会計ニュース・コレクター(小石川経理研究所)

バブル紳士の夢の跡・目黒雅叙園を舞台にしたみずほ銀行の「問題事案」(現代ビジネスより)

90年代の不良債権問題の再来か!? バブル紳士の夢の跡・目黒雅叙園を舞台にしたみずほ銀行の「問題事案」

みずほ銀行が不良資産の飛ばしをやっているという記事。舞台は旧雅叙園観光ホテルの跡地だそうです。

「きっかけは、5年以上前の2007年2月に遡る。旧三菱、旧富士、旧住友、静岡の4銀行から770億円相当の債権をわずか450億円で買い取り、担保になっていた雅叙園、アルコタワーと周囲の土地を掌中にしたローンスターが、景観保護のための緩衝帯になっていた土地に第3のビル「アルコタワー・アネックス」を新たに建設し、1500億円とも1800億円とも言われる高値で売り抜けるという夢のような計画を打ち上げて、買収資金の865億をモルガン・スタンレーから調達、その不動産ローンが証券化された。」

「この時、投資家として、全体の9割強に当たる795億円分の不動産ローン担保証券(以後、不動産証券と記す)を購入したのが、みずほ銀行だった。ここまではビジネスとして許容される範囲かもしれない。

 だが、建設中の「アルコタワー・アネックス」を再開発地域ごとまとめて転売しようという濡れ手で粟の計画は、2008年9月のリーマンショックで暗転する。内外の経済がマイナス成長に転落する中で、都内の不動産価格も急落。まったく買い手がつかない状況に陥ったのだ。

 ある種のペーパーカンパニーを通じて資金を調達していたローンスターはそれほど焦ることもなかったというが、みずほ銀行は違った。

 売却資金で償還する予定の不動産証券がデフォルトに陥り、投資した資金の回収が不能になるからだ。そこで、同行は、2009年2月、2度目となる不動産証券の発行に積極的に関与し、再び発行額(869億円)の9割にあたる780億円を自ら買い取ることによってデフォルトを回避した。

 しかし、この不動産証券は、賃料などを市況下落前の水準で設計しており、すでに前提となるビジネスモデルが破綻していた。このため、前回格付していたムーディーズは、再格付を拒否。スタンダード&プアーズも再格付けはしたものの、1年半後には格下げを断行したため、問題証券となってしまった。当たり前と言えば当たり前の話だが、相変わらず、土地・建物には買い手が付かないまま、今年3月、ローンスターが再び償還に窮する事態に陥った。

そこで、みずほ銀行は、償還に必要な資金を融資して損失を覆い隠す計画を立案した。アレンジャー(仲介者)を通じて、三菱東京UFJ銀行や三井住友銀行といった他のメガバンクを巻き込もうとしたのは、この時のことだ。

 ところが、「想定外」のハプニングが発生した。建築許可に必要な道路面の大部分(面積では、再開発地区全体の13%強)を保有する地主のファミリーカンパニーである細川ホールディングスが、長年、地上げ紛いの理不尽な所有地の買い叩き工作を繰り返してきたローンスターと、それを資金面でバックアップするみずほ銀行に反撃を試みたというのだ。突如、底地の借地契約の解除を通告し、以後、地代の受け取りを拒否する挙に出たのである。

 借地権がなければ、再開発不動産に担保価値はない。事態を憂慮した三菱東京UFJ、三井住友のメガバンク2行はあっさりと融資話を断った。関係者の一人は、「お話があり、検討をしたのは事実。しかし、借地権解除の状態で融資すれば、善管注意義務違反にあたると判断してお断りした」と明かす。

 ただ、みずほ銀行は、他のメガバンクと違い、すでに乱暴な不動産証券を大量に保有していた。デフォルトが起きれば、以前の格下げ時に計上したとされる100億円の引当金では不十分で、最大で投資額相当(780億円)まで引当金を積み増す必要があり、巨額の損失が発生する恐れがあった。

 引くに引けないと思い込んでしまったのだろう。債権の償還を契約上可能なギリギリの時期まで引き伸ばして再開発地区の売却などを目論んだものの果たせず、今年6月、ついに償還に必要な851億円の6割に相当する518億円の借り換え融資に応じた。これは、自行に損失が発生することを防ぐ、「債権飛ばし」と呼ぶべき融資だった。」

不動産ローン担保証券のデフォルトで損失が実現するのを避けるために、担保価値が疑わしいのに融資を行ったという構図のようです。記事によれば、100億円の引当ては行っているということなので、会計上の手当てがまったく行われていないということにはならないのでしょうが、あやしい案件であることはたしかです。

これに限らず、リーマンショック前のミニバブルの負の遺産は、まだ残っているのでしょうか。
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