤字になる見込みだという記事。PCBが工場や倉庫であらたに見つかったことによる特別損失などがあったようです。
「日本製紙は6日、2019年3月期の連結最終損益が400億円の赤字(前期は78億円の黒字)になりそうだと発表した。80億円の赤字としていた従来予想から、赤字幅が320億円拡大する。最終赤字は12年3月期以来7年ぶり。工場内に保管されていた有害物質のポリ塩化ビフェニール(PCB)廃棄物の処理費用を特別損失に計上する。新聞用紙事業の固定資産の減損も響く。」
PCB廃棄物が見つかったことを、1月下旬に公表しています。
当社における PCB 廃棄物について(日本製紙)(PDFファイル)
「このたび日本製紙株式会社(代表取締役社長:馬城 文雄、本社:東京都千代田区神田駿河台 4-6、以下「当社」)は、当社勿来工場(福島県いわき市勿来町窪田十条 1、以下「勿来工場」)及び横浜市内の倉庫において、PCB(ポリ塩化ビフェニル)廃棄物が保管されていることが判明したことから、平成 30 年 12 月に、保管場所となっているいわき市及び横浜市に対し、「ポリ塩化ビフェニル廃棄物の適正な処理の推進に関する特別措置法」(PCB 特措法)第八条第一項(注)に基づく届け出を行いました。」
工場の倉庫内に約 518tなど、大量に発見されたようです。
日本製紙でPCB廃棄物 福島の工場と横浜の倉庫(共同通信)
「勿来工場ではPCBを含む複写紙約518トンや泥状の物質が確認された。
勿来工場では1971年までPCBを原料に使った複写紙を製造していた。製造過程や排水処理で出た泥状の物質などを廃棄しないまま工場で保管していたことが社内調査で分かったという。」
第3四半期で損失を計上しています。
「(会計上の見積りの変更)
(環境対策引当金)
従来、ポリ塩化ビフェニル(PCB)廃棄物の処理支出に備えるため、処理見積額を計上していましたが、当社において、新たにPCB廃棄物が保管されていることが判明したことから、処理費用の見積額を環境対策引当金繰入額として特別損失に計上しています。これにより、当第3四半期連結累計期間の税金等調整前四半期純損失は13,700百万円増加しています。...」(決算短信より)
かなり重い負の遺産だったようです。会社は、見積もり変更として処理していて、それはひとつの理屈だと思いますが、在庫の棚卸と同様に、このような負の遺産も定期的に棚卸すべきだとすれば、過年度の会計手続の誤謬(意図的に隠していれば不正)(過年度訂正が必要)とも考えられるのではないでしょうか。
「新聞用紙事業の固定資産の減損」の方は、新聞業界の苦境の表れでもあるのでは。
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